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  3. 「質と量どちらを取るかって議論はナンセンス。何をやりたいのかという視点がない」-コンテンツマーケティングのプロが語るメディアのあり方
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「質と量どちらを取るかって議論はナンセンス。何をやりたいのかという視点がない」-コンテンツマーケティングのプロが語るメディアのあり方

  • Profile
  • 栗木彩乃
  • 2017年3月3日
  • ニュース
  • 1,157
Profile

株式会社ベーシック
ferret ライター

前職は千葉県にあるリサイクル関連の企業で法人営業とホームページの管理を担当。中小企業での経験を活かして、現場視点の記事を書いていきます。
Twitter:@kuriki_biz

>> 執筆記事一覧はこちら

成果を出すための手段としてとらわれがちな「マーケティング」という分野。しかし、その本質はユーザーとの関係づくりにあります。
近年では、そのような関係づくりの中でも、オウンドメディアやSNSマーケティングなど、コンテンツを用いたマーケティングが注目を浴びています。

今回は、国内最大級のWebマーケティングメディア「ferret」主催のferret User Meetupで行われた、コンテンツマーケティングのトップランナー3名による対談の様子をお届けします。

企業のマーケティング施策としてコンテンツが注目される中、コンテンツとユーザーはどのようにつながるべきか。
ferret編集長 飯髙悠太、inquire inc. 代表取締役 モリジュンヤ氏・株式会社HARES 代表取締役 西村創一朗氏という立場の異なる3名が、独自の理念を語っています。
  

Curriculum pt1

登壇者紹介

モリジュンヤ(inquire inc. 代表取締役)
inquire Inc. CEO。『greenz.jp』にて編集を経験し、副編集長を経て独立。編集者として『THE BRIDGE』『マチノコト』『soar』等メディアブランドの立ち上げに携わる。NPO法人soar副代表、NPO法人マチノコト理事。

西村創一朗(株式会社HARES 代表取締役)
働き方改革コンサルタント/複業研究家。新卒でリクルートキャリアに入社し、法人営業、新規事業企画、採用担当を歴任。本業の傍ら2015年に株式会社HARESを創業。2016年末にリクルートキャリアを退職し独立。NPOファザーリングジャパン理事。

飯髙悠太(株式会社ベーシック 執行役員・ferret創刊編集長)
これまで広告代理店、制作会社、スタートアップを経験。複数のWebサービスやWebメディアの立ち上げに関わったのち、2014年の4月にWebマーケティングのノウハウが学べるメディア「ferret」の立ち上げにあたり参画。同年の9月にリリースし、ferretは2017年1月現在で月間270万PV、34万人の会員を抱えている。

引用元:https://event.ferret-plus.com/?utm_source=mail20170223fe&utm_medium=email&utm_campaign=content
  

コンテンツマーケティングのトップランナー3名が考えるメディアのあり方

編集者として数々のメディアを立ち上げてきたモリジュンヤ氏、人材領域(HR分野)でコンテンツマーケティングに取り組んできた西村創一朗氏、そしてferret編集長飯高の3名が、ユーザーから寄せられた質問に回答しました。
  

良いコンテンツとは「読まれるコンテンツ」「対象の目的が達成されるコンテンツ」「気づきがあるコンテンツ」

Q.「良いコンテンツ」とは何でしょうか?

飯高:
まず、見るべきはユーザーとプラットフォームですが、本質的にはユーザーです。
自分たちがあげるコンテンツをユーザーの課題が解決されることが全てだと思っています。
でも、時代の背景でいえば良いコンテンツとは「読まれるコンテンツ」じゃないかなと。
どんな良いコンテンツでも、まずユーザーに触れられなければ意味がないですからね。

モリ氏:
自分が作る側として意識しているものは対象者が誰で、誰の目的を達成するのかですね。「対象が誰で目的が何なのか」を設定した上で、目的が達成したのかを測らないとコンテンツが良いものかがわからないですから。

飯高:
自分とは順序が逆だね。

西村氏:
自分は「そのコンテンツにゴールはあるか。気付きがあるか」だと思っています。
「知ってるよ、それ」みたいな当たり前なコトしか書いていない記事はがっかりじゃないですか。
ユーザーにとっては「その視点なかったな」という気付きが大切だと思っています。
それを踏まえて、一番読まれる記事を考えると「気付きがあって・シェアされる」ものですね。
  

コンテンツはどう評価する?

Q.コンテンツの評価基準・方法はどのように設定しますか?

