今月27日から原則として庁舎内の全執務室の施錠を開始する経済産業省が、取材の場所や対応する職員を限定するなどの取材対応の新ルールを策定し、職員に通知していることが分かった。同省は情報管理の徹底のためとしているが、省庁による詳細なルール化は異例で情報公開の流れに逆行するとの懸念の声も出ている。【宮川裕章】
毎日新聞が入手した内部資料によると、庁舎管理の厳格化のために全執務室を施錠し、職員以外の入室を禁止。取材を含む外部訪問者との面談は執務室外の会議室で行うことをルール化した。取材対応は管理職(課長・室長級)以上に限定したうえで、メモを取る職員を同席させ、取材内容を広報室に報告するよう求めている。幹部らの自宅周辺の約束なしでの取材は原則受け付けず、やむを得ず取材を受けた場合も広報室に報告を要請している。
これまでは、省内のほとんどの執務室は開放され、室内で取材を受けていた。また管理職以外の職員も取材に対応し、広報への報告もほとんどなかった。他省庁では機密性の高い業務に当たる一部の執務室は施錠しているものの、すべてを施錠するのは異例だ。経産省内からは「広報への報告などの業務が増えて負担になる」「管理職以上に記者対応が集中し、事実上取材を受ける時間が確保できなくなる」との声が出ている。
関係者によると、今月10日の日米首脳会談の前に、経産省が作成に関わった資料が政府内での調整前に一部メディアで報道され、情報漏れが問題となった。経産省は今回の新ルールについて「個別の事案に対応したわけではない」と関連を否定。広報室は「機密性の高い案件を取り扱っており、部外者が執務室内に入ることができる状況を解消する。取材対応に悪影響が出ないよう、柔軟に運用していく」と説明している。
「情報公開に逆行」
日大危機管理学部の福田充教授(危機管理学)は経産省の対応について「国際的な情報戦が進む中で、施錠は欧米先進国では当然の措置と言える。職員のモラルに頼っても情報漏えいを防ぐのは難しく、情報管理の強化は世界的な流れだ」と指摘。一方、元共同通信記者で同志社大社会学部の小黒純教授(ジャーナリズム研究)は、「省庁が持つ情報は国民の財産であり、一部の官僚が独占し、密室で扱ってよいというものではない。報道機関は役所の都合の良いことだけを報じればよいという意識が感じられ、情報公開に逆行する」と話している。