トップページに戻る
月別インデックスに戻る
(各日付の最初にラベルを「170301」というような形式でつけていますので「URL+#日付(6桁表示)」で該当日の駄文に直リンできます)
2017/03/14
お題「まあ国内債券市場も閑散ですので各種虫干し系ネタなど」
とりあえずコメントは差し控えさせていただきます(白目)。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170313/k10010909711000.html
時間外労働1か月上限 100時間未満で決着へ
3月13日 18時54分
○計数関連で少々
・マクロ加算掛け目
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2017/rel170309a.pdf
日本銀行当座預金のマクロ加算残高にかかる基準比率の見直しについて
『日本銀行は、日本銀行当座預金のうち、ゼロ金利が適用されるマクロ加算残高の算出に用いる基準比率(「補完当座預金制度基本要領」4.(3)イ.に定める基準比率)について、次のとおり定めることとしました。
2017 年 3 月〜5 月積み期間:17.0%(注)
これにより、日本銀行当座預金のうち、マイナス金利が適用される政策金利残高(金融機関間で裁定取引が行われたと仮定した金額)は、上記3積み期間において、平均して概ね
10 兆円台となる見込みです。』
ということでまあこちらは基本的にMBから逆算するのですが、掛け目自体は7.5%→10.0%→13.0%→17.0%と上がっていくのですけど、良く良く考えたらMBの拡大ペースって既に目標ではない(ものの80兆円という文言だけ残っているのも色々とアレですが)ので、ペースが上がったり下がったりするので、政策金利残高のマクロ残高に関しても実はエイヤーで決めないと行けないのねという所で。ただ残高が全体的に増えるとどうしても偏在部分の絶対金額がかさんで来るのでこれはこんなもんで良いのかもしれませんな。
・個人向け国債3月発行ェ・・・・・・・・・・
http://www.mof.go.jp/jgbs/individual/kojinmuke/houdouhappyou/p290306.htm
個人向け国債の応募額(平成29年2月)
『平成29年2月における個人向け国債の種類別の応募額は、下記のとおりです。発行日は、平成29年3月15日を予定しています。
個人向け利付国庫債券(変動10年)第83回債 6,772億円
個人向け利付国庫債券(固定 5年)第71回債 2,076億円
個人向け利付国庫債券(固定 3年)第81回債 467億円』
ということなのですが、こちらの新着情報の
http://www.mof.go.jp/jgbs/individual/kojinmuke/info/
2017.03.06
個人向け国債の応募額 →発行額の推移はこちら
とありまして、発行額の推移の方を見ますと(エクセルです)3本合わせた発行額が、
1月:6,342億円
2月:5,727億円
3月:9,315億円
ってな推移になっていて3月の発行額の9000億円規模って2007年辺りの発行額まで遡る上に、この頃って四半期発行だったので実質的には過去最大の発行規模というオソロシスな展開になっております。
http://www.mof.go.jp/jgbs/individual/kojinmuke/houdouhappyou/p281205.htm
平成28年12月5日
財務省
個人向け国債の募集発行事務取扱手数料を見直します
ということで4月発行分(今月募集する奴)から事務取扱手数料が下がる影響は思いっきりあるのですけれども、それにしてもこの駆け込み需要と申しますか何と申しますかという勢いだろうなあとは思っていたものの、実際にこの数字見るとさすがにビビるわ。
・いまさらですが先週金曜のオペメモ
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of170310.htm
国庫短期証券買入 2,500 2017年3月14日
国債買入(残存期間1年超3年以下) 3,000 2017年3月14日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 4,000 2017年3月14日
国債買入(残存期間10年超25年以下) 2,000 2017年3月14日
国債買入(残存期間25年超) 1,000 2017年3月14日
つーことで短国買入は2500億円のままという事になりまして1-3の輪番も減額されまして、短国買入はこの調子だと月末に出した予定を思いっきりショートする見込みで、
http://www.boj.or.jp/whatsnew/index.htm/
3/ 3(金)日銀当座預金増減要因(3月見込み) [XLSX 49KB]
こちら何故かHPリニューアルと共にエクセル化されたのでコピペはしやすくなった(元々スクリーンショットのPDF化状態だった)のですが、リンクしにくくなったのが惜しい所ではあります。
『具体的には、国庫短期証券売買オペを通じて前月末までに取得した国庫短期証券の当月における償還額(48,100億円程度。繰上償還額および対政府等売却額は勘案していない)を、「償還」から差し引いている。』
とありまして、2月末に出ていたのは『金融市場調節の一環として行う国庫短期証券の買入れについては、3月末の残高を34〜36兆円程度とすることをめどとしつつ、金融市場に対する影響を考慮しながら1回当たりのオファー金額を決定する。』でして、月末の短国買入残高が363,542億円でしたので(額面ベース)、元々の話だと月間2.5兆円程度は買う予定になっていましたが、何せ短国の金利が低い所で推移しまくっていたのでそらまあ減らすわなという所です。
1-3についても短国強い影響もあるのかどうか知らんですけれども、まあここの金利も相変わらず低いままで推移していたのでここの減額もまあ妥当ですかねえという所で。
落札結果は
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba170310.htm
国庫短期証券買入 10,184 2,500 0.034 0.036
国債買入(残存期間1年超3年以下)9,172 3,001 0.010 0.016 82.2
国債買入(残存期間3年超5年以下)8,727 4,004 -0.005 -0.003 53.0
国債買入(残存期間10年超25年以下)5,323 2,006 0.006 0.008 90.7
国債買入(残存期間25年超)2,710 1,002 0.003 0.006 40.0
国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)(注4)279 279 -0.500 -0.500
となっていて、短国買入は1兆円応札があったので5000億円でも行けたのかなとは思いますが、別に短国買入自体MB目標が事実上外れているのですし(まあ長国買入のペースに関しては減らしにくくなってはいますし、まあ減らすと目立ちそうですけれども)、減らして問題の無い時にはジャンジャン減らして少しはここのビルの正常化をした方が良いのではないかと思います。まあここの金利がもうちょっとマシ(買う側的に)になってくると担保需要とかも更に復活してくる(たぶん急に強くなる時ってドル調達絡み以外では国内の「モノ」としての需要なので担保需要か決算向け国債残高帳尻需要の筈なのです)と思いますので、まあ日銀の買入はもっと減らして行けば良いと思います。
・しかしまあ国内債券ェ・・・・・・・・・・・
http://jp.reuters.com/article/idJPL3N1GQ28N
Markets | 2017年 03月 13日 15:13 JST
〔マーケットアイ〕金利:国債先物が小幅下落、長期金利0.090%に上昇
『長期国債先物は小幅下落。前週末発表の2月米雇用統計は好調で、3月の米利上げ観測を後押しする内容となった。しかし、一部で予想されていたほどの強い結果とはならず、10年債利回りは一時つけていた12週間ぶりの高水準から押し戻された。この流れは円債市場に強いインパクトを与えることはなく、米連邦公開市場委員会(FOMC)など重要なイベントを控える中、模様眺めとなる市場参加者が多くなり動意薄の展開。現物債も小動き。市場が想定する通りに日銀オペが通告され、結果は無難な範囲に収まったものの相場に大きな影響を与えることはなかった。1月の機械受注は市場予想を下回ったが材料視されるまでには至らなかった。長期国債先物中心限月6月限の大引けは、前営業日比5銭安の149円90銭。10年最長期国債利回り(長期金利)は同0.5bp上昇の0.090%。』(上記URL先より)
ということで確かアタクシ1週間お休みしていた筈なのですが、10年金利の居場所ェ・・・ではありますが、FOMCの3月利上げまで織り込んでも別に10年10bpジェットストリームアタックとか来る訳でもなくという感じで、まあ思いっきり為替がブレ出せば別なのかもしれませんけれども、「10年誘導金利目標を変更しないとマズーとなるような圧力」となるとやはり国内物価がマジモンで上向いてきましたなあ的なインパクトか、それに準ずるような威勢の良い話(思いっきり円安に振れるとか)が無いとという事でしょうか。単に3月で需給が良いからということなのかはどうもこう肌感覚的にどっちというのが微妙に分からんので相場がもうちょっと活発化してくれないと・・・・・・・・・・・・・orzorz
○アトランタ連銀総裁交代とな
https://www.frbatlanta.org/news/pressreleases/atlantafed/2017/0313-atlanta-fed-names-bostic-new-president-and-ceo
Atlanta Fed Names Bostic New President and Chief Executive Officer
『ATLANTA-Raphael W. Bostic will become the 15th president and chief executive
officer of the Federal Reserve Bank of Atlanta effective June 5, 2017,
announced Thomas A. Fanning, chairman of the board of the Federal Reserve
Bank of Atlanta. Bostic, age 50, succeeds Dennis Lockhart, who retired
from the Atlanta Fed on Feb. 28, 2017. The appointment was jointly approved
by eligible directors of the Atlanta Fed's board of directors, all nonbankers
by law, and the Board of Governors of the Federal Reserve System in Washington,
D.C.』
ということで経歴とか以下にあるのですけれども、基本的にアトランタ連銀って執行部寄りというか大勢順応型という印象なので、FOMCの議論の論調がこの方の投下で大きく変わるという話では無いでしょうなあと思いますが詳しくないのでパスでメモだけ。
○政井審議委員が海外巡業していたようですが特に独自見解が開陳されている訳でもない件について
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2017/data/ko170308a1.pdf
日本経済と金融政策
(第9回日本証券サミット<ロンドン>における冒頭発言の邦訳 )
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2017/data/ko170307a1.pdf
日本の金融経済情勢と金融政策
在スイス日本国大使館主催セミナーにおける講演の邦訳 (於チューリッヒ)
という2本がアタクシお休みしている隙に打ち込まれていまして、政井さん海外巡業キタコレとは思ったのですが、内容を読んでみますと別に金融政策運営に関する独自見解が開陳されている訳でも無いのでうーんこのという感じですが、一応ちょっとだけ。
・ロンドンでの講演ではインフレ期待の引き上げが出来ていない件についての執行部の苦しい言い訳が
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2017/data/ko170308a1.pdf
日本経済と金融政策
(第9回日本証券サミット<ロンドン>における冒頭発言の邦訳 )
の方が短いのですがツッコミどころとしては分かりやすい。
『「量的・質的金融緩和」の導入以降、金融緩和の基本的なメカニズム自体は変わっていません。すなわち、@日本銀行の大規模な国債買入れによって、イールドカーブ全体を押し下げること、そしてA日本銀行が2%の「物価安定の目標」に強くコミットし、予想物価上昇率を押し上げることです。これらによって、実質金利を引き下げることで、経済・物価に好影響を及ぼすというメカニズムを想定しています(図表2)。』
ということではあるのですが、そもそもイールドカーブ全体を押し下げるというのはどっか行ってる訳ですけれどもその説明がどうなっているのか、というのを鑑賞するのが今回のツッコミどころ。
『「量的・質的金融緩和」のもと、基調的な消費者物価(除く生鮮食品・エネルギー)は、プラスに転じ、2年半以上にわたってプラス圏で推移してきました。「物価が持続的に下落する」という意味でのデフレではない状態まで来たと判断されます(図表3)。』
でも目標は全然行かないですし、大体からしてインフレ期待変わってますかというのは後程出てきます。
『昨年、日本銀行が従来の枠組みを強化する形で、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入したのには2つ理由があったと理解しています。第1に、期待された効果をあげているとはいえ、2%の「物価安定の目標」は実現されておらず、より効果的な枠組みとする必要があったことです。』
ほう。
『第2に、大規模な国債買入れとマイナス金利政策の組み合わせは、イールドカーブ全般に影響を及ぼすうえでの有効性が確認された一方、場合によっては、必要以上にイールドカーブを押し下げ得ることとなり、却って金融機能に悪影響を及ぼす可能性もあることが懸念されたことです。』
という話なのですが、だったらそもそも「マイナス金利」の方を撤回する一方でイールドカーブについては別に押し下げる方向で、というのだってありの筈なのですが、勢いで入れてしまったマイナス金利について今更撤回すると黒田さんの面目玉なのか進退問題なのか知らんけれども、何故か撤回出来ないという困った状態なのですがそこはスルーというのが日銀クオリティ。
『新しい枠組みの中心的な要素である「イールドカーブ・コントロール」では、直接長期金利を目標とすることにより、金融仲介機能への影響も含め、経済・物価・金融情勢に応じて効果的かつ柔軟な金融政策運営が可能になったと考えられます。』
とか言っている割には長期金利をガチガチにコントロールしているというのが何とも。
『新しい枠組みのもう1つの要素は、「オーバーシュート型コミットメント」です。これは、日本銀行の強い決意を示すことにより、予想物価上昇率を高めていくことが狙いです。』
でまあこちらなんですけれども、確かに運営上の話で言えば「10年0%のオーバーシュート型コミットメント」とか有り得んので枠組み自体はこう作っておかないと話にならんというのはあるのですが、やはりこう「MBを1億円でも増やせば強い決意を示してインフレ期待が上がる」というのはちと無理がある理論ですわな。
『日本銀行は、「量的・質的金融緩和」を通じてフォワード・ルッキングな期待形成への転換を図ってきましたが、これが十分に強まる前に、原油価格の下落などから、現実の物価上昇率が低下した結果、人々の予想物価上昇率は適合的な期待形成を通じて、低下しました。このため、日本において、2%の「物価安定の目標」を実現するためには、予想物価上昇率を高め、フォワード・ルッキングな期待形成への転換を促していくことが何としても必要だと考えています。このコミットメントはそのための1つの手段です。』
となると実はコミットメントの方じゃなくて、金利コントロールの下で海外金利が上昇する中で国内金利が低位安定させる「ことが出来ていれば」為替が円安傾向になって、その結果として適合的な期待形成を促すことになって予想物価上昇率が上がる、というのが本当のメカニズムでしょと思いますし、MBが効く効かないの話って今更ソロスチャートでもあるまいしとなっている中で為替に効かせようと思ったらMBよりも金利ですよね、というだけの話ではあると思うのですが、それを言い出すと置物一派が今まで主張していたのは何だったのかという話になって面目玉とか進退とか(以下略)。
でまあそこまでは兎も角としてこの部分はワロタ。
『予想物価上昇率は、いわば個人や企業の物価観ですから、それを変えていくのはそう簡単なことではありません。長期にわたるデフレを経験してきたわが国ではなおさらです。もともと、「量的・質的金融緩和」では、必ずデフレから脱却するという日本銀行の強く明確なコミットメントを示すために、目標達成までの期限の目途が2年程度とされました。このため、目標の達成に長い時間を要しているようにみえますが、見方を変えますと、まだ4年しか経過していないとも言えます。』
>見方を変えますと、まだ4年しか経過していないとも言えます
>見方を変えますと、まだ4年しか経過していないとも言えます
>見方を変えますと、まだ4年しか経過していないとも言えます
・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)
まあ何ですな、これが正副総裁とか正調置物一派が言い出したら「お前は何を言ってるんだ」という事になる訳でございますが、後から入ってきている方が言うと何となく「お、おぅ・・・・・」で済んでしまう雰囲気を醸し出す、というのがこれまあ執行部の狙いではあるんでしょうが(そういう意味ではやはり「お前は何を言ってるんだ」なのですけどね)。こうやって徐々に過去の話を「無かった事にする」攻撃への布石が打たれ出している(人を変えていくというのも一つのやり方ですし・・・・・)のかなあと思うと意外に味わいが深い部分であります。
『もちろん、気長にやっていけばよいというものではありません。まず、日本銀行が「物価安定の目標」に向けた強いコミットメントを様々な形で示していくことが引き続き重要です。そして、日本銀行がきわめて緩和的な金融環境を維持し、そのうえで、政府が大規模な経済対策への取組みを進めるなか、成長力の強化に向けた取組みを官民でこれまで以上に加速させ、民需を高めていく努力が必要だと思います。』
という話になっていまして、えーっとすいません金融政策だけで2年で2%達成できると大口叩いていた置物リフレ一派の皆さんどうしましたと小一時間問い詰めたい訳ですが、政井さんの場合は正調置物一派ではない(と思われるというか見られているというか)はずなので、まあこういう人がこういう説明をすることによって徐々に今までの大風呂敷を撤収しようとしている片鱗を見た感がします。
・チューリッヒの講演は要はロンドン講演の詳細版なのでめんどいのでパス
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2017/data/ko170307a1.pdf
日本の金融経済情勢と金融政策
在スイス日本国大使館主催セミナーにおける講演の邦訳 (於チューリッヒ)
ってのがありまして冒頭に、
『本席では、まず、日本の金融経済情勢についてお話しした後、日本銀行の金融政策についてご説明し、私の考えをお話させて頂きます。
』
とはあるのですが、私の考えらしき部分が良く分からん(日銀の中心的というか公式というかな見解は勿論説明されている)のでめんどいので以下割愛なのですが、後半にある図表が執行部謹製感が強くてまあそういう感じという所ですな、うんうん。
#ということでまだ暖機運転中みたいなメモですいません
2017/03/13
お題「イエレン議長の予告ホームラン講演を鑑賞という虫干しマンですいません」