モリ氏:
目的とターゲットによります。それに合わせた指標があるかなと。例えば、ニッチな内容の記事で10万ビューを目標にするのは違いますよね。
数字ってわかりやすいしインパクトあるから引っ張られやすいですよね。例えば、スマートニュースで拾われて、すごくPVが伸びたからって全ての記事でそれを狙うのは違うかな、と思います。

西村氏:
評価でいうと、コンバージョンがゴールなら、コンバージョン数ですね。中長期的な視点が大切なのでエンゲージメントを見るのが大切だと思います。
PV数やSNSのシェア数を見るのはもちろんなんですが、ただ、それが本当に共感されたのか・炎上したのかも見にいきますね。どういうコメントとともにシェアされているのかという定性の評価を拾うことが大切です。それをちゃんと見ることで、コンテンツのPDCAを図れるので。

モリ氏:
定性的な評価は僕も見ることがありますね。例えば「感情を動かしたい」と思った時に、そのために「深く狭く」テーマを設定しますよね。でも、どの程度共感してくれたのかを定量的に測るのは難しいのかなと。でも何にも計測できないと、それが良いコンテンツなのかわからない。だからこそ、Twitterについたコメントを見たりというのはできるだけするようにしています。

飯高:
多分今回参加されてるのはBtoB企業の方が多いので、BtoBのコンテンツで見るべき指標5つを話します。
「トラフィック数」「読了率」「(SNSなどの)拡散数」と、楽しければほかのページも見るので、「遷移数」「コンバージョン」です。

ただし、評価の比重はコンテンツの目的によります。コンバージョン狙いならコンバージョン。認知拡大ならトラフィック数。それぞれの記事の狙いごとに違うでしょう。

Q.ferretではどのようなコンテンツがコンバージョン狙いの記事ですか?

飯高:
事例記事ですね。事例はその事例に合わせた人が見に来るので。例えば鍼灸院の事例を見に来た人は鍼灸院の人で同じように悩んでいるだからコンバージョンもしやすいでしょうね。
  

恋愛に例えると、コンバージョンにつながるページは「デート」のようなもの

Q.集客するためのトレンド系のコンテンツからコンバージョンするページに繋げない場合はどうしたらいいですか?

飯高:
集客するコンテンツ(トレンド系)とコンバージョンするコンテンツ(事例記事など)を直接つなげるのは無理です。その中間のコンテンツが必要ですね。
点と点をつなぐことで、ユーザーがどのような態度変容を起こすかを考えることが大切です。
カスタマージャーニーマップのような感覚で考えると良いんじゃないでしょうか。

モリ氏:
態度変容にはグラデーションがあるんだと思います。実際、「記事は1ページ読まれて終わり」みたいなところからスタートして、それからSNSやアプリなどで、顧客と接点を増やすことでサイトの認知度をあげてもらう施策をしたメディアがありました。

施策を実施すると、ブランドの認知度が上がったんですね。トレンドの記事だけ出しても点になっちゃうので、それが態度変容につながるようにしてあげる。そうするとサイトへダイレクトで入ってきて、事例記事のようなコンバージョンのページも見てくれるようになります。

西村氏:
恋愛みたいなものですよね。トレンド系のコンテンツはLINEの日々のやり取りのようなもので、そこでいかに好きになってもらうかが大切です。
そこで積み上げた好感度を元にコンバージョンにつながるデートへとつなげていくでしょう。そんな風に日々の接触が必要なんだと思います。

飯高:
HR系はすぐ恋愛に結びつけたがる(笑)
  

記事の量と質、どちらかをとればいい?

Q.記事は、質と量どちらが大切ですか?

モリ氏:
個人として書くという話だと、最初に質を目指すのは無理だと思います。だからこそ一定量こなすことが大切ですね。その点では量を追うことが大切でしょう。一回作り切って出すのが大切。そのサイクルを繰り返すことが大切です。それができるようになったら質を追い始めるのがいいでしょう。

媒体に関しては……どっちも大事。ただ実際はやりたいことと予算を合わせて、質と量を調整して目標に達成するかどうかを確認しながら作成していますね。

西村氏:
付け加えるとしたら、QCD(「Quality(品質)」「Cost(費用)」「Delivery(引渡)」)というのがありますよね。そのどれを大切にするかということになると思います。決めに行く記事は質重視、SEOをとるなら量かなと。

飯高:
そもそも量と質の話をするのがナンセンスだと思います。だってリソースありきの話ですから。そうではなく「何がしたいのか」が大切でしょう。そのために適切な量と質が何なのかを逆算して考えますね。

モリ氏:
付け加えるなら、作りたいコンテンツを作るのにどれくらいの工数がかかるのかを把握する必要があるかな、と。コンテンツ作りは工場の生産ラインだと思ってて「どのくらいの質の製品をどれくらい作れるのか」を事前に考えます。

それに合わせて製造のラインを見直したり、質を下げたり。実際作る前はプロトタイプを回してみることで事前に工数を考えることがあります。
  

情報商品はどこまで無料で公開すべき?

