異常な売却価格だけじゃない! 賃料値引き、所有権の移動、校舎建設費のかさ増し…こんなにある! 森友学園をめぐる「疑惑」の数々~「極右学校法人の闇」第32弾! 2017.3.8
(文:城石エマ 記事構成:岩上安身)
特集 極右学校法人の闇
「学校法人森友学園」が今春開設を目指す「瑞穂の國記念小學院」について、2017年3月6日、松井一郎大阪府知事は、学園側がこれまでに虚偽報告を重ねてきた可能性のある事案について調査するだけでも相当の日数がかかるとして、今年度中の認可は難しいとの考えを表明した。
「瑞穂の國記念小學院」については現在、「設置認可適当」とされており、「認可」の判断については、3月23日に予定される府の私学審議会で検討されることになっているが、朝日新聞などによると、私学審は審議会開催の日程の前倒しも検討しているという。
- 森友学園の報告「事実と異なる」 知事、認可先送りへ(朝日新聞、2017年3月6日)
同小学院に「設置認可適当」判断が下されたのは2015年1月27日で、大阪府の私学行政に関する権限が知事から教育長に移譲される前のことであった。「認可適当」の判断の責任は、間違いなく教育長ではなく、松井府知事自身にある。しかし松井府知事は、現在は権限が教育長にあるとして、混乱に対する自身の責任については明言を避けてきた。
自らの責任については脇に置いたまま、「彼ら(籠池泰典理事長ら)の言い分を、性善説の中でそのまま了解ということは、今できる状況でないと思いますね」(3月6日の囲み取材)などと、まるで府が被害者であるかのように述べて、「設置認可適当」であるとの判断を下した自らの責任をうやむやにすることは大いに問題がある。
ここではひとまず、これまでに明らかになった森友学園問題をめぐる一連の「虚偽疑惑」を振り返ってみることとする。
記事目次
- 値引いた地下埋設物撤去費用「8億円」は算出根拠不明、撤去工事は少なくとも3.6億円については未着手であることが明らかに!
- 土壌改良工事費用を国が負担したことで土地入手の際の森友学園の負担は実質200万円に!? 賃借料も森友学園側の希望通りに値下げ!
- 森友学園の賃借契約直前に「所有権の移動」 新関空から国に戻された原因は不可解な「錯誤」
- 校舎建設費用を国が15億円と見積もり約6200万円の補助金 実際には7億5600万円しかかかっていなかった!?
- 「愛知県の私立高校に推薦枠」も事実ではなかった…自民党は籠池氏の国会招致を早急にすべき!
値引いた地下埋設物撤去費用「8億円」は算出根拠不明、撤去工事は少なくとも3.6億円については未着手であることが明らかに!
一つ目の「虚偽疑惑」は、豊中市の国有地が鑑定価格から8億円以上も割り引かれた根拠となった、「産業廃棄物」をめぐる問題だ。
約8億円については、校舎の杭打ち工事中に地下から産廃が見つかったため、その撤去費用として大阪航空局が算出した。森友学園はその産廃を約8億円かけて撤去していなければならないはずだが、2月下旬に2回にわたって現地視察をした民進党の調査チームは、違和感を抱いている。
2月21日の近畿財務局・大阪航空局へのヒアリングでは、「9.9メートルの地下から本当にゴミが出てきたことを確認をしたのか?」「そのゴミを含んだ土砂を搬出する工事が行われたことは確認したのか?」という民進党議員らの質問に対し、近畿財務局と大阪航空局は自らの目では確認していないことを認めた。また、民進党議員らは、8億円分の土砂を運び出すために必要な4000台ものダンプカーが行き交うのを見ていない、とする豊中の近隣住民の証言も得ている。
- 「8億1900万円は誰が算出したのか?」――森友学園への国有地払い下げ問題で民進党追及チームの玉木・辻元・福島議員らが近畿財務局・大阪航空局を追及! 誰も明確に答えられず!~「極右学校法人の闇」第11弾 2017.2.21
- 民進党追及チームが「瑞穂の國記念小學院」現地視察で不信感を強める「8億円を超える撤去を行なったと確信を得ることはできなかった」――多数のダンプカーを見た地元の人もおらず!? ~「極右学校法人の闇」第12弾 2017.2.21
翌週28日に民進党調査チームは再度現地視察を行うが、この間に、2つのことが明らかになっている。籠池理事長が校舎の建っていない部分についてはゴミの処分をしていないとTBSラジオで発言し、これを受けて日本共産党の宮本岳志議員が追及すると、国交省が建物の建っていない部分の金額は「約3億6000万円」であると認めた。さらに、地下ゴミの処理に携わったという業者が、ゴミの混ざった土を敷地内に「埋め戻した」と証言した。
- 【音声配信&抄録書き起こし】「大阪の学校法人への国有地払い下げ問題〜森友学園・籠池理事長に荻上チキが直撃」(2月20日放送分)
- 国有地売却 3.6億円分の工事せず 8億円値引きで森友学園 宮本岳氏追及 衆院財金委(しんぶん赤旗、2017年2月23日)
これに対し学園側は、塚本幼稚園のホームページ上で、「グラウンド東側に仮置きしている産廃土の下(地下)を掘削し、同スペースに一部の産廃土を縦積みにする形で仮置きした」と表明し、「埋め戻し」を否定した。それに合わせるようにして、3月1日、敷地内のゴミを含む土砂の搬出が開始された。
- 瑞穂の國記念小學院 産廃土の埋め戻し報道について(塚本幼稚園、2017年2月26日)
しかし、3日、産経新聞のスクープで新たに、近畿財務局が業者との間で、産廃を小学校の建設地に「場内処分」するよううながしていたことが明らかになった。産経新聞が入手した協議文書によると、設計業者が「予算がつかないのなら、(産廃を)場外に出さない方法を考えるしかない」と発言し、これに対し近畿財務局が「できれば場外処分を極力減らす計画を考えてもらえないか」と提案しているという。
- 近畿財務局が産廃の「場内処分」促す 費用増大懸念し埋め戻しか 協議文書を独自入手(産経新聞、2017年3月4日)
なお、一連の疑惑の出発点となった「約8億円」については、算出を行った大阪航空局に積算実績がなかったこと、つまり「ド素人」であった事実も明らかになっている。
そして、共産党の小池晃議員の質問によって明らかになった、鴻池祥肇議員の事務所の面会記録によると、2016年3月14日に産廃が発見された翌15日、籠池氏は財務省理財局へ行き、「近畿財務局でキチンと対応する」との返事をもらっている。この記録は全文、IWJも入手している。
土地売買契約をめぐってはさらに、3月6日に行われた日本共産党の辰巳孝太郎議員の参院予算委での質疑の中で、国と学園の間での「見積合せ」が行われていなかったことが明らかになった。「見積合せ」は、国が得る売却益を少しでも多くするべく、国有地の売買の際に国と購入希望者の間で行われ、提示額が国の予定額に達しない場合には契約が成立しないのが通常だという。
- 森友学園疑惑を徹底追及―不当な値引き契約と超優遇 合理性ない売買契約なぜ(しんぶん赤旗、2017年3月7日)
(…会員限定ページへつづく)
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