どもども、ご無沙汰している間に予告ホームランは出るわジンバブエ理論がまた首相から飛び出すわということのようですが、ボチボチ追いついて参ります(ので計数系は今日は勘弁)。
○今更ではありますがイエレン議長の予告ホームランを鑑賞という虫干しネタで
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/yellen20170303a.htm
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/yellen20170303a.pdf
Chair Janet L. Yellen
At The Executives' Club of Chicago, Chicago, Illinois
March 3, 2017
From Adding Accommodation to Scaling It Back
題名がいきなりど直球ですが、「出口政策をここから早める背景はなんですか」という説明になっているので整理しておくのは悪くない(まあ皆様には今更で誠に申し訳ございませんが)。
・今後の政策調整ペースが速まる宣言をのっけから
小見出し入る前のマクラ部分でしっかりこの記述。
『The process of scaling back accommodation has so far proceeded at a slower
pace than most FOMC participants anticipated in 2014. Both unexpected economic
developments and deeper reevaluations of structural trends affecting the
U.S. and global economies prompted us to reassess our views on the outlook
and associated risks and, consequently, the appropriate stance of monetary
policy, both in the near term and the longer run.』
『Looking ahead, we continue to expect the evolution of the economy to
warrant further gradual increases in the target range for the federal funds
rate. However, given how close we are to meeting our statutory goals, and
in the absence of new developments that might materially worsen the economic
outlook, the process of scaling back accommodation likely will not be as
slow as it was in 2015 and 2016.』
2015年や2016年のペースよりも早くなるキタコレですが、では遅くなった理由はというのは「予期しなかった経済の進展、米国および主要国経済の構造的な部分の再評価による経済物価見通しおよびリスク認識の変更、それによって近い期間およびロンガーランの適正な金融政策見通しが下振れをしたからです、となっている訳でして、これらの問題についての評価に変更があったから調整ペースが早まるちゅうことですな。
・実質金利の話をして「ここから1%程度は利上げするしその後も多分上げるよー」という説明
最初の小見出しが『Assessing the Degree of Monetary Policy Accommodation』でして、
『In our monetary policy deliberations, the FOMC always faces two fundamental
questions: First, how do we assess the current stance of monetary policy?
Second, what are the strategic and tactical considerations that underpin
our decisions about the appropriate stance of monetary policy going forward?』
政策を考えるに際して重要な2点は、そもそも緩和度合いをどう知るのか、というのと政策の緩和度合いを適正な水準にもって行くにはどうしたら良いのか、というお話ですというのは仰せの通り。でもって、
『Gauging the current stance of monetary policy requires arriving at a
judgment of what would constitute a neutral policy stance at a given time.
A useful concept in this regard is the neutral "real" federal
funds rate, defined as the level of the federal funds rate that, when adjusted
for inflation, is neither expansionary nor contractionary when the economy
is operating near its potential. In effect, a "neutral" policy
stance is one where monetary policy neither has its foot on the brake nor
is pressing down on the accelerator.』
ということで「実質的なFF金利」で緩和度合いを考えるというまあいつもの話。
『Although the concept of the neutral real federal funds rate is exceptionally
useful in assessing policy, it is difficult in practical terms to know
with precision where that rate stands. As a result, and as I described
in a recent speech, my colleagues and I consider a wide range of information
when assessing that rate.2 As I will discuss, our assessments of the neutral
rate have significantly shifted down over the past few years.』
でもって中立金利はここ数年低下している、というのもいつもの話。
『In the Committee's most recent projections last December, most FOMC participants
assessed the longer-run value of the neutral real federal funds rate to
be in the vicinity of 1 percent.3』
ということでロンガーランの実質中立FF金利は1%近辺。
『This level is quite low by historical standards, reflecting, in part,
slow productivity growth and an aging population not only in the United
States, but also in many advanced economies. Moreover, the current value
of the neutral real federal funds rate appears to be even lower than this
longer-run value because of several additional headwinds to the U.S. economy
in the aftermath of the financial crisis, such as subdued economic growth
abroad and perhaps a lingering sense of caution on the part of households
and businesses in the wake of the trauma of the Great Recession.』
説明が基本的に長い(イエレンさんのは丁寧で読みやすいのですがとにかく説明が丁寧なだけに長いというのがあってネタにするときに困ったりする)のですが、構造問題が主要国全てにおいてあるのでロンガーランな実質中立金利の水準が下がっている、という話と、リーマンショック以降の不良資産問題などの後遺症があるので中期的に見た場合の実質中立金利はロンガーランよりも低いという状況でしょうという話をしています。
『It is difficult to say just how low the current neutral rate is because
assessments of the effect of post-recession headwinds on the current level
of the neutral real rate are subject to a great deal of uncertainty. Some
recent estimates of the current value of the neutral real federal funds
rate stand close to zero percent.4 With the actual value of the real federal
funds rate currently near minus 1 percent, a near-zero estimate of the
neutral real rate means that the stance of monetary policy remains moderately
accommodative, an assessment that is consistent with the fact that employment
has been growing at a pace--around 180,000 net new jobs per month--that
is notably above the level estimated to be consistent with the longer-run
trend in labor force growth--between 75,000 and 125,000 per month.5』
数字の話が多いので便利なのですが、足元での実質中立FF金利は0%近辺にあるが、足元での実質FF金利は▲1%近辺なので緩和的という話ですな。ついでに雇用の増加に関しては75k〜125k位で安定運行ということのようですな。
『As I will explain, this policy stance seems appropriate given that the
underlying trend in inflation appears to be still running somewhat below
2 percent. But as that gap closes, with labor market conditions now in
the vicinity of our maximum employment objective, the Committee considers
it appropriate to move toward a neutral policy stance.』
キタコレ!ということで、「需給ギャップが改善されて、物価と雇用のマンデートに近い状況になっている中なので、金融政策は今後中立スタンスに向けて進んでいくのが適切」という話ですので、これはもう「ここから1%は金利引き上げますよー」と言っているのに等しい訳でそら予告ホームランだわなと。
・金融緩和ペースが遅くなったことの背景にはロンガーランの政策水準の見直しが
この後『Post-Crisis Period: Same Strategy, New Tactics』、『2014: A Turning
Point for Monetary Policy』、『Uneven Progress in 2015 and into 2016』という話がありまして、整理整頓と何で元々言ってたよりも利上げペースが遅くなったかという話がありまして、この辺に関してもイエレンさんらしく丁寧に整理しているのですが、まあこちらは手抜きマンなのでパス(読むのは推奨なのですけど)しまして、『Reassessing
Longer-Run Conditions 』という所に飛びます。
『The slower-than-anticipated increase in our federal funds rate target
in 2015 and 2016 reflected more than just the inflation, job market, and
foreign developments I mentioned. During that period, the FOMC and most
private forecasters generally lowered their assessments of the longer-run
neutral level of the real federal funds rate.』
利上げペースが2015-2016で遅かったのは物価や労働市場や海外経済だけではなくて、実質中立金利の水準が低下したことがありますよと。
『Indeed, at our October 2015 meeting, the FOMC had a comprehensive discussion
of neutral real interest rates and was impressed by the breadth of evidence
suggesting that those rates had declined both here and abroad, and that
the decline had been going on for some time. In response to this growing
evidence, the median assessment by FOMC participants of the longer-run
level of the real federal funds rate fell from 1-3/4 percent in June 2014
to 1-1/2 percent in December 2015 and then to 1 percent in December 2016.』
直近までだいぶ下がりましたねということで。
『These reassessments reflected, in part, the persistence of surprisingly
sluggish productivity growth--both in the United States and abroad--and
suggested that fewer federal funds rate increases would be necessary than
previously thought to scale back accommodation.』
でもって労働生産性の伸びの弱さの話とかのいつもの話が背景にあると。
『Partly in response to persistently slow wage growth, FOMC participants
and private forecasters have in recent years lowered their estimates of
the normal longer-run rate of unemployment. The median projection of FOMC
participants of the longer-run level of the unemployment rate fell from
about 5-1/4 percent in June 2014 to approximately 4-3/4 percent in December
2016.』
賃金の伸びが弱いので完全雇用水準の推計も下がりましたよと。
『Other things being equal, a lower longer-run level of the unemployment
rate suggests that the economy has greater scope to create jobs without
generating too much inflation.11 Thus, the downward revisions to FOMC participants'
views on the unemployment rate over the longer run contributed to our assessment
that monetary policy could stay accommodative longer than we had anticipated
in 2014.』
つーことで最後の「今後の話」に参ります。
・今後の話だがこれは出来るなら4回利上げをしようという意思が見られますなあ
『Further Progress since Mid-2016』というキタコレの小見出し。
『The U.S. economy has exhibited remarkable resilience in the face of adverse
shocks in recent years, and economic developments since mid-2016 have reinforced
the Committee's confidence that the economy is on track to achieve our
statutory goals. Job gains have remained quite solid, and the unemployment
rate, at 4.8 percent in January, is now in line with the median of FOMC
participants' estimates of its longer-run normal level. On the whole, the
prospects for further moderate economic growth look encouraging, particularly
as risks emanating from abroad appear to have receded somewhat. The Committee
currently assesses that the risks to the outlook are roughly balanced.』
この辺は先般のFOMC声明文などでもあったのと同じような説明ですな。マンデートに近い水準になってきている&見通しも心強い状態だしリスクはバランスと。
『Moreover, after remaining disappointingly low through mid-2016, inflation
moved up during the second half of 2016, mainly because of the diminishing
