もし性犯罪やDVの被害者になってしまった場合、あなたなら誰に相談しますか?
家族、友人、警察。。。
思いつくのはその辺りかもしれません。
しかし実際の被害者の方は
・家族や友人に知られたくない。
・警察に言ったら犯人からの報復があるかもしれない。
などといった理由から誰にも相談出来ずに一人で抱えてしまっているという現状があります。
実際に警察に相談している被害者の数は全被害者の1割にも満たないともいわれています。
性犯罪やDV被害に遭った場合の相談窓口として女性センターや福祉事務所、配偶者暴力相談支援センターなどがあるのですが、先日の調査でそれらの認知度は3割程度だという現状が分かりました。
ここで性犯罪やDVがもつ様々な問題点を知って頂き、またこれらの相談窓口を多くの人に知ってもらうためにあなたの力をお借りしたいと思っています。
性犯罪が表に出にくい理由
性犯罪はとてもデリケートな問題であり、被害者の「誰にも知られたくない」という思いから、性犯罪が表に出にくくなっています。
性犯罪被害女性が警察に届け出ない理由として4つが挙げられます。
・家族や友人に知られたくない
・犯人からの報復が怖い
・もう事件のことを思い出したくない
・警察に言いたくないことまで聞かれることが怖い
第3者が事件のことを色々聞くことをセカンドレイプとも呼び、被害女性にはかなりの精神的は苦痛が伴います。
さらに、
・写真を撮られており警察や家族に言ったら写真をばらまく・学校や職場にバラすいった脅しを受けている。
最悪のケースでは犯人からそのような脅迫を受け、何度も性被害に堪えてきたという女
性もいます。
このような理由から警察に通報するのをためらい、泣き寝入りしている女性がとても多いのが現状です。
性犯罪は身近に起きています。
夜間の救急外来には性犯罪の被害にあった女性が救急車で運ばれてくることがしばしばあります。
救急車で運ばれてくる場合の多くは、第一発見者となった友人や彼氏が救急車を呼んでくることが多いです。
以前10代の女の子が性犯罪にあい、救急車で運ばれてきました。
病院としては手当などをする前に、警察に通報して犯人のDNAが分かる証拠を採取した方がいいという説明をしますが彼女は「絶対にイヤだ」と言います。
その理由は彼女が未成年であり、事件化することは親に知られてしまうことを意味しているからです。
女の子は親が事件のことを知ることでショックを受けることをとても気にしていたようです。
このように警察に通報することで必然的に家族にも知られてしまうという点も、表に出にくい原因といえます。
性犯罪が表に出ないことの問題点
性犯罪が表に出ないことで、どのような問題につながるのかを説明します。
心的外傷ストレス障害(PTSD)
性犯罪を受けた女性の多くが、事件後PTSDに苦しみます。
PTSDとは死を意識するくらいの恐怖体験がトラウマとなることをいいます。
性犯罪以外も殺人未遂や震災、戦争などでも起こります。
このPTSDにより、突然事件の記憶が鮮明に思い返されるフラッシュバックを始め、うつ状態、リストカット等の自傷行為、男性恐怖症、引きこもり、摂食障害などといった症状が見られ普通の生活が出来なくなります。
性感染症のリスク
犯人がどのような感染症を持っているか分かりません。
以前自分がHIVに感染した腹いせに、無関係な女性に対して性犯罪を繰り返していた男が逮捕されるという事件がありました。
犯人からどのような性感染症をうつされるか分からず、感染症によってはそれによっても人生が変わってしまうというリスクがあります。
妊娠のリスク
性犯罪の場合、避妊をしていませんので妊娠するリスクがあります。
産科で働く知人によると、性犯罪により妊娠したものの誰にも相談できず中絶可能な22週を越えてしまった女性もいるという話を聞きました。
以上のように性犯罪がもたらす被害の大きさは甚大です。
また犯人は通報されないことで第2、第3の罪を犯します。
もし性犯罪にあったらすぐにしてほしいこと
もし性犯罪にあったらすぐに病院へいきましょう。
被害女性の心情を考えると、事件のことを第3者に話せというのはとても酷であることは十分承知です。
ですが先ほどあげたような問題があることから、PTSD・性感染症への対策、妊娠の予防のためにも病院へ行っていただきたいです。
事件後72時間以内にピルというホルモン剤を飲むことで妊娠することを98%予防できます。
ピルは事件後すぐに内服すればするほど、避妊の確立が高くなるので可能な限り早急に内服する必要性があります。
また性感染症の検査も行い、もし性感染症に感染していた場合はその治療も行います。
PTSDに関してはカウンセリングを受け、精神安定剤や、睡眠導入剤などを使用することで精神的な安定を目指します。
病院にいくことでこれらの2次被害が予防できるので、まずは病院へ行きましょう。
相談窓口に関しては以下で説明します。
DVが表に出にくい理由
性犯罪と同様にDVも表に出にくい犯罪です。
DVとはドメスティックバイオレンスの略で夫婦間や恋人間で生じる暴力のことです。
DVは約3割の女性が被害経験ありという調査結果もあり、性犯罪同様身近に起きていることがうかがえます。
DVが表にでにくい理由には心理的な支配が大きく関係しています。
心理学の言葉で「ダブルバインド」と呼ばれています。
人はプラスとマイナスの感情を一度に見せられると相手の真意が分からず、結果的に心が支配されるというものです。
