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【主張】
国有地売却 疑義残す取引は許されぬ
国有地が驚くほどの安値で売却されていたとして、学校法人「森友学園」(大阪市)の小学校用地をめぐる問題が国会の焦点になっている。
国民の財産である国有地の取引が、不明朗であってよいはずがない。腑(ふ)に落ちる説明がなされていないのは、どうしてなのか。早急な解明が必要である。
平成29年度予算案は審議の場を参院に移すが、注目を集めた国有地売却を国会として見過ごすわけにはいくまい。必要な関係者の招致を含め的確に対応すべきだ。
小学校の開校にあたり、安倍晋三首相や首相夫人の名前も使われていた。首相としても、名誉を傷つけられたままになろう。率先して解明を指示する必要がある。
学園は小学校建設のため、大阪府豊中市の国有地を取得した。当初、将来の売買を前提に賃貸契約を結んだが、くい打ち工事の過程でゴミなどの埋設物が見つかった。国が撤去作業をすると開校が遅れるため、購入した。
その際の評価額は約9億5600万円で、ゴミの撤去費用の約8億2千万円を減額するなどした。売却に伴う国の収入は約200万円にすぎない。
麻生太郎副総理兼財務相は適正な手続きを経たとの認識を示すとともに、「政治家が不当な介入をしたことはない」と述べたが、これで明確な根拠が示されたとはいいがたい。