effects of the earlier declines in energy prices and import prices. More
recently, higher energy prices appear to have temporarily boosted inflation,
with the total PCE price index rising nearly 2 percent in the 12 months
ending in January. Core PCE inflation--which excludes volatile energy and
food prices and, therefore, tends to be a better indicator of future inflation--has
been running near 1-3/4 percent. Market-based measures of inflation compensation
have moved up, on net, in recent months, although they remain low.』
物価に関しては市場のインフレ期待が水準として低いという部分を除くと大変に威勢の良い説明。
『With the job market strengthening and inflation rising toward our target,
the median assessment of FOMC participants as of last December was that
a cumulative 3/4 percentage point increase in the target range for the
federal funds rate would likely be appropriate over the course of this
year.』
前回は0.25%づつ3回の利上げというのがSEPで示された中心的見解ですけれども・・・・・・・・・・
『In light of current economic conditions, such an increase would be consistent
with the Committee's expectation that it will raise the target range for
the federal funds rate at a gradual pace and would bring the real federal
funds rate close to some estimates of its current neutral level.』
でもってさっき実質FFレートが▲1%近辺って言ってましたから、それはもう1%上げたいですなというのが出ているようでして、まあそうはいっても6月は様子見になるのかもしれませんけれども、この調子だと年4回利上げという話が盛り上がるタイミングが普通にあるでしょうなあ、と思われる説明ですの。
『However, partly because my colleagues and I expect the neutral real federal
funds rate to rise somewhat over the longer run, we projected additional
gradual rate hikes in 2018 and 2019.』
しかも今後実質中立金利の水準は今後若干上昇するのでもうちょっと金利上げられるっつーてるんですからもうねという所です。
『Our individual projections for the appropriate path for the federal funds
rate reflect economic forecasts that generally envision that economic activity
will expand at a moderate pace in coming years, labor market conditions
will strengthen somewhat further, and inflation will be at or near 2 percent
over the medium term. In short, we currently judge that it will be appropriate
to gradually increase the federal funds rate if the economic data continue
to come in about as we expect. Indeed, at our meeting later this month,
the Committee will evaluate whether employment and inflation are continuing
to evolve in line with our expectations, in which case a further adjustment
of the federal funds rate would likely be appropriate.』
これは普通「今月のFOMCで利上げします」と言っているようなもん。
『Nonetheless, as we have said many times--and as my discussion today demonstrates--monetary
policy cannot be and is not on a preset course. As in 2015 and 2016, the
Committee stands ready to adjust its assessment of the appropriate path
for monetary policy if unanticipated developments materially change the
economic outlook.』
と一応ヘッジクローズは入っていますが、まあ利上げ予告にも程がありますな。
・でもって纏め
その次に『Monetary Policy Is Not a Panacea』というのがあって、格差が拡大っつーか所得水準の低い部分が回復に取り残されているというようなお話があって、そこは金融政策だけではどうしようも無いので政府などの経済取り組みが必要という話があるのですがそこはパスして『Conclusion』に参ります。
『To conclude, we at the Federal Reserve must remain squarely focused on
our congressionally mandated goals. The economy has essentially met the
employment portion of our mandate and inflation is moving closer to our
2 percent objective. This outcome suggests that our goal-focused, outlook-dependent
approach to scaling back accommodation over the past couple of years has
served the U.S. economy well.』
『This same approach will continue to drive our policy decisions in the
months and years ahead. With that in mind, our policy aims to support continued
growth of the American economy in pursuit of our congressionally mandated
objectives. We do that, as I have noted, with an eye always on the risks.』
ということで、
『To that end, we realize that waiting too long to scale back some of our
support could potentially require us to raise rates rapidly sometime down
the road, which in turn could risk disrupting financial markets and pushing
the economy into recession.』
キター!(って実は割愛した所にもあるのですが)金融緩和のスケールバックを遅らせる事によって金融不均衡とかインフレ高進抑制のための急激な金利引き上げの必要性などの問題が生じるから攻撃が華麗に登場の巻となっております。
『Having said that, I currently see no evidence that the Federal Reserve
has fallen behind the curve, and I therefore continue to have confidence
in our judgment that a gradual removal of accommodation is likely to be
appropriate. However, as I have noted, unless unanticipated developments
adversely affect the economic outlook, the process of scaling back accommodation
likely will not be as slow as it was during the past couple of years.』
現状では政策はビハインド・ザ・カーブではないと言っています(そう言わないとまずいですけど)。でもって最後にまたしつこく「今後の金融緩和のスケールバックは過去2年のような遅いペースでは無いでしょう」としていてもうこれは急に何を食ったのかという位の正常化路線ですよ、という事で、じゃあ何でそこまで豹変(高圧経済とか言ってたのに)するのよ、というのについてはもう少し論考が必要なんでしょうな。
#ということで思いっきり1週間前のネタからスタートでどうもすみません
2017/03/03
2017/03/03(お休み前の補足版)
お題「25-40の輪番が1000億でしたねという件など少々補足」
来週更新をお休みするので今日のマーケットにちょっとだけ補足をば。
○輪番25-40は1000億円など
今日の輪番と短国買入のオファーはこちら。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of170303.htm
国庫短期証券買入 2,500 2017年3月7日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,500 2017年3月7日
国債買入(残存期間10年超25年以下) 2,000 2017年3月7日
国債買入(残存期間25年超) 1,000 2017年3月7日
何気に短国買入もお洒落なのですがそれは兎も角として、今日は輪番25年超を直近の超長期金利上昇にもめげず(?)1000億円でやってきましたな。
・・・・・・・まあそもそも足元の超長期金利上昇が「25-40輪番1000億に減額だぜ」というのを織り込みに行きながらだったので、ここで1200億円継続したらナンジャソラとなるところでしたからまあこれはこれでよろしかったのではないでしょうか。
#別に寄りから相場がコケそうな感じでも無かったのでやりやすかったというのはあるでしょうけれども
ということでですな、まあ1月25日からのドタバタについて(お休み前なので)改めて考えてみたりもしてるのですが、輪番運営のところで何かこう「プロアクティブに対応しよう」とした結果として、市場から見たら自作自演臭というかドタバタっぽい感じになるような動きが多かったのかなあと思ったりもしましたし、そういう点で言えば、本日(3日)に超長期金利上昇を受けてやっぱり月末に出したメッセージの25-40輪番減額ヤラネーヨ、となりますと、そもそもが月末の輪番レンジと月初の1-3輪番大幅減額によって25-40輪番減額の意図をくみ取って市場が超長期の後ろの金利を調整したのにそこでやっぱ止めたとなるとどう見ても1人芝居です本当にありがとうございましたという事になる訳ですな。
ですから、まあ本日の輪番が元々のメッセージ(というか何というか)通りに実施したのは、プロアクティブに動こうとして却って自分の尾を追う犬状態になるという悪循環に陥らないという観点からすると宜しかったのではないかと思いますがどうでしょうかね。
そもそも政策が「オーバーシュートコミットメント」とかビハインド・ザ・カーブを容認するような設定になっている(実際に物価が上がりだすとどうなのかというのはありますが)のですし、長期金利だって精密誘導にはやはりむかないと思うので、そう考えますと輪番でのYCCってのもプロアクティブに動くのではなく、市場が動きすぎた時に輪番の上げ下げや指値を実施する、というリアクティブに動く方が吉なのではないかと思いますし、そうなると市場との対話というのも却ってスムーズに行くんジャマイカということで、要は何を言いたいかと申しますと、とりあえず今月は無暗矢鱈と金利が低下する短期ゾーンはさておき(もう一発2年の金利とか幅を盛って下がったら1-3だけは輪番をレンジの下限まで下げても良い気がするし誰も文句言わないと思う)、他のゾーンに関しては10年10bpのジェットストリームアタックが来ない限りにおいて、一々プロアクティブに輪番を上げ下げしない方が良くて、まあ落ち着けというお話なのでした。
あと短国ですけれども今日の結果を見てあばばばばー。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba170303.htm
国庫短期証券買入 6,132 2,500 -0.014 0.020 11.6
平均2毛甘なのに足切1毛4糸強ってどういうことよと申しますか、2500億円の短国買入が流れるとか(超大昔の発行量が無かった時代を除いて)中々見た覚えがないのですけれども何ですかこれはという需給の強さ。
まあ誰かが新発とか相当買ったんでしょうけれどもこりゃすごいというか、短国買入はスキップしても多分話題にならないしこの際もっと減らせますな。
○まあストーリーを書くのには・・・・・ですけれども
本日(3日)はこんなニュースも。
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO13626650T00C17A3I00000/
黒田緩和の支柱、静かに交代 日銀企画局長は加藤氏に
2017/3/3 14:11
『黒田緩和を支えてきた日銀の内田真一企画局長(54)が3日、名古屋支店長に転出した。内田氏は金融政策を担う企画局長を異例の長さとなる約5年間務め、異次元緩和政策の導入からマイナス金利政策の開始、長短金利操作への転換までを取り仕切った。限界のみえた黒田緩和を当初の短期決戦型から持久戦型に切り替えるのを見届けたうえで、日銀の金融政策の中枢を静かに去ることになった。』(上記URL先より)
ということでまあ政策の建付けがどうだこうだとか悪態は申し上げましたが、何はともあれ色々と大変な中でお疲れ様でございましたという所ですが、どうせ人が代わるから政策が変わる的なストーリー書きやすいから書く向きでるだろうなあとは思うのですけど、基本的に総裁とかが代わるとそらまあ政策変わったりするのは有る話っすけれども、スタッフというか参謀というかな方が代わるから変わるというのはさすがにそれはうーんとなってしまいますな。
というメモだけ置いておきます(^^)/
以下朝の駄文です。
お題「3月利上げ予告ホームランとな/短国が炸裂とな/佐藤審議委員会見から」
この前まで「利上げペースが遅くなるのではとの見方で株価上昇」とか言っていた筈なのに「3月利上げが確実視されて不確実性が無くなり安心感で株価上昇」という説明になっているモーサテ米国株価後講釈オソロシス。
○米国3月利上げ予告ホームランシリーズですなあ
昨日はブレイナード理事が炸裂して昨晩はパウエル理事ということでイエレンさんとフィッシャーさんの講演の前に既に凄い勢い予告ホームラン。
パウエル理事
http://jp.reuters.com/article/usa-fed-powell-idJPKBN1692RE
Business | 2017年 03月 3日 05:20 JST
米3月利上げへの支持拡大、年内は3度の公算=パウエルFRB理事
『[ワシントン 2日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル理事は2日、FRB内で3月利上げへの支持が広がっているとし、14─15日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げが検討されるとの見方を示した。CNBCに対し述べた。理事は、3月利上げへの支持が集まってきたとし、今年は3度の利上げが必要となる公算が大きいと述べた。』(上記URL先より)
こちらはCNBC相手なのでFEDのサイトにはなさそう。
http://jp.reuters.com/article/brainard-idJPKBN1685TV?sp=true
Business | 2017年 03月 2日 11:01 JST
世界経済の回復で「早期」利上げの準備整う=ブレイナード米FRB理事
『[ボストン 1日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のブレイナード理事は1日、世界経済の回復と堅調な米国経済は、FRBによる利上げが「早期に」適切となることを意味するとの見解を示した。ハーバード大学での講演で語った。ブレイナード理事は「米経済は完全雇用に近づいており、インフレ率も目標に徐々に向かっている。海外の成長はよりしっかりしたものとなり、見通しに対するリスクは以前よりも均衡しつつある」と発言。「成長の継続を踏まえると、追加的な緩和措置を段階的に取り除くことが早期に適切となる可能性が高い」と述べた。』(上記URL先より)
こちらは昨日アップされていましたが、
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/brainard20170301a.htm
https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/brainard20170301a.pdf
Governor Lael Brainard
At the John F. Kennedy School of Government, Harvard University, Cambridge, Massachusetts
March 1, 2017
Transitions in the Outlook and Monetary Policy
ってもう題名からぶちかましておりまして、しかも最初のマクラの部分がこれですよ。
『The economy appears to be at a transition. We are closing in on full
employment, inflation is moving gradually toward our target, foreign growth
is on more solid footing, and risks to the outlook are as close to balanced
as they have been in some time. Assuming continued progress, it will likely
be appropriate soon to remove additional accommodation, continuing on a
gradual path.1』
まあ!
