JR東日本千葉支社は総武快速線・新小岩駅(東京都葛飾区)のホームドア設置工事に着手することを公表した。同駅では平成23年7月に女性が特急「成田エクスプレス」(NEX)に飛び込んで以来、自殺が頻発。警備員の増員などの防止策を講じていたが、根絶にはほど遠い状況だった。関係者は“最後の切り札”に期待を寄せている。
「これで無くなってくれるといいんですが……」。新小岩駅へのホームドア導入のニュースを聞き、こう話すのは、同駅前の商店街で小売店を経営する40代男性。ここ数年、毎月のように発生する人身事故による列車遅延に悩まされてきた。「仕事を終えて帰ろうとすると、ホームで青いビニールシートが敷かれていて、『あ、またか』と。今年ももう3件も起きてます。あの日まではこんなことはなかったんですが……」と首を振った。
“あの日”とは、23年7月12日のこと。午前10時10分ごろ、45歳の女性が通過中の成田空港発大船行きNEXに飛び込んだ。女性ははね飛ばされてホームにいた乗客にぶつかり、売店に突っ込んだ。さらに、売店の割れたガラスの破片が当たるなどし、男女4人が軽傷を負った。この事故は大きく報道され、その後1年足らずでNEXに飛び込むなどの死亡事故が11件も続いた。
「あの事故で(NEXが)時速100キロ以上でホームを通過することが広まってしまった。自殺の名所として有名になったのも原因ではないか」と話すのは、同駅近くの理髪店に務める30代男性。JR東日本によると、同駅の人身事故は、25年度に5件▽26年度に6件▽27年度に7件と相次ぎ、28年度は2月7日までにすでに7件になる。
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