ドイツ政府は、ヘイトスピーチやフェイクニュースの削除を怠った交流サイト(SNS)に対して、最大5000万ユーロに上る罰金を科す法案を提出した。フェイスブックやツイッターなど、インターネットサイトに対する欧州の国による取り締まりとしては、最も厳格だ。
ハイコ・マース法務・消費者保護相は、SNS各社が、人種差別の扇動や中傷といった利用者からの投稿に対して、一掃するだけの十分な対策をとっていないと述べた。「違法なコンテンツが削除される事例はきわめて少なく、十分かつ迅速に削除されていない」と記者団に語った。
「SNS各社は、利用者から苦情が来てもきちんと真剣に受け止めていない、というのが現在および今後の最大の問題だ」
今回の法案は、フェイクニュースやヘイトスピーチが今年行われる議会選に影響を及ぼすのではないかという、ドイツの政治家たちに広がる懸念を反映している。メルケル首相率いる保守系与党は、移民排斥を訴える民族主義政党「ドイツのための選択肢」の厳しい攻勢にさらされている。
米大統領選の選挙運動中にインターネット上の作り話や嘘が大きな役割を果たしたように、ドイツでも大きな役割を持つのではないかという恐れがある。米大統領選では、ローマ法王フランシスコがトランプ大統領を支持した、といったような作り話のニュースがフェイスブックに拡散した。
しかし、ドイツでは一部が警告を促している。ドイツのIT(情報技術)系シンクタンク、SNVのステファン・ホイマン氏は、「SNSが警戒しすぎて、とにかく罰金の可能性を避けようと、必ずしも違法ではない投稿を削除してしまう危険があり、言論の自由を損なうことになる」と指摘した。
フェイスブックやその他のサイトがドイツで取り締まりの対象となるのは避けられなかったと解説する人たちもいる。ドイツは、言論の自由に対する規制の一部が欧米諸国の中でも最も厳しい。例えば、第2次大戦中のナチス・ドイツによるホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)に対する否定や、人種間の暴力を扇動することは、共に重大な犯罪と見なされている。