『As normalization of the federal funds rate gets further under way, monetary
policy too is approaching a transition, prompting increased focus on the
balance sheet. How the federal funds rate and the balance sheet should
be adjusted individually and in combination depends on the degree to which
they are substitutes, their relative precision, and the degree to which
their effects on the economy are well understood.』
利上げついでにバランスシートの正常化に関する検討も、ということでまあこの前出ていたFOMC議事要旨での「バランスシートの扱いについてもこれから議論を行う」という部分はやはりそういうことでございましたかっちゅうことでしたぬ。
『Let me start with the outlook and then turn to policy.』
ということでお話なのですが、それはそれとしましてまーこれってどう見ても一連の流れが3月利上げ予告ホームラン、というかあまりにも市場が3月利上げを織り込んでくれないので強引に織り込ませに行ったということでして、これで余程の不測の事態でも起きない限り14-15のFOMCでは利上げするんでしょうなあ(逆にやらなかったら大騒ぎになりそう)というところです。
それでも「3回」というペースになっているというのも面白いのですが、これって多分思うに「3月利上げして欧州政治イベントや米国経済政策の動向という不確実性のある6月(別に会見やSEPの無いFOMCで上げても良いけどまあ基本利上げの可能性があるのはSEPと会見がセットで予定されている3.6,9,12月でしょうから)は様子見になるし、まあその前に上振れしていて4回利上げもアリじゃんというコンセンサスになったら(まあ欧州政治リスクがあばばばばーなので6月は様子見しないといけなさそうな気もしますが)しらっと上げる、とかまあ考えますと、たぶんアタクシ一応こちらの駄文で申し上げていたように思うのですが、3月上げておかないと年3回の利上げが難しくなる(今回様子見する勢いだと6月ってもっと難しい)という事で、足元株価とか強そうだしレッツラゴーという事でしょうかねえ、よー知らんけど。
あとは真面目に考えれば物価の方が堅調推移する中で(エバンスとかも急に利上げオッケー的になるように)中央銀行の政策責任者として考えた場合、何だかんだ言ってもビハインド・ザ・カーブでインフレ加速ってのは避けたくなる、という中央銀行マン&ウーマンとなると仕込まれてしまう仕様のようなものがあって、物価の推移で浮足立って来た、とか他に考えると金融市場がやたら緩和政策長期化ヒャッハーモードになっていて、そもそも緩和の引っ張り過ぎで信用バブルを促進して崩壊させたという前科が直近にある中ではやはり同じこと2度やる訳には行かない、というマクプルモード、もっと意地悪くに考えると、ヒラリーじゃなくてトランプになったのでこの際利上げ特攻してトランプユーフォリアに水を盛大にぶっかける必要がある、というまあこれもマクプルモードとか、そういう辺りを思い起こしてしまいますな。
しかしトランプ前の「高圧経済」とは何だったのかというこの君子豹変ぶりが何ともかんとも。
#なお前置きで満腹感あるのと佐藤審議委員ネタをやるので肝心の本文はパスします(すいません)
○10年入札があったのにネタは短国爆発(金利が下がる方で)とか今日の輪番どうするのよとか
・短国金利低下方向で爆発の巻
ここの所輪番ウォッチで多忙で短国ネタをスルーしていたらこれですよ、ということで昨日の短国入札。
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20170302.htm
(3)募入最低価格 100円08銭3厘0毛(募入最高利回り)(-0.3326%)
(4)募入最低価格における案分比率 73.5027%
(5)募入平均価格 100円08銭6厘5毛(募入平均利回り)(-0.3466%)
ちなみに前週の3M短国が▲25.93bp/▲25.05bpだったのですが、先週の途中から短国とか短い所の需給が強くなって、元々3Mカレント近辺は前日の引け時点で▲30bp乗せの水準になっていて、昨日も▲30bp台乗せの気配で入札迎えたのですけれども、入札結果の方はいわゆる市場推計不明玉が多い強い結果となりまして、セカンダリーはショートカバーで踏み上げモードになったようで、新発667の売買参考統計値は華麗に▲41.1bp(666は▲33.5bpですがこちらも2毛ほど強くなっている)となりました。
まあ季節的に短国は爆発しやすい(期末だから)というのはあるのですけれども、それにしましても2月終盤近くまでちょっと頭重そうな場面もあったようには思ったのですけれども、まあ一気に来るときは来る短国らしい展開が来ましたようで。
これそもそも論として日銀の買入ストックがでか過ぎなのでして、今更短国でMBでも無いと思いますのでせっせと短国買入を減らしてどうぞとは思いますし、輪番と違って短国の方は(MBの)帳尻オペという話は市場の方でも認知していますので、短国の金利が妙に上昇しだすまではストック減らした方が色々なものが円滑に回る(ただしあまりやり過ぎると中短期の金利に跳ねるのだが、そもそも誘導目標は短期▲10なんだから今の金利が低いんじゃというのもありますけど、ただ今のYCCでの長期ゼロ(実際はプラス1ケタbpですけど)で据わっているのは短期ゾーンが▲10よりも低い所にいるから、というのもあって中々悩ましいのはわかりますけど、まー短国買入はMBが目標じゃなくなったのですから帳尻も不要で、JGBの短期ゾーンの金利コントロールの為にどの程度が良いのか、という観点で運営すればエエンチャウノと思うのでした。
・一方で超長期金利が上昇とな
でもってその影響なのかどうかは良く分からんですが、中短期も華麗に金利低下の巻となって、一方で超長期に関してはブレイナード大先生の予告ホームラン講演などの影響もありますが、輪番公表→あれこれって25-40のレンジが下にスキューしてね?→思いっきり中短期の輪番を下げやがったよ→となると25-40も減額じゃん(200億円だけど)→アチャー、という流れも引き継ぐ、という事で、まーた輪番減らしたら米国金利上昇とぶつかって超長期売られるの巻とか様式美の世界ですな。
まあ確かに短国大爆発を見ますと1-3の輪番もバッサリ落とせるというのは分かるには分かるのですけれども、水曜の輪番オファーって前回の4000億円から3000-4000のレンジ出していきなりレンジの思いっきり下の方の3200まで800億円落とす、というのは輪番スキップ程ではないですけれども相変わらず乱暴でして、1-3は短国含めて短い所の需給が締まっているから輪番減額でもヘーキヘーキではありましたが、超長期25-40のレンジを下にスキューさせたのが1-3輪番の大幅減額と合わせ技で「やはり何だかんだやったけど日銀は超長期の特に後ろの方は金利上昇放置プレイかよ」という強めのメッセージを出す、という結果になった訳ですな。
つまりですな、確かに需給的には短い所減らしても無問題というかおお減らせやという所ではあったと思うのですが、減らすにしてもいきなり4000→3200とか盛大に下げなくても良くて、だったらその前から1-3とか需給良かったんですから2月の最終回に200〜300下げてから今月入ってもう200〜300下げるとか、もうちょっとグラデュアルにやればいいじゃん何でそう慌てて減らそうとするかね(増やす方はディレクティブからの逸脱に繋がるからどーんと増やすというのは技術上分かるが)と思うのでした。
・・・・・・・ということで本日の超長期輪番ですが、10-25は前回の2000億円が今月レンジの1500-2500の真ん中だから同額でどうぞとは思いますが、25-40をレンジ500-1500の中心の1000億円に下げてくるのか、そのまま1200億円で打ってくるのかというのは中々の見もので、まあどっちになっても文句は出る(当然別方向から出るのだが)って感じかも知れませんけれども、米国金利も上昇していることですしさあドウスルドウスル。
既定路線で行くなら1000億円だけど金利上昇放置するのかヴォケと言われるでしょうし、1200億円にしたら(10年10bp抜けるような話でもないし10年入札別にまあ悪くは無かったし)火曜と水曜に出したメッセージをいきなりちゃぶ台返しとかされると輪番で「動く」基準がさっぱり分からんわヴォケこれじゃ相変わらずオペ不確実性変わらんじゃないかと言われるでしょうし、まあどっちでも言われるのでお好きな方でどうぞという所ですな。ナムナム。
○佐藤審議委員会見を鑑賞しましょう
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2017/kk1703a.pdf
・YCCの誘導に関して
『(問) 2 点お伺いします。佐藤審議委員は、昨年 9 月からの新しい枠組みに関しては大筋で同意されている一方で、−0.1%のマイナス金利とゼロ%の長期金利については反対されていると思うのですが、どういった金利水準で、どういった操作をしていくのがよいとお考えかというのが
1 点目です。もう一つは足許の長期金利操作の現状についてです。既に指値オペを実施していて、昨日からオペ日程の公表も始まっていますが、米国の長期金利の上昇によって金利操作に苦戦しているようにもみえるのですが、佐藤審議委員はどのように捉えているのか教えて下さい。また、午前中の挨拶で、指値オペは非常時のツールとおっしゃっていましたが、指値オペの使い方に関してどのようにお考えをお持ちか教えて下さい。』
2点ですが基本的にYCCに関する話なのでまとめて引用、なお答えは長い。
『(答) まず、どういった金利水準が適切かというご質問に関してですが、その時々の経済・物価・金融情勢に応じた最適な金利水準としては、私どもが「総括的な検証」のなかで触れている均衡イールドカーブの概念があると思います。』
ということで以下講演で触れた話と同じですがせっかくなので引用します。
『ただし、こうした適切な政策金利水準やイールドカーブの水準に関し、例えば挨拶要旨の中でも触れたように、テイラー・ルールから算出される最適な政策金利水準にはかなりの幅があると思いますが、最適なイールドカーブの水準にもおそらくそれ以上の幅があると思います。そのため、ここが正しい、ここが最適であるとピンポイントでお示しすることはできませんし、ピンポイントで水準をお示しすることも必ずしも適切ではないと思います。その上で申し上げると、これも挨拶要旨の中で触れましたが、望ましい経済・物価・金融情勢を実現するために最適なイールドカーブの形状は、私どもとしては、現状よりは若干スティープであってもよいのではないかという思いはあります。』
そしてこの先が更にイイハナシダナー。
『次に、長期金利操作をどのようにみているかというご質問に関してですが、金融市場局のオペレーションに関し、私は、かつて民間にいたときとは違い、国債市場における現物あるいは先物の板を常時モニターしたり、あるいは国債市場の値動きを日々細かくフォローしているわけではありません。従って、日々のオペレーションについてあまり細かく口出しして現場が萎縮したり、あるいは逆に過剰反応されても困るので、金融市場調節については、基本的には、ボードが大きな方針を示し、現場のことはなるべく現場に任せればよいと思っています。』
そらそうよ。
『その上で、日々のオペレーションについて、あくまでもこれは感想ですが、翌日物金利がかつては
1bp 単位の細かい微調整が可能であったのとは異なり、10 年物国債金利は元々そういった微調整には馴染まないものだと思いますので、ある程度振れが生じることは致し方ないと思いますし、そうした振れ、特に長いところの振れについては、鷹揚に構えていればよいと思います。』
然り、なのですが実際は10年をエライ精密誘導しようとしている感が強いのがアレ。
『FRBの場合は、そもそも翌日物金利の誘導水準に関するディレクティブで
25bps の幅があるわけです。ましてや 10 年物国債金利ではそれ以上の幅があってもよいのではないかと思います。それから、国債市場において、本行が
10年物国債金利を、例えば上下 10bps の狭いレンジに誘導しようとしているのではないかといった見方が広まっているということは重々承知していますが、実際の
10 年物国債金利の操作目標として、そうした固定的なレンジを想定することは適当ではないと思います。』
『これはあくまでも私個人の考えですが、オペレーションについては、ある程度建設的な曖昧さをもって市場と対話できればよいのではないかと思います』
翌日物に関しても日本は精密誘導しようと(昔は)していてしかも出来る、というのは資金需給を完全に日銀が読める、というのが一つありましたので、やはり長期金利はそうは行かないから鷹揚に構えるべきだとアタクシも思います。
あとコントロールという意味でムツカシイのは、後の質疑でも出てきますが金利水準変えようという時で、翌日物金利って達観すれば「その日が終われば満期到来して消えてしまうポジション」の金利であって、つまりは25bpなり50bpなり動かすにしても事前の織り込みを行うのはそれよりも先の金利であって、「翌日消えるポジション」の金利が翌日に不連続に飛ぶということがあっても、その部分については前日のポジションは消えてスクラッチからのスタートになるのですから、まあレートが飛んで既存ポジションが大やられという話でもない。
しかし10年金利だとポジションは残っている訳で、前日まで誘導水準のレンジ上限の10bp死守のオペレーションを日銀がして翌日のMPMで誘導水準を不連続に25bp上げて、オペの水準も一晩にして豹変、というのはやはりそれは死人続出みたいな話になると思うので、このYCCってのは「日銀の思惑通りに物価がホイホイ上がりだしてインフレ期待も何となく高まった気がする」という状況になった時に「どうやって金利目標水準を調整するのか」という所で最大の試練になるのですな。
それは兎も角続き。
『それから、指値オペを実際に打ったということに関しては、執行部、あるいは現場の判断であり、私から申し上げることは特にありません。』
と言いつつ、
『その上で、私個人としては、10 年物国債金利の操作について、先程も申しましたように、世間で言われているような狭いレンジを想定する必要はないと思いますので、市場の自律調整機能にかんがみれば、必ずしも実施する必要はなかったのではないかという思いはあります。』