彼氏に暴力を振るわれた後、途端に彼氏が優しくなり「もうしない。本当にごめん」と謝られることで「この人には私しかいない」と思い別れられなくなるのは、このような心理的支配によってもたらされています。
他にも「彼を怒らせた私にも問題がある」という心理状況になる場合もあります。
また彼氏からの報復が怖いなどの理由から逃げるといった行動にうつせない女性も多いです。
ここで私の友人ちひろ(仮名)の話をします。
ちひろは中学時代からの友達なのですが、彼女もDV被害経験者です。
ちひろは中学生の頃から真面目で成績優秀、誰にでも優しい子なのでそんなトラブルとは無縁な人間のように見えます。
ちひろがDV被害にあったのは大学4回生の時、バイト先の学習塾で知りあった彼から暴力を受けるようになります。
彼は有名大学に通っていて、すでに大手企業からの内定ももらっているいわゆる将来のエリートです。
ちひろは学習塾で子ども達に優しく関わる彼に惹かれたそうです。
しかし交際するうちに彼の本性が出てきます。
自分の思い通りにならないことがあると、暴れ出し殴る蹴るだけでなく、包丁などを振り回すこともあったそうです。
常にちひろの体はアザだらけ。
なので露出度の低い服を着てアザを隠していました。
また顔にアザが出来た時は、大学の友人達には転んだという嘘でつくろっていたそうです。
当時は一人暮らしをしていたので、家族もそのような事態を知る術がありませんでした。
ただそのような嘘はあまりに不自然だったのでしょう。
ちひろの大学の友人が何かおかしいということを察知し、ちひろの実家に行き両親に「おそらく彼氏から暴力を振るわれている」という相談をしました。
そのことで両親が彼氏に事情を聞きに行き、話し合いの末(彼氏は暴力を振るったことなどは認めていなかったため半ば強制的にですが)別れることになりました。
私がちひろからその話を聞いたのは、もう彼と別れた後のことでしたが本当に驚きました。
ちひろは当時のことをこのように語ってくれました。
「私いままで、DVにあうのはそんな男を選ぶ女にも問題があると思っててさぁ。
まさか自分がこんな目にあうなんて思ってもなかったわ。
しかも付き合う前の彼はむっちゃ穏やかで、全然暴力振るうような人には見えなかったんよ。
暴力受けるようになってからは、暴力受けてるなんて恥ずかしいし情けないしで、親には絶対知られたくなかってん。
しかも怒らせたら大変なことになるのが分かっているから、怒らせないように、刺激しないようにという考えが一番に浮かんでた。
だから別れるとか、逃げるなんて発想ができへんかってんな。
本気でこの人の暴力によって死んで自分の人生が終わるんやろなって思ってたもん。」
DVを受けている女性の多くが、ちひろと同じような思いを抱えてるのかもしれません。
以前、未受診妊婦の記事を書いた際にDVについても触れていますがDVは誰の身にも起こりうる問題ともいえるでしょう。
【飛び込み出産しか道がない 深刻な事情を持つ妊婦を救う4つのホットライン】
警察以外の相談窓口を知っておく必要性
性犯罪やDV被害にあった場合、警察にいくというのは
・個人情報が守られないことへの不安
・色々聞かれることへの抵抗
・犯人からの報復などを恐れる
などの理由からかなりハードルが高い相談窓口となります。
そのためにも個人情報が必ず守られて、カウンセリングをしてくれる、そして本人の精神状況をみながら適切な窓口へつないでくれる相談窓口が必要なのです。
一人で悩まないで!個人情報を守ってくれる相談窓口
・家族にも友人にも相談できない
・警察にも行きたくない
そのような気持ちに応えてくれる相談窓口があります。
性犯罪相談窓口
都道府県警察が性犯罪被害110番という窓口を設置しています。
ここでは婦人警官が被害女性のニーズに合わせた対応をしてくれます。
また精神科医のカウンセリングなども行っています。
詳しくはこちら⇒性犯罪被害相談電話設置一覧表|警察庁
法テラス
無料電話相談で法的なアドバイスや適切な相談窓口への案内などしてくれます。
性犯罪やDVの相談にも対応しています。
詳しくはこちら⇒犯罪被害についてお困りなら 法テラス|法律を知る 相談窓口を知る 道しるべ
女性センター
各自治体に設置されており、DVやストーカー、セクハラといった女性の抱える悩みに対応してくれる相談窓口です。
詳しくはこちら⇒女性センター | 内閣府男女共同参画局
配偶者暴力被害相談センター(シェルター)
各都道府県にDV被害女性のためのシェルターが設置されています。
暴力をふるうパートナーからかくまってくれるので、命の危険性があるなど緊急性を要している場合は、一番に配偶者暴力被害支援センターに連絡しましょう。
シェルターの住所は、被害者保護のため公表されていません。
電話で対応しています。
詳しくはこちら⇒配偶者暴力支援センター | 内閣府男女共同参画局
全国のシェルター連絡先一覧⇒http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/soudankikan/pdf/center.pdf
最後に
性犯罪、DVともに表に出てきにくく潜在化しやすい犯罪です。
今も誰にも相談できずに、一人で苦しんでいる方がいるかもしれません。
そのような方のための相談窓口は存在しているのですが、認知度が低く活用できていないという現状があります。
ここであなたの力を借りたいのです。
差し支えなければシェアによる情報の拡散をして頂けるとありがたいです。
また万が一家族や友人が被害にあった時には、これらの相談窓口を教えてあげてください。