森友学園 保留から1か月「条件つきで認可すべき」

森友学園 保留から1か月「条件つきで認可すべき」
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大阪・豊中市の国有地が、学校法人に鑑定価格より安く売却された問題で、この学校法人の新たな小学校の設置を審査する府の審議会では、財務状況や教育内容を理由に否定的な意見が相次ぎ、一度は認可が保留されたものの、わずか1か月後に条件つきで認可すべきとしていたことがわかりました。NHKの取材に対し、審議会の会長は「小学校の経営に不安があり、一度、認可を見送ったが、資金のめどがついたと報告を受けたので認可した」と話しています。
この問題で、大阪の学校法人「森友学園」が、ことし4月の開校を目指して、府に設置認可を求めている小学校について、NHKは府の「私立学校審議会」が、外部の有識者を集めて非公開で開いた会議の議事録を入手しました。

それによりますと、会議は平成26年12月から去年7月までの6回にわたり開かれていて、1回目の会議では、1、2年生の道徳の時間が通常のカリキュラムより多いことが取り上げられ、委員から「どちらかというと、思想教育のような部分がある」とか「違和感を覚える」といった意見が述べられています。

さらに財務状況については、1学年の募集人数を80人としていることに対して、「根拠が頼りない」とされたほか、積立金がないことについて「計画性が無い」とか、「安定的に運営できるか非常に心配される」といった不安視する意見が相次ぎ、認可は保留となりました。

およそ1か月後に2回目の臨時会が開かれ、府の教育委員会は懸念された財務状況については適正なものと判断していると回答しました。さらに委員から小学校の建設予定地について聞かれると、「今回の審議で条件つきの認可となれば、国有地を保有する国と学校法人との間で契約する手はずになっている」と答え、国とは認可を前提に協議していることを明らかにしていました。

委員からは引き続き、懸念する意見がありましたが、開校までにまだ1年以上あり、引き続き進捗(しんちょく)状況を報告することを条件に、この日、認可すべきとしていました。

一連の経過について、審議会の梶田叡一会長は「小学校建設のための積立金もなく、経営に不安があり、一度、認可を見送ったが、寄付金などを使って資金のめどがついたと報告をうけたので認可した」と話しています。

専門家「認可には慎重な判断必要」

森友学園が新設予定の小学校のカリキュラムについて、小学校の教育内容に詳しい、早稲田大学教職大学院の遠藤真司客員教授は、「1年生を見ても、通常の学校と比べて授業時間が異常に多く、子どもの負担が大きい」と指摘したうえで、特別活動で戦前の教育にあった「修身」や教育勅語が扱われることについては、「戦前に逆戻りするのかという印象だ。バランスのとれた教育が行えるのか違和感を感じる」と述べました。さらに、「私立学校なので、独自の教育方針や特色を打ち出すことは大事だが、準備が不十分であるにもかかわらず、ことし4月の開校に間に合わせるため進めている印象だ。影響を受けるのは入学する子どもたちなので、認可に向けては慎重な判断が必要ではないか」と話しています。