まあこれやったが為にレンジが狭くなってしまったので佐藤さんの考えと違う方向に行っていますからね。
『現に米国の財政政策を巡る不透明感から、米国の長期金利の低下に連れて、国内の長期金利も低下気味に推移しているのが現状です。指値オペが真に必要な局面はどういう局面かというと、例えばですが、金融機関や投資家がリスク量の削減のためにポートフォリオとして保有している国債を、値段にかかわらず成り行きで売らざるを得ない局面、やや古い例ですが、2003
年のVaRショックのときや、あるいは 2013 年の「量的・質的金融緩和」導入直後の長期金利が上昇した局面などではないかと思います。』
ですです。
・別に佐藤さんも木内さんも「引締めろ」と言っている訳ではないという件
為念的になりますが、バランスシートの圧縮云々に対する質問に対する答えから引用しますけど。
『(答)(前半割愛)バランスシートを圧縮するかどうかということについては、ブラード総裁がどういう趣旨でおっしゃっているのか詳しくは存じ上げませんので、深く立ち入ることは控えたいと思いますが、日本に照らして考えますと、現状、消費者物価指数はまだマイナスの領域にありますので、2%の「物価安定の目標」の達成にはまだ遠い状況にあります。そういう中で、仮にフローの国債の買入れを減らすということはあっても、ストックを減らすという状況に至るまでには、まだ相当距離があると思います。というのも、ストックを減らすということは、買入れをやめて再投資もしない、あるいはもっと極端にいえば保有国債を売却するということだと思いますが、そういった状況に至るまでにはまだ相当距離があるわけです。そういう点では、日本については、今の政策――昨年
9月の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」という形――を新たに整えましたので、その中でうまく先行きの経済・物価情勢を見極めながら、政策の軟着陸を図っていくということに尽きると思います。』
木内さんの金懇質疑でも「2%には程遠い状況にあるので緩和政策は続けるべき」という話を強調しています。佐藤さんにしても然りですし、そもそもこのお二方は2%当分行かないというビューなのでして、「2%当分行かないのだから長期的に持続可能な金融緩和政策を行うべき」という話をしている、ということはちゃんと確認した方が良いと思ったので引用しておきました。
・誘導目標引き上げの政策的および技術的な論点
長くなるので答えの方だけ引用します。
『(答)(前半割愛)それから、現状より若干スティープなイールドカーブが望ましいのならば、10
年物国債金利の操作目標を引き上げるべきではないかという点について、私自身としては、現状の「短期政策金利−0.1%、10
年金利ゼロ%」というカーブ体系のもとでは、反対理由にも記しております通り、10
年未満のゾーンが恒常的にマイナス圏に沈む可能性があり、これは物価の安定とともに金融システムの安定をマンデートとしている日本銀行の政策目的に合致しないのではないかということで、反対しております。先程のご質問とも重なりますが、水準については、なかなか特定の水準を申し上げることは難しいと思います。ただ、私としては、現状よりはスティープであることが望ましいと考えています。』
というのはともかく。
『また、ターゲットを上げるときの方法論ですが、基本的には、ある程度マーケットに催促されてという形になるかもしれませんが、ビハインド・ザ・カーブ、すなわちある程度マーケット追随で慎重に上げていくことでよいと思います。』
『個人的な考えではありますが、日本銀行がマーケットに先んじて地ならしをする――いきなり
10 年物国債金利の操作目標を引き上げる――ということは、基本的にはサプライズを避けるという観点から、やめたほうがよいと思います。』
ほう。
『経済・物価情勢が改善し、挨拶要旨でも触れているように、消費者物価指数は、「除く生鮮食品」のベースでは足許マイナス圏ですが、エネルギーの要因が剥落したり、あるいはエネルギーを除く基調的な部分が消費の改善に伴って少しでも持ち直してくるということになれば、年末にかけては消費者物価指数の前年比が
1%に届いても全くおかしくない状況だと思います。もちろん、これは原油価格や為替の前提次第という面はあります。』
『そうした消費者物価指数が 1%前後にある場合において、長期金利がいつまでもゼロ%近辺に踏みとどまっているかどうかについては、それはその時々の経済・物価情勢次第ですので、確定的なことを申し上げることはできませんが、日本銀行が
10 年物国債金利の操作目標をゼロ%程度に置き続けることはかなり難しくなっている可能性はあると思います。買入れを大幅に増やしたり、あるいは指値オペを多用したりといった局面になっている可能性はあると思います。そうしたことは基本的には好ましくないと思いますので、私としては、経済・物価情勢が改善しているという認識にボードが至るのであれば、10
年物国債金利の目標を微調整することは十分あって然るべきではないかと思います。』
なるほど。
その先の質問に対する答えでさらにこんなのもありました。
『(答) まず、10 年物国債金利の操作の方法については、10 年物国債金利の操作ということ自体が、中央銀行のなかでの初めての試みです。そうした意味では、操作について実務的なプラクティスが確立されているとは言い難い状況であると思います。ボードの中でも、例えば
10 年物国債金利を先行きどういう幅で動かしていくのか、あるいはどういう頻度で動かしていくかについて特にコンセンサスがあるとは思いません。これも、先行きの長期金利の動向、仮に望ましい物価上昇が起こったときに長期金利がどう反応するか、その反応の程度にもよると思いますので、これも今の段階で何か決め打ちをできるものではないと思います。』
然りなのだが執行部方面が何も考えていない風なのが気になる、というか多分ヤバいと思う。
『それから長期金利の調整に関してですが、2%の達成の前に長期金利の目標水準を引き上げることについて、2%の「物価安定の目標」の達成との関係でどう考えるべきかというご質問と理解しました。基本的には長短金利の操作は、2%の「物価安定の目標」の達成のために行うものであって、2%の「物価安定の目標」を達成するために最適なイールドカーブの形状を作っていくためのものだと理解しています。そういう点では、2%の「物価安定の目標」が達成できていないからといって、長期金利を引き上げることがマンデートに反するのかといえば、必ずしもそうではないと思います。むしろ「物価安定の目標」を達成する観点から、最適なイールドカーブを作っていくためにやっていくものであるとご理解頂きたいと思います。』
ここは与党も野党も統一見解ですね。
でもって更に別の質問でオペ日程の事前公表に対しての説明だが。
『(答) オペの実施日を公表するという点については、先月、オペを一部スキップしたということで、市場との対話が若干ぎくしゃくした面は必ずしも否定できないと思います。それが指値オペの実施に至る発端であったと思いますので、その点においてはオペの実施日を事前に公表するということ自体は、オペがスキップされるという懸念を減じるということになり、不確実性を低下させることにつながりますので、オペレーション運営の透明性の向上に資すると思いますし、恐らく市場参加者の方々からも歓迎して頂けるのではないかと思います。』
『ただ、これによってオペレーションの柔軟性が損なわれたのではないかというご指摘も恐らくあるのではないかと思います。その点で確かにオペの回数、あるいはタイミングの自由度がこれまでよりも低下することは事実ですが、金額に関しては従来通り幅を設けており、毎回のオペのオファー金額については、その時々の市場動向に応じて柔軟に調整していく構えと金融市場局からは聞いています。』
でまあその金額を動かすのがいきなり4000→3200とか中期1か月で考えたら6000億円になるとか、節子それはオペ1回スキップ並み(8掛けくらいですけど)のインパクトや、というのをやってしまう「オペスキップしなければ大幅減額しても良いだろう」というプレイはちょっと・・・・・ではありますが佐藤さんに悪態つく話ではないので先に行きまして、
『月中の金利上昇圧力に対しては、例えば、事前に公表した日以外に追加してオペを実施したり、私はよいとは思いませんが、指値オペを実施することも対応としてはあり得ます。予期せざる金利低下圧力が起こったときには、必要に応じて買入れ利回りに下限を設けてオファーするという手段もあるわけです。今回、オペの実施日を公表するということになりましたが、長短金利を操作していくためのオペの柔軟性は依然として金額、回数等の面では確保されていると理解しています。』
と思ったら減額の方で柔軟というか奔放にやってくる金融市場局ェ・・・・・・・・・・・
・5年間を振り返って
という質問へのお答えを最後に鑑賞しましょう(本当に鑑賞だけ)。
『(答)(前半割愛)2 番目のご質問ですが、7 月までまだ任期が 5 か月弱残っておりますので、5
年間を振り返るのはまだ早いと思っていますが、政策運営などに対する私の考え方については、今回を含めて過去
9 回の金融経済懇談会やそれ以外の講演などで、都度お話しておりますので、特に付け加えることはありません。』
『その上で、過去を振り返りますと、私は 2013 年 4 月の「量的・質的金融緩和」に賛成した後は、2014
年 10 月の追加緩和や、2016 年 1 月のマイナス金利政策、それから同年 9 月の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」について、理由は様々ですが、反対しています。ただ、緩和的な金融環境をできるだけ長く維持し、それによってデフレ脱却への政官財一体となった息の長い取り組みを金融政策面から支援していく、というスタンスでは首尾一貫しているつもりです。』
『ただ、最初の「量的・質的金融緩和」もそうですが、とりわけ 2014 年に「量的・質的金融緩和」を拡大したときは、もともと非常に大規模な非伝統的な金融政策をしていたところに、さらに輪をかけて規模を拡大したということですので、特に政策の持続可能性に関して、私自身、懸念を強めました。このため、政策の持続性を確保すべく、これまで金融政策決定会合において、様々な意見を具申して参ったところです。』
『私としては、これまで行ってきた前例のない大規模な金融緩和策をソフトランディングさせていくことが、今後非常に重要になってくると思いますので、残された任期の間に、引き続き私なりに意見を具申して参りたいと思います。』
『また、これは金融政策に限ったことではありませんが、経済も市場も生き物であり、先行きの予測には限界があると思います。従って、金融政策に関しても、その時々の政策効果を踏まえて、柔軟に対応していくことが重要と思います。それから、常々申し上げていることですが、物価安定の本来の意味を考えると、消費者物価指数の上昇率
2%という表面的な数字に固執することは適当ではないと思います。金融政策の目的とする物価の安定とは、挨拶要旨のなかでもごく簡単に触れていますが、金融システムの安定を含む広い概念であり、中長期的に持続可能なものでなければならないと思います。私自身も引き続きそのことを肝に銘じて、残された任期を務めて参りたいと思います。』
残り7月までよろしくおねがいいたしますm(__)m
○お休みのお知らせ
来週なのですが、不肖このアタクシの個人的事情(要は夏じゃないけど夏休み)のため、来週の更新は誠に恐縮ですがお休みさせて頂きます。まあ急に何か書きたくならない限りは再来週月曜日から再開する予定です。宜しくお願い申し上げます。
2017/03/02
お題「中期1-3年輪番大幅減額とな/佐藤審議委員もたぶん最後の金懇」
まあドル高。
http://jp.reuters.com/article/forex-ny-open-idJPKBN1684UT
Business | 2017年 03月 2日 00:35 JST
ドル急伸、早期米利上げ観測強まる=NY外為・序盤
http://jp.reuters.com/article/ny-fed-idJPKBN1672R5
Business | 2017年 03月 1日 10:56 JST
米利上げの根拠は「かなり強まっている」─NY連銀総裁=CNN
年3回上げようと思ったら今回上げるか次回の予告ホームラン入れて置かないと3回は厳しい感じがします訳で、特攻モードになるんでしょうかねえ。
○輪番中期1-3年大減額なんだが目先の需給で極端に動きすぎじゃないのかと小一時間
つーことで注目されておりました昨日の10時10分でございますが・・・・・・・・・・
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of170301.htm
国債買入(残存期間1年超3年以下) 3,200 2017年3月3日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 4,000 2017年3月3日
国債買入(物価連動債) 250 2017年3月3日
・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)
物国はさておきまして、昨日申し上げましたように中短期の輪番ですけれども予定公表によりますと、
中期1-3年:3000〜4000(2月最終回4000億円)→3200億円
中期3-5年:3500〜4500(2月最終回4200億円)→4000億円
となりまして、幾らなんでも最初からそんなにドカドカ減らさんだろとか思ったらいきなり初回から中期の1-3年を3000〜4000のレンジの真ん中よりも少ない方にシフトして一気に800億円減額して来るの巻。それから中期3-5年も最終回よりも200億円減額して来て、火曜日に示したレンジの中心値まで下げてくるの巻となりました。1000億円減額で中期輪番は6回になりますから、1月に中期輪番唐突にスキップして8200億円一発減らしたののリベンジマッチキタコレという所ですな、うんうん。
こうなりますと他の年限ですけれども、()内は2月最終回(ってこれ昨日の駄文からコピペするという手抜きプレイですが)で→が今月初回の買入額としますと、
短期:500〜1000(700億円)
中期1-3年:3000〜4000(4000億円)→3200億円
中期3-5年:3500〜4500(4200億円)→4000億円
長期:3500〜5500(4500億円)
超長期10-25年:1500〜2500(2000億円)
超長期25-40年:500〜1500(1200億円)