Q.情報商材の場合、情報開示をどこまですべきでしょうか?

飯高:
無料でどこまで公開するのかということですよね?それは可能なら100%だと思っています。
そもそも、「ユーザーにコンバージョンさせる」って考えは失礼だと思いますね。
ターゲットに読んでわかってもらえるのが一番良いじゃないですか。

サービスの考え方によるかなと思いますが、ferretは基本的には全部出したいと思っています。コンバージョンなんて究極しなくて良い。ゴミみたいなコンテンツ並べてコンバージョンするより、10回触れてくれて2ヶ月後にコンバージョンするがいいと思っています。

西村氏:
僕も情報は出し惜しみせず全部出し切った方がいいと思いますね。根本的に、情報自体には価値がないと思ってるんです。
結局、いつかどこかで出てしまう。それに、情報は知ってるだけじゃ価値にならないんです。どう使えるかわかって初めて価値になる。

それなら先に情報を出してしまって、ブランドの認知度を高めて、使い方を知るためにツールを手にとってもらえる方が良い。
だから、多分これから情報商材ビジネスはかなり厳しくなるのかなと思います。

モリ氏:
有料のコンテンツを配信しても、ユーザーは無料で使えるコンテンツを探すだけですしね。
今は有料のコンテンツでマネタイズを実現するのは今後難しくなっていくと思います。

飯高:
あと誤解を恐れずにいうと、実はferretは会員向けのコンテンツがあるんですよね。カリキュラムとマーケター(マーケティング担当者)向けのものです。

じゃあ何で会員限定なのかっていうと。このコンテンツは会員登録してもらえる人じゃなきゃ読んでほしくないものだからです。どちらもコンテンツにストーリー性のあるものなんですよ。なので、トラッキングデータをとって、それを元にサイトの評価を知って、さらにいいものにしたいんです。
会員登録は無料にしてますし、そこでお金を取ろうということではなく、あくまでユーザーにとってよりメリットのある状態に持っていきたいという狙いでやってます。
  

「事業とミッション」と「プロダクトとメディア」は似ている

Q.ferretはメディアと商品のどちらが先に生まれたんですか?

飯高:
ferretは元々ツールを提供していました。その後、ツールが大きく方向転換する中で、メディアがほぼ同時にできました。でも、つながりは薄いですね。あくまでメディアを好きになってくれた上で、「こんなツールもありますよ」くらいの感覚です。

まだ課題もあります。今後は資料ダウンロードをしてすぐに電話をかけるのではなく、きちんとユーザーをスコアリングして、本当にツールを使いたい顧客にアプローチできるようになりたいですね。

モリ氏:
個人的には、メディアありきのプロダクトの方がいいなと思っています。プロダクトありきのメディアは狭いテーマなってしまいますし、プロダクトにコンバージョンさせるためのメディアになってしまいますよね。メディアのいいところは抽象度が高いというところだと思うんです。

抽象度が高いからこそ、メディアの幅が広がるし、それを基盤として色んなことができる。なんだかそれって、ビジョンと事業の関わり方とも似ているなと。色んな事業をやっている企業ほど、ビジョンの抽象度って高いですよね。ビジョンが抽象的だからこそだからこそ、どんなものにでもつなげるメディアっていいなと思います。

飯高:
それってすごくいい話ですね。ferretはメディアをハブにして事業を走らせていきたいんですよ。
ferretから4月にリリースするMarketer's STOREという事業も、ferretを基盤としたツールストアという立ち位置なんです。
現状、記事広告やメルマガ広告などferret自体でマネタイズしているんですが、今後はferretを基盤として様々な事業に展開してメディアではないところでマネタイズしていきたいんですよね。

>>Marketer's STOREの詳細はこちら
  
プラットフォームが台頭する今、情報は溢れ、その分マッチングが問題ともなっています。そのような中で企業のプロダクトとユーザー間をつなぐのが、メディアという存在になっていくのかもしれません。

そのためには、短期的な視点で見るのではなく、メディアがユーザーとの接点を持ち続けることが大切です。一瞬の数字に惑わされることなく、どのようにユーザーと関わりを持っていくのかを考えていくかがメディアが必要とされ続けられるかのキーなのかもしれません。

  

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