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【新聞に喝!】
東芝危機 そろそろ「着地点」提示を ブロガー・投資家 山本一郎
東芝が大変なことになっています。21日付産経(最終版)「東芝、1兆円超調達へ 半導体分社 主導権喪失も」でも既報の通り、債務超過に陥った東芝が経営再建の一環として、分社する半導体事業の株式売却を通じて1兆円以上の資金を調達する方向で調整していると報じるもので、事実であるならば日本の半導体産業の重要な一翼が失われる危険性のある取引です。
それゆえに、純粋な産業や資本の論理とも異なる、日本人のプライドを伴う産業観も含めた感情を揺さぶる事例になってきています。
問題は、わが国のエネルギー安全保障の中核である原子力発電関連事業が発端です。グループ会社である米ウェスチングハウス社による子会社買収で不適切な会計処理が長年行われてきていたのは、かの忌まわしい東京電力福島第1原発事故に至った巨大組織特有の「取り組むべき問題や望ましくない状況に対する隠蔽(いんぺい)体質」が根幹にあります。そもそも東芝がすでに債務超過に陥っているうえ、飛び出した社内告発の内容精査が必要であるとして第3四半期の正式な業績開示が遅延するというのは、ガバナンス以前の何かを抱えていることになります。