となっているので、短期を刻むかは兎も角として、これは超長期25-40年だけ1000億円(500〜1500の中心値)になりますと言っているのと同じという話でして、超長期輪番は2月の月中に超長期前半後半ともに100億円ずつ拡大したものが、今月は超長期後半だけ200億円減額して超長期輪番増額の帳尻を取りに来たのですけれども、その間にバランスが変わっているから、昨日申し上げた「10年近辺をガッツリ買って後は隙あらば減額」というのが思いっきり3月頭から全力疾走ということになってしまいました。
いやー中短期減額はどこかであるかと思ったのですが、いきなりこんな所で減額するとは、という感じですが、この結果としてどうなったかと言えば、「超長期25年超が1回200億円減る」というのと「10年から遠い所はやたら減額したがっている」という連想の方がインパクト出るという結果となり、昨日の各カレント引けは・・・・・・・・・・
2年374:▲0.255%(0.0)(火曜の新発じゃない方だと373で▲0.275%(0.0))
5年130:▲0.135%(+1.0)
10年345:0.060%(+1.0)
20年159:0.650%(+2.5)
30年53:0.835%(+3.5)
40年9:0.990%(+4.5)
と超長期の後ろに向けてベアスティープニングするという結果になりまして、この措置は中期輪番スキップ後の盛大な金利上昇を受けて市場安定化の為に導入したもの、と理解しておりましたが、何という残念な大減額という感じではございます。
勿論昨日は米国利上げ観測ネタとかトランプ演説が平和(中身が大して無くても落ち着いて話せば評価されるとか羨ましい立場ですな)だったというようなことからドル高円安になっていたりとか言うのは勿論ありましたが、やはり国内金利に関しては中短期の輪番が減額されたことによって超長期のロンガーエンドの輪番が減額されるのではないか、とか、この調子だとまた輪番は削減方向に舵を切っているよね、とか、足元の中短期ゾーンの需給云々などと別のメッセージが今回のオペオファーで出た、と市場が普通に受け取る動きになっちゃいましたね、という事です。
もしかしたら昨日の動きを見て調節部署の中の人たちって「1-3年の輪番を市場の需給動向を受けて思い切って減額してみたが、1-3年ゾーンの引値はほぼ変わらず(3年でやっと1毛甘)となっていたし、5年の引けも1毛甘で止まっているので減額の影響はそれほどなくて成功」「超長期の金利が上昇したのは海外要因」と分析しているのではないかと懸念してしまうのですが、後ろの金利が上がったのは米国3月利上げ云々もあるけどカーブの後ろの売りが加速したのは「あのオペだとロンガーエンドのイールドカーブを日銀が意図的に立ててきていると市場が思った」ということでありまして、そこは履き違えない方が良いと思うのですよね〜。
・・・・・いやまあ確かに中短期特に短い所とか需給がタイトになっているみたいで、金利の水準も盛大に低い(新発じゃない2年カレント近辺で▲0.275%なのですから)のですが、それにしても4000億円を3200億円までいきなり落とすわ月末に出したレンジの中心よりも低いのを出すことによって超長期後半の減額感も出すわとかやるにしても極端で、何でこうブレブレになるのよと思います、だってここまで流れって・・・・・・・・・・
中期輪番スキップ→長期輪番増額→翌月予定での長期輪番予定減額→やっぱり長期輪番減額せず→それでも足りずに指値オペ→今度は長期輪番3連発→超長期輪番増額→輪番日程の事前公表の方向性を示す→3月輪番予定で日程は示すが初回予定出さないわ中期と超長期後半のレンジが妙に少ない方にスキューする→中期1-3年大幅減額
と来ている訳で、まあ意図して市場の見通しを一々外して嫌がらせをしようとしているのであればそれはそれで(市場の片隅の人としては困るものの)一つの思想としては完結しているのですが、何ぼ何でもそんな嫌がらせをしようとしている訳ではないとは思う(と思いたい)のでありまして、そうなると何かこう目先の市場の反応とか短期的な需給の揺らぎに対して一々反応し過ぎなのではなかろうか、と斯様考える所なのでございます。
あとですね、まあ確かに短い所特に1-3とか需給タイトだし4月からはビルとか(短国買入も減りますが)中期とかの市中消化減るので、というのは分かるのですが、そもそも1月25日の中期輪番スキップ、という要は大減額措置から諸々の事が始まった訳でして、中期輪番をいきなりバッサリ減らすというのは多分オペ運営的には鬼門ではないか、とも思ってしまう訳ですよ。
でもって何か昨日も申しあげた気がしますがしつこく申し上げますと、今月の輪番については予定表および中期輪番の入り具合から言って、今の所2月対比で中期大減額、10年は1月最後に増やした4500億円のまま走り、10-25年は2月途中で増やした100億円をそのまま維持するけれども、25年超は2月途中で増やした100億円をドテン200億円減額するように見える、というか普通に考えるとそういう発想をせざるを得ない訳ですが、そうなりますと「長期から20年近辺までをガッツリと買っておけば短い所や超長期ロンガーエンドの金利が少々動いても10年金利のコントロールは出来る」と思っているということを意味すると思うんですが、正直それはちょっと市場を甘く見ていると思うの。
まあ何でそうなのか、と詰めて質問されると答えに困るのですが(大汗)、市場の片隅でおこぼれ拾っております拾い屋おじちゃんの経験則的に申し上げて、中期と超長期のロンガーエンドを同時に不安定にしておいたら、イールドカーブ全体が安定しないんじゃネーノと思う(根拠はただの現場経験的な勘としか言いようがないが)訳で、まあそれでも色々と力技を使って10年を止める余地はあると思いますが、そんな面倒かつコストやフリクションの大きそうな事をせんでも良かろうにと思う訳です。
然るに、今回の一連の措置って何か「10年ピン止め」の方にシフトし過ぎだし、透明性高める代わりに自由度を下げる、というのを拒んだ結果として結局中途半端なままで透明性が高まって無いんじゃネーノという事になっている訳ですな。まあ明日の超長期輪番がまたまた注目されるのですが、ここで超長期輪番の25-40年を事前公表レンジの中心となる1000億円にしないで(さらに減らしたらそれはそれで隙あらば減額としての一貫性はあるので評価しますけど勿論金利安定化策としては全然評価できない)1200億円を継続して来た日には、「じゃあ何で中期1-3年輪番をあんなにガッツリ減らしたの」というこれまた継続性に乏しいその場の市場動向に一々振らされる「自分の尾を追う犬」もビックリの自作自演オペになってしまうのでして、明日のオペはこれはこれで極めて注目されるネタになりそうですな。
ただまあそういうネタになるというのは輪番の透明性が高まったとは言えない、という事でもありまして、そういう風にならないで淡々とオペを実施して、減らすにしたってもうちょっとマイルドにやって何か問題ありましたっけ(途中で中短期の金利がさらにバカスカ下がったり札割れ寸前みたいになったら「もう一段減額だなあ」とかコンセンサスになってきて、それに乗っかってしまえば減額即フリクションみたいな事にならないというものではないかと)と思う訳ですよ。例えばの話2月最終回の中期輪番をちょっと(1-3を200だけとか)減らしてみて、それでも金利低下継続するなら3月初回もちょっと減らしてみて、というような匍匐前進で減らせばそんなに市場にフリクションを発生させないと思うのですけれども、とかそんな話。何せ中期輪番は月に6回あるのですから様子を見ながら減らすんだってあったのではないかとは思うのですけど、何か初手から極端に減らすというのは何とも。
なお、これで3日の超長期で25-40年がどういう額でオファーされるかが注目になるのですけれども、ここで1200億円変わらずとかやるとそれはそれでズッコケ三銃士というお話でござんして、「機動的な対応(キリッ)」としてはそれでも良いのかも知れませんけれども、債券市場超ドミナントプレーヤーが市場の動きに過敏に反応されると皆がそれに散々振り回される訳で、それは市場安定化策にはならないし、結局のところ透明性向上にも寄与しないと思うのですよね。さてどうなることやら。
ちなみに28日にこういうのが出ていたようですがすっかり気づかずスルーしていました。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-28/OM2TSS6K50Y401
日銀オペ実施日を初めて公表、透明性高め金融調節を円滑化−3月方針
三浦和美、山中英典
2017年2月28日 18:32 JST
中身はめんどいので引用しませんけど。
○ところでまーた債券市場の機能度が下がっている訳だが
http://www.boj.or.jp/paym/bond/bond1702.pdf
ええまあそうですかという結果なのですが、佐藤審議委員講演ネタの方があるのでとりあえず備忘にURL置いてみただけという事でご勘弁。
○佐藤審議委員(多分最後の)金懇はコンパクトに砲撃を加えておりますな
トランプ演説というイベントにぶつかっていましたがちゃんと注目されていたと思いますよ。
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2017/data/ko170301a.pdf
わが国の経済・金融情勢と金融政策
── 徳島県金融経済懇談会における挨拶要旨 ──
日本銀行政策委員会審議委員
佐藤 健裕
・海外経済のリスク要因は
『2.内外経済・金融情勢』の『(1)国際金融市場と世界経済の動向 』
現状の話とかはまあ特段ぶっ飛んだ話をしている訳でもないのでそれ以外の辺りで。
『こうしたなか、先行きのリスク要因は、米金融政策がもたらす国際金融市場の資金フローの変化、なかんずく新興国からの資金流出の可能性である。過去の米金融緩和期に積みあがった新興国債務の問題は、足許あまり注目されないが、いわば慢性疾患であり解決に時間を要する。また、中国は各種経済対策の効果発現により安定成長に向かっているとはいえ、国内の過剰債務問題などの構造問題には引き続き留意する必要がある。なお、昨年は政治情勢が市場の攪乱要因となっただけに、本年も、とりわけ欧州の政治情勢をリスク要因と認識している。
』
新興国の資金フローの変化、中国の構造問題、欧州政治情勢がリスクと、
・賃金と物価に関して
『(2)国内経済の動向 』では賃金と物価の話に力を入れています。
『国内経済の論点は多岐にわたるが、ここでは後述する物価との関連で、最近の雇用情勢と賃金との関係に着目したい。』
ほう。
『全国的に人手不足が深刻化し、雇用情勢は逼迫度合いを強めている。ただし、地方の雇用逼迫には人口動態の影響もあるとみられる。例えば、地域別の有効求人倍率に着目すると、2000
年代以前は、好況時は地域のバラツキが大きく、好調な地域では倍率が大きく上昇したが、雇用情勢の不芳な地域では倍率が低位のままであった。これに対し、今回の局面ではそうしたバラツキが縮小し、もともと低位であった地域も倍率が上昇しており、好調な地域とそうでない地域の差があまりみられなくなっている。実際、昨年は全国
47 都道府県で有効求人倍率が初めて 1 倍を超えた。こうした地方における求人倍率の底上げは、人口移動による求職者数減少の影響もあるとみられ、単純に経済情勢の改善によると解釈するのはやや違和感がある。』
然り。
『こうしたなかで職種別の有効求人倍率に着目すると、逼迫度合いのバラつきは大きい。例えば、介護関連、建設などでは同倍率が
3 倍を超えているのに対し、一般事務の職業では 0.3 倍台にとどまる。とりわけ事務系正社員の倍率は低い。すなわち、特殊な技能を持つ建設労働者や運輸業におけるドライバーなど、あるいは政策的に賃金が抑えられ供給の恒常的に不足する介護関連で需給が逼迫する一方、事務系の職業は引き続き供給余剰である。』
特殊技能もない事務系のこのアタクシはそらもうアレですということですなトホホのホ。
『以上、業種によるバラつきはあるものの、雇用情勢逼迫を映じて非正規雇用の時間当たり賃金は前年比+2%程度の伸びとなる一方、正社員の基本給は雇用余剰感を映じて上がりにくい。また、非正規雇用の賃金や雇用者所得は、正社員より低いので、Composition
効果もあり、マクロ全体の時間当たり賃金や雇用者所得を押し上げるには力不足となっている。このことが以下に述べる物価の上がりにくさの一因であることで大方の見方は一致している。』
ですです。
『経営者の視点でも、事務系正社員に余剰感があったり、生産性に見合わない賃金が支払われているとすれば、固定費である正社員の基本給引き上げのハードルはやはり高いと見ざるを得ない。この問題は、後に述べる労働市場のあり方そのものと関わる課題であり、各方面のコンセンサス形成を急ぐ必要があると感じている。』
しょぼーん。
『(3)物価面の動向 』に参ります。
『12月の消費者物価(全国)は除く生鮮・エネルギーで前年同月比+0.1%と引き続きゼロ%程度で弱めの動きとなっている。昨年前半の市場の混乱などから人々のマインドが慎重化し、消費の足取りが重くなるなか、家計の安値志向や節約志向が再燃し、企業もそれに呼応して価格設定行動を慎重化させたことが主因と考えられる。』
つまりインフレ期待が上がらなかったのか下がったのかですね。
『足許は、市場環境が好転するなかで人々のマインドも改善し、消費は幾分底堅さを増している。基調的な物価の動きは消費動向を敏感に反映するとみられるだけに、昨年来弱めの動きが続いた消費者物価の基調に、早ければこの1〜3月期にも転機が訪れることを期待感をもって見守っている。』
アタクシも期待しているのですがどうなるでしょうか。
『また、エネルギーを含む消費者物価(除く生鮮)の前年比上昇率はエネルギー価格のマイナス寄与がやはりこの
1〜3 月期に剥落し、次第にプラス寄与に転じるとみられることから、基調的な物価の動きと相まって先行き一段と持ち直すことが期待される。原油価格と為替相場の前提次第だが、年度後半にかけては前年比上昇率+1%超えを展望できないわけではない。』
これがどうなるか、ということで年度後半は事と次第によっては面白相場になると思うのですが、債券村の方はその年度後半まで兵糧が持つのか位の勢いなのが悲しい。
・そして物価の話の中にYCCやQQEへの砲撃がドカドカと打ち込まれるの巻
『今のところ、市場の物価観はそこまで強気化しているようには見受けられないが、仮にコンセンサスを上回るペースで消費者物価の前年比上昇率が伸びるサプライズとなる場合、本行の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」によりゼロ%近傍に張り付く長期金利への上昇圧力が強まる可能性があり、丹念にモニタリングを行っていきたい。』
こちとら面白相場到来とかお気楽に言ってますがそらまあ試練ですよね。
『ところで、「量的・質的金融緩和」実施以来4年間の経験知として、長引くデフレのもとで人々の中長期的な予想物価上昇率が一旦低下すると、大規模な非伝統的金融政策をもってしても、その回復を図ることは容易ではないことがわかった。』
返す刀でいきなりQQEに斬りかかって来ましたよ!
