出陣式で壇上に並んだ侍ナイン。大勢のファンを前に、2大会ぶりの世界一を誓った (撮影・矢島康弘)【拡大】
悔しさがこみ上げてくる。午後6時半に始まった「侍ジャパン出陣式」。締めくくりで大画面に映されたのは、過去の大会の象徴的なシーンをまとめた映像だった。
「今、見ていただいたビデオにあったように、ここにいるメンバーは喜びよりも悔しさがある。その悔しさを晴らせるのは、この第4回WBC。そういう風に、固く心に誓っています」
小久保監督が語気を強めた。2009年大会の優勝など歓喜の場面もあったが、映像の大半を占めたのは屈辱の歴史。06年の2次リーグ・韓国戦に敗れた際には、マウンドに国旗を掲げられた。13年の準決勝・プエルトリコ戦では二走・井端、一走・内川の重盗失敗で好機を逸し、敗退につながった。思い出したくもない場面の数々に、1085人のファンが集まった会場はシーン…。その静寂を破るように、指揮官の声が響いた。
ファン参加型のイベントで、ネガティブな要素を押し出すのは異例だ。関係者によると、映像は士気を高める“モチべーションビデオ”として、あえて製作されたもの。目に焼き付けた指揮官は「私自身、プレミアでのあの悔しい思い。それが一番、心に残っています」と視線を鋭くした。