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舞台参院へ 野党「隠蔽4点セット」追及

「4点セット」をめぐる野党の主張

7月の東京都議選控え攻防

 27日の来年度予算案の衆院通過で、論戦の舞台は参院に移る。7月の東京都議選を控え、野党側は政府に対し「隠蔽(いんぺい)4点セット」と名付けた攻勢を続ける構えだ。一方、政権側は衆院審議を思惑通りのスピード審議で終え、都議選を見据えた「得点稼ぎ」に余念がない。ただ、都議選のカギを握るのは小池百合子都知事で、「場外」の動きも今後の国会情勢に絡みそうだ。

     野党は「4点セット」として、(1)文部科学省の天下りあっせん(2)南スーダンに派遣された陸上自衛隊部隊の日報(3)「共謀罪」の要件を絞ったテロ等準備罪を巡り、金田勝年法相が作成させた「質問封じ」とも取れる文書(4)森友学園(大阪市)の格安での国有地取得--を挙げる。

     野党は稲田朋美防衛相と法相の辞任を要求。審議終盤では、森友学園の土地取引で財務省による前例のない手続きがあったことが次々と判明し、攻勢を強めた。同学園が「安倍晋三記念小学校」の名称を無断使用して寄付を募り、昭恵夫人を「名誉校長」と紹介していたこともあり、首相自身への追及も激化。首相は27日の答弁で「私も妻もこの売買に絶対に関わっていない」と改めて関与を強く否定し、「レッテル貼りはやめましょう。(質問で)一生懸命印象操作をするが、(関与は)何もない」といら立ちを見せた。

     民進党の攻勢の背景には都議選への焦りがある。小池氏が事実上率いる地域政党「都民ファーストの会」と自民党都連の対立に注目が集まり、「このままでは本当にまずい」(幹部)と埋没への危機感は強まる。論戦で政権との対立軸を示そうと躍起だが4点セットに偏りがちで、過去最大の予算案の内容に踏み込んだ議論は目立たない。

     政権側は4点セットに関し、法相文書はすぐに法相が撤回して謝罪。天下り問題も文科省独特の問題と位置付け、政権全体に波及しないよう腐心した。陸自日報と森友学園の土地取引では、閣僚や官僚が「法令にのっとって適切に対応した」との答弁を繰り返した。共産党の志位和夫委員長は衆院通過後、記者団に「どの問題でも、国民に真剣に事実を語る姿勢が全く見られない」と批判を強めた。

     自民党の二階俊博幹事長は衆院通過に関し「円満に終えてよかった」と語った。実際、政権は当初目指した24日の衆院通過方針を、「官民を挙げたプレミアムフライデーに協力する」として見送る余裕も見せた。

     政権は今後も無党派層を意識し、長時間労働是正をはじめとする「働き方改革」をアピールする方針。政権幹部は「都議選の敵は小池氏。実績を積み上げる必要がある」と語った。【高山祐、仙石恭】

    日程、政権ペース

     当初予算案の2月中の衆院通過は2014年以来3年ぶり。過去10年でも08、09、14年の3度だけで、2月中に参院予算委での審議まで始まるのは18年ぶりだ。官邸幹部は「そんなに急いでいないのに」と軽口を交えて衆院通過を喜んだ。

     早期通過の要因の一つは、野党による審議拒否がなかったことだ。公明党の井上義久幹事長は記者団に「日程闘争より、審議を通じて国民理解を得るという本来の議会の在り方として良かった」と語った。

     昨秋の臨時国会で民進党などは、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)承認案などで審議拒否するなどしたが、党勢回復につながらなかった。加えて、大島理森衆院議長が昨年末に「議会制度に関する協議会」を約5年ぶりに開き、各会派代表に「審議の充実」を求めたことで、日程闘争的な戦術をとりにくくなっていた。【光田宗義】

    最近の当初予算案の審議状況

       年度 衆院通過日

    2007年 3月3日(3月26日、安倍)

      08年 2月29日(3月28日、福田)

      09年 2月27日(3月27日、麻生)

      10年 3月2日(3月24日、鳩山)

      11年 3月1日(3月29日、菅)

      12年 3月8日(4月5日、野田)

      13年 4月16日(5月15日、安倍)

      14年 2月28日(3月20日、安倍)

      15年 3月13日(4月9日、安倍)

      16年 3月1日(3月29日、安倍)

      17年 2月27日(?)

    ※カッコ内は予算成立日と当時の政権

    ※13年度と15年度は前年12月に衆院選があった

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