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2審は無期に減刑 大阪高裁「計画性低い」

南野信吾さんの形見のネクタイとプレゼントされた腕時計をつけて判決公判に臨む父浩二さん=大阪市北区で9日午前9時、久保玲撮影

 大阪・ミナミの繁華街で2012年、通行人の男女2人を無差別に刺殺したとして、殺人などの罪に問われた無職の礒飛(いそひ)京三被告(41)の控訴審で、大阪高裁は9日、求刑通り死刑とした裁判員裁判の1審・大阪地裁判決を破棄し、無期懲役の判決を言い渡した。中川博之裁判長は礒飛被告の完全な刑事責任能力を認めたものの、「計画性が低い点などを踏まえ、死刑の選択がやむを得ないとは言えない」と判断した。

     控訴した弁護側は「被告は過去の覚醒剤使用の後遺症で、『刺せ』という幻聴を聞いた」として、刑が軽減される心神耗弱状態だった可能性を主張。刑事責任能力の程度と量刑判断が主な争点だった。

     判決はまず、礒飛被告の刑事責任能力の程度を検討した。「幻聴の影響は限定的」とした地裁実施の精神鑑定結果については合理的と判断。「幻聴は犯行の決意や実行を後押しした程度に過ぎない」と指摘し、完全責任能力は認めた。

     そして、1審の量刑判断の妥当性について言及。礒飛被告が凶器の包丁を事件直前に購入した点などを挙げ、「用意周到な準備行為があったとは認められない」と述べた。弁護側は「過去の死刑判決で重要な判断材料とされた計画性がない」と主張していた。

     判決は「過去に死刑が言い渡された無差別通り魔殺人事件は全て計画性が認定されている。今回は2人以外に被害がなく、従来の裁判例からはみ出す判断をするのは困難」と述べた。さらに、幻聴が事件決行に与えた影響も否定できないとして、量刑判断に考慮すべきだとした。

     そのうえで、中川裁判長は「遺族の処罰感情は厳しいが、死刑の選択はためらわざるを得ない」と結論付けた。

     判決によると、礒飛被告は12年6月10日昼、大阪市中央区東心斎橋1の路上で、イベント会社プロデューサーの南野信吾さん(当時42歳)と、飲食店経営の佐々木トシさん(同66歳)の2人を包丁で襲って殺害。覚せい剤取締法違反事件で服役していた新潟刑務所を出所後、仕事探しがうまく進まず、自暴自棄になっていたことが動機と改めて認定した。【向畑泰司】

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