『昨年9月の「総括的な検証」で指摘のとおり、人々の中長期的な予想物価上昇率の形成に際し、日本では過去の消費者物価上昇率の影響が大きい、すなわち適合的な期待形成の要素が強いとみられる。』
『人々の物価観が保守化すると価格改定頻度が低下し、公共料金に代表されるように、とりわけサービス価格は粘着的となる。サービスの対価である価格が低廉に抑えられる結果、サービス提供側の賃金も抑えられる悪循環が生じるのは、人々の中長期的な予想物価上昇率、言い換えれば物価に対する規範(norm)が過度に保守的になり、変化しにくいことに因ると思われる。』
『このような適合的、かつ粘着的な期待形成メカニズムから、一旦低下してしまった予想物価上昇率を押し上げるには、実際の消費者物価が、需要ショック・供給ショックいずれの要因にせよ、ある程度上昇することが必要条件の一つであろう。』
でもって1回目はそのショックでの物価上昇が繋がってくれませんでしたが・・・・・・・・・
『足許のエネルギー価格などの持ち直しは、物価の基調的な動きに転機が訪れると見込まれるなかで、予想物価上昇率を幾分高める方向に働くと考えられる。しかし、その時々の外的環境に左右される面があることは否めない。』
ほほう。
『より本源的には、労働市場における賃金決定メカニズムの変革を通じ、欧米のようなフォワード・ルッキングな期待形成に移行することが望ましいと考えている。すなわち、賃金交渉過程において過去の消費者物価の実績値を参照するこれまでの慣行に代わり、先行き数年間、あるいはより中長期的な物価のパスの認識を労使間でシェアしたうえでの賃金交渉となること、しかも中央銀行の物価目標がそうした中長期的な物価のパスの考え方のベースとなることが理想である。そのためには、中央銀行の物価目標、あるいは金融政策が人々に十分に信認される必要があろう。』
ということで最後に「金融政策が人々に十分に信認される必要があろう」って今の政策への信認が足りないからノルムが変わらん、と期待に働きかける政策が不十分であることを示しています。
でもってじゃあどうやるか、という話も含めた佐藤節がこの次の『3.当面の金融政策運営
』でバンバンでるのでした。つーことで佐藤節鑑賞会であるのですが・・・・・・・・・・
・YCCは箱としては良いのだが運営の建付けが悪いというお話
『3.当面の金融政策運営 』の『(1)「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」について
』から始まります。
『私は、一旦低下した人々の中長期的な予想物価上昇率を引き上げ、デフレ脱却を完遂するには中長期的な息の長い取り組みが必要であり、そのためには、短期決戦型でいわばショック療法的なかつての「量的・質的金融緩和」をより柔軟で持続的な枠組みに作り替えていく必要性を以前から主張してきた。』
結局のところ「期待をショックで大きく変える」のは困難性が高く、地道に長期的な緩和でのサポートをするしかない、という話なので理念としては木内さんと同じだと思うので、もうちょっとうまくまとめて「2名で提案」みたいなのを見たかったなあとは思います。もう2回しかMPM残ってないけど(しかも最後は退任直前)。
『昨年9月に「総括的な検証」を経て決定に至った「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」は私の従来からの主張に沿うもので、私はこの枠組み自体には大筋で同意している。』
しかし・・・・・・・・
『もっとも、政策金利を-0.1%、10 年金利の操作目標をゼロ%程度とする現行の金利誘導目標は、期間
10 年までの金利をマイナス圏で固定することにつながり兼ねない。とりわけ、期間
3〜5 年までの中短期ゾーンは現行のディレクティブではマイナス圏で推移し続ける可能性が高く、そうした状況が、金融システムの安定性維持という日本銀行のもう一つのマンデートに資するとは考えにくいとの理由から誘導目標水準には反対票を投じてきた。』
つまり折角の良い箱なのに建付けの方法間違っていると言いたい訳ですねわかります、
・最適イールドカーブなどピンポイントで出せるわけがないのだから・・・・・・・・・・
さらにYCC方面への爆撃が行われます。
『ただし、この枠組みは 1950 年代まで米国が採用した長期金利ペッグと異なり、毎回の会合において次回会合までの操作目標水準を都度決定する柔軟な仕組みである。その下で、長期金利操作についてはその時々の経済・物価・金融情勢やそれらの変化のモメンタムを勘案しながら、最適なイールドカーブの形状を政策委員会で判断している。』
本当に判断しているんですか??????????その割にはいつも「現状が適正」しかコメントが出て来ないんですけどねえ(棒読み)。
『もっとも、最適なイールドカーブの形状に関しては、テイラールールから算出される最適な政策金利水準にかなりの幅があるのと同様、あるいはそれ以上に解釈の幅があり、最新の経済学の知見をもってしても景気中立的な均衡イールドカーブの形状が一義的にピンポイントで定まるわけではない。』
その通り。
『また、長期金利操作に関する政策実務上のプラクティスが必ずしも確立しているとは言い切れない現状では、操作のタイミングや幅などは、無論、政策委員会の判断事項ではあるが、操作に先立っては市場との入念な対話によりサプライズを避けるなどの周到な配慮も必要と私は考える。』
まあ今回もサプライズやっているんですけどね。
『以上の考え方のもとで、長期金利操作の政策反応関数について私なりの考えを示せば、仮に経済・物価情勢が望ましい方向に変化し、また市場がそれに応じて、ないしはそれを先取りして変化しているという認識に政策委員会が至れば、市場の動きを追認する形で操作目標水準を柔軟に調整していくことが適当と思う。』
これは一つの考え方なのですが、これをするには相応に広いレンジでの金利変動を容認する形にしておかないと「市場の動きを追認」ということが出来ない訳で、今のように10年0.10%(だか0.11%)の所で日銀大出動宣言が黙示的にではありますが出ている、という状況になってしまいますと、これはSNBの為替介入パターンと似たことになっているとしか申し上げようがない訳でして、ある日突然大決壊大洪水という事になるでしょうな、と懸念してるんですが。
『例えば、この政策が奏効し、人々の予想物価上昇率が高まれば、債券市場ではインフレのリスクプレミアムが認識され、名目金利に上昇圧力がかかると考えるのが自然である。その場合、私の見方からすると、通常の国債買入れで日本銀行が名目金利をゼロ%程度で抑え続けることができるかどうかは不確実性がある。仮にできるとしても長く抑えすぎると、その間に金融不均衡の蓄積を招く恐れがあり好ましくない。さらに、指値方式の無制限買入れは、市場を制御するのに短期的には効果的かもしれないが、実施することにより中央銀行が特定の金利水準にコミットする強いメッセージを発することになるため、その後の政策運営を縛り、市場との対話に支障をきたすなどの影響が出かねないと私は考えている。その点、指値での買入れなどはあくまでも非常時のツールキットという位置付けと理解している。』
ということでアタクシが申し上げる話をもっと美しい表現でご説明頂いております(大汗)。
『ビハインド・ザ・カーブであれ、市場の状況に応じて柔軟かつ緩やかに操作目標を調整してゆくのがプルーデントな政策運営のあり方であると思う。』
まあこの場合には「市場が追い込み掛けまくってくる」というリスクはあるとは思います。
『なお、私としては、望ましい経済・物価情勢の実現に最適なイールドカーブの形状は適度にスティープであるべきと考えている。』
主な意見などでも出ていましたなあ。
『イールドカーブが過度にフラット化し、先行き金利が低下し続けるという予想が支配的になると、企業や家計の資金調達のタイミングの先送り傾向が強まり、投資や消費の先送り、すなわち需要の後ずれに繋がりやすい。』
そう来たか。
『その点、適度なスティープニングは健全な経済活動を刺激する上でむしろ有用であり、併せて社会保障制度の持続性を高め、人々のコンフィデンス安定に資するであろう。一方、スティープニングのマイナス影響については、20〜30
年といった超長期のタームで資金調達する国以外の経済主体はもともとキャッシュフローが潤沢で安定した企業に限られるため、マクロの設備投資への抑制効果はほとんどないと私はみている。』
なるほど。
・量から金利という説明を思いっきり行っています
次の小見出しが『(2)マネタリーベース目標から金利目標への転換 』とこれまた置物一派が血圧を上げそうな小見出し。
『「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」から「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」への政策変更のポイントの一つは、金融調節方針における操作目標をそれまでのマネタリーベース目標から伝統的な金利目標としたことである。』
ここも木内さんと同じ説明ですが、置物一派はどういうのでしょうかね。
『その点、マネタリーベース増額の柱であった年間約 80 兆円ペースの国債買入れ目標も現行の枠組みでは「めど」となり、金融市場調節方針を強く縛るものではなくなった。したがって、長期国債買入れでもなおマネタリーベース目標を埋めきれないことに備え、補完的に実施してきた短期国債の買入れも本来的には不要であると私は考えている。短期金融市場への影響を見極めつつ残高を更に圧縮していくことが望ましいと思う。』
短国買入は減らしても減らしても(つーか今の残高相変わらず多いんだが)レート上がりませんな。
『もっとも、長期金利操作の前提として、年間約 80 兆円かどうかはともかく、相応の量の国債買入れを続けることも必要である。』
そらそうよ。
『その場合の長期金利への影響だが、買入れ継続により中央銀行の資産サイドに国債が蓄積するにつれ、ストック効果から長期金利には低下圧力がかかると考えるのが自然である。』
まーここは微妙ですがFEDの金利が利上げしてもあまり上がらんのをストック効果と言い張ることも可能ですし、ストック効果については説明の方便という気もしますし、まあ何でしょうかねという所。
『理論的には量と金利を同時に目標とすることはできないし、実際の政策の枠組みもそのようにはなっていないので、仮に長期金利操作目標をゼロ%程度とすることを相応の期間継続する場合、長期国債の買入れ額は次第に減少に向かうと考えることもまた自然であると思う。』
まあそうなのですがオペの減らし方が中期輪番いきなり飛ばしたり前回から一発1000億円減らしてみたりとあまり自然じゃない下げ方をするのでそこでギクシャクするんでしょうなあ。
『その場合、約 80 兆円の「めど」との関係が問題になりうるが、私としては「めど」はあくまでめどであるので、あまり縛られる必要もないと考える。ゼロ%程度という長期金利を実現するのに必要にして十分な国債買入れ額が、理論的には次第に減少に向かうということは、やや長い目でみてデフレ脱却後の望ましい出口のあり方を考えると、金融政策のスムーズな正常化を促す重要な要素になると考える。』
なるほど。
・財政と金融の話
実質ケツの部分になってきます。『(3)財政・構造政策との関係 』からで、ヘリマネとかFTPLが話題になりますよね、という前振りに続いてこういう話になる。
『前者のヘリコプター・マネーの定義は論者により区々だが、日本ではそもそも中央銀行による直接的な財政ファイナンスは法律で禁じられている。また、ヘリコプター・マネー論者がしばしば言及する無利子永久国債の中央銀行による引き受けは、たとえ法律上の問題をクリアできても、経済的に無価値、あるいはそれに近いものを資産計上する発想自体、実務上、現実的でない。』
『後者の「物価水準の財政理論」については、仮に財政拡張によりインフレが起こることで政府債務が事後的にファイナンスされるにせよ、実証的な研究蓄積はまだ不十分であるため、政策策定のためのマクロ経済予測には使いづらい。』
一刀の下に斬り捨てております。
『経済政策はさまざまな経済主体の利害得失を超える重い判断で実施されるが、インフレはいつか必ず起こる、しかしいつ起こるかはわからない、という経済モデルでステークホルダーを説得することは困難だからである。マクロ政策が法律上、会計上、実務上、ひいては議会の同意の必要性というさまざまな制約のもとで運営され、政策当局がそうした制約を強く意識せざるを得ない以上、現実の政策運営はプルーデントなものにならざるを得ない。』
しかも斬った挙句にトドメまでさしていますね!!!!!!!
そして返す刀で置物リフレの「金融政策で2%物価目標で世の中バラ色」論まで叩き斬るというキレッキレの文言が入ります。
『非伝統的金融政策の限界から政界・学界で財政拡張に改めて焦点が当たっていることについては、そもそも日本では未曾有の強力な金融緩和でもなかなか景気回復が実感されにくく、また欧州でもソブリン債務危機などから財政政策の限界が強く意識され金融政策への期待が過度に高まったことの反動と認識している。特に
2008 年の世界的な金融危機をさまざまな非伝統的手段で乗り切ったことで金融政策があたかも万能であるかのような誤解(only
game in town)が広がった。その点、最近の財政発動への期待の広がりには、歴史は繰り返す、という教訓を感じる。』
とまあここまで滅多切りしておきながら次の所での話のマイルドな纏め方にこれはウマイと感心してしまいました。
『ともあれ、財政政策と金融政策の協調で循環的に景気を下支えすることで時間を稼ぎ、その間に構造政策で潜在成長力を強化するというオーソドックスな戦略が日本のみならず、世界的に一定の支持を得るようになってきたことについては、安倍政権発足当初の「三本の矢」の発想に通じるものがあり、私としてもシンパシーを感じる。
安倍ちゃん肝いりの置物大先生の置物理論系の話をを散々滅多切りしておいてしらっとこういう纏め方を入れるというのが実にウマイなーと感心(皮肉ではなく)しました(^^)。
つーことでさらにまとめ。
『こうしたなか、中央銀行の役割は、緩和的な金融環境を維持することで財政政策と構造政策の効果を最大限に引き出していくことに尽きると思う。』
結局の所中長期的に金融緩和を粘り強く続けるための戦略、つまり短期決戦から長期戦への移行が必要なのですが、まあマイナス金利もそうですし、目先の市場の動きに一々律儀(?)に反応してあれやこれやと繰り出してきて却って市場のボラ投下となっているYCCの運営といい、中々そういう風になっていないのが残念な所です。
『そのなかで日本銀行が長短金利操作という前例のない政策運営を行っているわけだが、長期金利操作のそもそもの前提は、持続的な財政基盤確立に向けた政府の努力により国債市場の信認の維持が図られることである。』
そらそうですな。
『この点、仮に、日本銀行が長期金利をゼロ%程度に誘導することで財政規律が弱まる方向となると、財政への信認に影響し、日本銀行は長期金利操作のために一段の国債買入れ拡大を余儀なくされる可能性がある。また、財政への信認が低下して長期金利が上昇する場合、日本銀行の買入れでリスクプレミアムの拡大を抑えることができるかどうかは不確実である。こうしたもとで、この政策は財政政策スタンス次第で財政従属となるリスクがあることを念頭に置く必要があると私は考えている。』
『国債発行のかなりの部分を日本銀行が買い入れているが、国債買入れはデフレ脱却と「物価安定の目標」達成の観点から行っているのであって、財政ファイナンス目的ではないことを改めて明確にしておきたい。』
全く同意であります。ということで多分最後の佐藤さんの金懇は木内さんのような暴れ講演というよりは淡々としたトーンながらも政策(主に置物理論的なサムシング)に対して情け容赦なく斬り付けまくってトドメまで刺しに行くという感じでしたな。
2017/03/01
お題「輪番予定額と日程が公表されましたが何か思ってたのと微妙に違うなあと」
本日はただの輪番雑談バージョンにてご勘弁ありたし。
○3月輪番予定が公表されましたが・・・・・・・・・・・・・
注目の17時の輪番予定公表ですが微妙に唸る内容。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2017/rel170228e.pdf
当面の長期国債等の買入れの運営について
日本銀行は、長期国債等の買入れについて、当面、以下のとおり運営することとしました(2017年3月1日より適用)。
前回がこちら
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2017/rel170131c.pdf
ということで最初から比較してみますと・・・・・・・・・・
・買入回数については前月並み維持が確約されています
『(2)買入頻度
現時点で予定している買入れの日程は、別紙のとおり。ただし、必要に応じて回数を増やすことがある。
(3)買入金額
金利操作方針を実現するため、市場の動向等を踏まえて弾力的に運用する。』(今回)
『(2)買入頻度
月8〜10回(営業日)程度(必要に応じて回数を増やすことがある)
(3)買入金額
毎月8〜12兆円程度を基本としつつ、金利操作方針を実現するよう、市場動向を踏まえて弾力的に運用する。国債種類・残存期間による区分別の買入金額については、別紙のとおり。』(前回)
となっていまして、買入対象国債と買入方式については従来通りとなっています。
変化としては・・・・・・
(2)の買入頻度に関して前回は「全体の回数」については「必要に応じて回数を増やすことがある」となっていましたが、回数についてもレンジになっていましたので、一番少ない「月間8回」になると、1回に2つの残存区分は最低オファーするので、全部合わせると一番少なくなると16残存区分となりますが、中期、長期、超長期をレンジの下限回数のオファーにすると14回(5+5+4)となり、1年未満と物価連動が各2回で変動利付が1回なので、全部を下限でやっても月間8回の帳尻があってしまう計算になっていました。
これに対して3月からの方式では、主要3残存区分については、日程が指定されているので、中期6回、長期6回、超長期5回のオファーが確約済みで、更に「必要に応じて回数を増やすことがある」となっており、減ることは無いので「輪番スキップ」は無い上に回数は維持となっています。
・10年をピン止めする気が満々、というのと、中期を減額しますよ、というレンジの見せ方
ところが(3)の買入金額に関しては別紙にありますように、レンジと主要3残存区分の買入予定日については公約(??)通り記載があるのですけれども、肝心の「3月初回の買入予定額」が書いていないという中々謎展開になっております。
今回はレンジの表示だけで翌月初回の買入予定額が書いていなくて、単にレンジが表記されているだけのものとなっています。
短期:500〜1000
中期1-3年:3000〜4000
中期3-5年:3500〜4500
長期:3500〜5500
超長期10-25年:1500〜2500
超長期25-40年:500〜1500
物国:250
変国:1000(来月は奇数月なので無し)
でもってこのレンジに2月の最終回のオファー額を()で入れてみますとこうなります。
短期:500〜1000(700億円)
中期1-3年:3000〜4000(4000億円)
中期3-5年:3500〜4500(4200億円)
長期:3500〜5500(4500億円)
超長期10-25年:1500〜2500(2000億円)
超長期25-40年:500〜1500(1200億円)
物国:250(4500億円)
変国:1000(1000億円)(来月は奇数月なので無し)
これを見ますと、長期と超長期10-25年については前月最終回の買入オファー額が公表されたレンジの中間地点となり、中心からプラスマイナスが均等になっています。また、物国変国には変更が無いのは順当。
短期の方はまあ2月最終回がレンジの中心にあるとしまして(500単位のレンジになっているからここでわざわざ500-900とするのも妙ですし)ここまではまあ2月最終回からの流れを踏襲していると言えるでしょう。
その先が何だかなあの部分になるのですけれども、超長期25-40年と中期3-5年に関しては、2月最終回がそれぞれ1200億円と4200億円ですから、上下500で取ればそれぞれ700-1700と3700-4700になります。
然るに、レンジに関しては一応500単位の近い方に揃えたとは言えますが、額の少ない方にレンジを寄せているとも言えまして、何となく微妙な上に・・・・・・・・・・・・・
中期輪番の1-3年がおーという感じで、これは何と2月最終オファーがレンジの上限となっているというナンジャソラな内容となっておりまして、まー確かに需給が逼迫気味な所ではあるのですが、中期1-3の輪番を増やす気無し、というメッセージを出してくるとはびっくりしたなあもうという所でして、中期1-3のレンジが下振れしているせいか、中期3-5のレンジも(超長期25-40と同じパターンとは言え)レンジが下方シフトしている様に見えます(逆に超長期25-40は超長期10-25のレンジが2月最終回の買入額を中心に持ってきているので、あまり下方シフトに見えない)
つーことで、何か知らんのですが「10年とその近辺に関しては2月に輪番増額したのをそのまま継承してせっせと買います」というのは分かるのですが、10年から遠くなる(短期除く)につれて輪番の予定レンジが2月最終回のオファー額に対して下にスキューしている感じに見えます。
別の視点で前回とのレンジを比較してみましょう。()の数値は2月予定として公表されたレンジ。
短期:500〜1000(500〜900)
中期1-3年:3000〜4000(2800〜5200)
中期3-5年:3500〜4500(3000〜5400)
長期:3500〜5500(2900〜5300)
超長期10-25年:1500〜2500(1400〜2400)
超長期25-40年:500〜1500(600〜1600)
物国:250(250)
変国:1000(1000)
こちらで比較する(ただし1回目の買入予定額が2月最終と違うのは長期(4100→4500)、超長期10-25年(1900→2000)、超長期25-40年(1100→1200)となっています)と、中期のレンジは下限を上げて狭くはしていますが、それ以上に上限を下げていて、やはり中期輪番を減額する気満々に見えるメッセージの出し方になっています。
また、長期と超長期10-25年の所だけは下限、上限ともに上方シフトし、しかも長期の下限の上方シフトが目立つ、という形になっている一方で、超長期25-40年の買入レンジは100億円下方シフトしている、という結果になっております。
ということで、2月最終回の買入額との比較、2月当初公表レンジとの比較、という形で確認しましたが、
・長期輪番を厚めにシフト(しかも増額した4500億円をそのまま容認)
・超長期10-25年もやや厚め
・超長期25-40年はレンジ的には若干下振れ
・中期は1-3年を中心に減らす気満々に見えるレンジのシフト
ということで、10年近辺については2月に指値オペまでやって買入が多くなったのですが、そこは減らしませんよというメッセージを出していて、一方で特に中期が減らす気満々に見えるメッセージになっていますので、確かに金利ターゲットは10年金利に置いているのですからそういうもんと言えばそういうもんでしょうが、イールドカーブコントロールではありますが、「10年金利ピン止めオペレーション」という色合いが濃くなっているようにも見えます。
・しかし初回の買い入れ予定額が無いというのも何とも
そんな訳で10年近辺は引き続き厚め(2月になって厚めになったのをそのまま継承した、という形)に買うものの、特に中期の短い所などを中心に買入そのものは「隙あらば削減」スタンスというのを見せて来ました。
いやまあ中期に関してはここもと需給が良いのか何だか良く分かりませんけれども、直近で金利がエッサホイサと低下してきましたし、年度替わり以降は発行の減額による需給の引き締まりというのもテーマになっている所なので、4月に入る所からは減額になるのでしょうねえとは市場でも思っていたと思うのですが、2月のドタバタ相場の経緯って「1月25日の中期輪番スキップ」からスタートしていまして、今回に関しても中期の金利がホイホイ低下していく中だったので中期輪番減額でもしてくる可能性は無くは無かったのですが、結局2月中は輪番を(途中で増やした分も含めて)減額しないで進めて行ったのですよね。
「オペの実施時期公表で輪番の予見可能性を高める」(いや問題はそうじゃなくてオペ入れてくるロジックとその背景にあるYCCの定量的な考え方なんだけど、という話は兎も角としまして)という話で、かつ月の途中でも買入額の変更などが何度も行われた後ですから、2月の終わりまで輪番減らさないで来たのに、特に中期1-3年とか減らす気満々(しかも今日だけど幾らで来るか分からない)というのを出すのは、相変わらずの不意打ち感が漂いまして、何でそう一々微妙な変化球を投げてくるのかねとは思うのでありました。変化球投げるのもそらまあ投げるなとは申しませんが、それは変化球のコントロールとキレが良い時の話であって(以下の部分は悪態の為削除されました)。
#中期の不意打ちってそこそこ鬼門な気がするのですけれども
でもって昨日までも書きましたように、アタクシ的に普通に考えると今月の1回目は前月最終回と同額、と思っていましたが、長期と超長期はまあこのレンジの出し方だと前月最終回がレンジのほぼ中心にあるので同額で来るのかなあと引き続き思えるのですけれども、中期に関してはこれ前月最終回と同額で来るのかも怪しいし途中で減るのかよという事で、3月初回となる本日の中期輪番がどういうオファーになるのか、というのが非常に訳分からなくなってしまいました。まあ10時10分になると分かるのですが。
・量をある程度固定しながら金利上昇時にはエクストラな対応じゃなかったのか・・・・・・・・・・・・
「回数固定で日程も事前公表しますよー」、「金利が上がった時にはエクストラのオペをしますよー」、というのがこの公表出る前のお話で、確かに一見そういう書き方になってはいるのですけれども、いきなり中期の輪番減らす気満々という数字の出し方になっているし、そもそも初回の買入予定額を示さないし、というのが今回の新方式で出た結果となっています。
どちらかと言えば、という感じだとは思うのですが、これまでに出てきた報道やこの前の木内さんの会見での解説(報道が正しいならば、という留保付の解説)では、
「10年の金利上昇は頑張って止める」
「相場大荒れの原因となった輪番の細かな上げ下げは特に下げ方向は抑制して不確実性を下げる」
という感じで、金利に関しては「定例的な買入を淡々と行うので10年ターゲット逸脱しない限り少々の変動は容認」であって、その10年金利の水準が27日引けで4.5bp、28日の引けで5.0bpとなっているので、「10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう」というディレクティブに対してはまだレンジの中での金利がやや高い方にいるんだから、別に金利上昇を牽制しなければいけないような段階ではなく、したがって2月もそうですが3月も変に動いてこないで足元の買入ペースを淡々と進める。
というようなことをイメージさせられた訳です、つまり中期輪番スキップという買入額をバサッと減らしてみたら金利が上がってあばばばばーとなって結局減らした以上に買入をする事になった、というのを反省して買入のペース削減については金利がもう一段下がって10年金利がレンジの上限に近付いていく(▲9.5で輪番削減して+11で指値入れているんだからレンジは▲10〜+10ぷらすまいなす1bpくらいのイメージになっちゃいましたよね)のなら買入を減額してくる。とまあそんな具合で、当面は市場が(金利上がる方での)大暴れをしないように「柔軟な対応」から「ある程度量はガッチリ買いながら市場の落ち着きを待って輪番減額については落ち着いてから考える」という方面にシフトしたのかな、と思ったのです。
でも、この出し方だとそもそも3月1回目の買入オファー額が読めない(特に中期)ですし、レンジの見せ方が10年近辺には厚いですがそれ以外はちょっと薄め(特に中期は減らす気満々)となっていまして、量をガッツリ買うという感じには見えないので、ちょっとナンジャソラな感じがするのと、そもそも10年の金利水準がまだプラス圏にあるのに、今から(中期とは言え)減額のファイティングポーズをとるってどうなのよ(これが10年マイナス5bpとかなら話は分かるのだが)という事で、相変わらず金利を止めたいのか上げたいのか下げたいのかがワケワカランなあと思うのでありました。
・「柔軟なオペ対応」を残したのが吉か凶か
『(3)買入金額』の所では今回前回まであった「毎月8〜12兆円程度を基本としつつ」というのも抜けていまして、こちらに関しても別に中期のレンジが下にスキューしていなければそんなに驚かないのですけれども、中期輪番減額する気満々チックなレンジの見せ方をしながら月の買入総額の文言をバッサリ削除する、というのも微妙な味わいをだしますよね、と思うのだ。
つまり、これは事前に決めたスケジュールで淡々と買っていく、というよりも市場見ながら輪番をホイホイ上げ下げしてもおかしくない(さすがに長期超長期でそれをやる度胸は無いと思うけど)ですよ、という風に全体感として読めてしまうと思うので、これだと「オペの予見可能性を下げる」という事になるのかが何だか良く分からないなあとは思うの。
まー先程申し上げたような「量をガッチリと決めて買う」というのが余程やりたくないんだなあというのは分かるのですが、だったら事前に出ていた話ってのも(どういう説明になっていたのかとか良く分からんし報道の説明でも実際の所がイマイチ分かりずらいのですけれども)、もうちょっと説明のしようというのもがあるんじゃないかなあと思う訳で、ガラッとスタンスを変えたのかと思えば隙あらば中期減額みたいなのが残っているとか、変える気が無いならあまり変な小手先の修正というのはしないで良かったんじゃないかと思います。
まあ長期と超長期は事前に決めたスケジュールに近い所で買ってくる(超長期の25-40が怪しげではあるが)という感じですし、そっちが本命で中期はおまけ、という事なのかも知れませんけれども、だったら別に今回のような変更をしないで淡々とオペを入れていく形でも良かったのではないかと。
とまあそんな感じで全部雑感なのですがあと少々おまけ的になりますが同じく輪番ネタで。
・エクストラオペはたくさん打つのかしょぼいのをやるのか
今回の別紙脚注
『(注2)残存期間 1 年超 5 年以下、5 年超 10 年以下および 10 年超については、市場の動向等を踏まえて、上記に加え、上記以外の日にオファーすることがあります(その場合のオファー金額は上記の金額とは限りません)。ただし、買入対象銘柄の残存期間が重複する利付国債の入札日(流動性供給入札を含む)には、原則オファーしません。』(今回)
後半の方は良いとしまして(従来通り)エクストラオペのオファーに関しての実施は減らす方は無くて増やす方は有り、という事になったのですが、「その場合のオファー金額は上記の金額とは限りません」とかなっているのは何か変な意思でもあるのかね、とこれまた謎感が。
・短国買入は引き続き減額
『3.国庫短期証券の買入れ
金融市場調節の一環として行う国庫短期証券の買入れについては、3月末の残高を34〜36兆円程度とすることをめどとしつつ、金融市場に対する影響を考慮しながら1回当たりのオファー金額を決定する。』(今回)
となっていますが、2月は1月末残が38.0兆円で、償還が5.68兆円、買入が4.0兆円なので、2月末残が36.3兆円の予定になりますから、引き続き減額となるのですが、まー相変わらず1年カレントとかやたらめったら引けが強いとか、需給の方は頑強な強さという感じですので、これは順当。
・プレミアムフライデェ・・・・・・・・・・・・・・・・・
ところで今回の公表分の冒頭ですが、
『日本銀行は、長期国債等の買入れについて、当面、以下のとおり運営することとしました(2017年3月1日より適用)。──
次回公表は2017年3月31日17時を予定。』(今回)
ということで、来月月末は金曜なのでプレミアムフライデーとかいう日の筈なのですが、この平常運転ぶりにさすが日銀と感銘致しました。これで円債の皆さんプレミアムフライデーは自動的に無しということですね(そもそも期末の週末にプレミアムフライデーとかあったもんじゃないですけど)。
以上ひたすら輪番雑談ですいません。