大学で建築を学びたいみなさん、こんにちは!
僕は早稲田大学建築学科で建築を勉強しています。
早稲田の建築は素晴らしいところですが、受験生のみなさんにとっては
「いろんな大学の建築学科がどんなところか知りたい」
のが本音ですよね。
大学の建築学科は、偏差値だけでは比較できません。
どのような授業が行われているのか、どんな課題が出るのかがとても重要なのです。
そこで、各大学の建築の専門科目をピックアップし、
どんな特徴や課題があるのかをまとめてみました。
早稲田大学建築学科
早稲田の建築学科は「日本最古」の建築学科として有名です。
また村野藤吾・内藤廣など著名な建築家を輩出し、国内外に高く評価されている建築学科でもあります。
建築表現
早稲田大学に入学し、最初に履修する建築の授業は「建築表現Ⅰ」です。
最初の課題は「階段のデッサン」。学校内の階段を1つ決めて、質感・影・コントラストを丁寧に表現する必要があります。
建築表現で出題される主な課題としては、
・リートフェルト「Red and Blue」
・ル・コルビュジェ「小さな家」
・今井兼次「大多喜町役場」
の図化やモデリング、模型などです。
(大多喜町役場の詳細図)
提出期限は「授業終了まで」が基本ですが、
ほとんどの人は(僕を含め)時間内に終わらせらません。
なので、いったん家に持ち帰り、来週までに終わらせてから提出するのが基本スタイルですね。
作成した図面の評価基準は
・断面線、見えがかり線の書きわけ
・図面の清潔さ
・寸法情報
など多岐に渡り、まあ要するに「きれいにちゃんと書けよ!!」ということなんだけれど、A評価はなかなか難しいですね。
設計演習
建築意匠のみならず、建築史・都市設計・ランドスケープの視点から、建築・都市を見る(診る・観る)、計る(測る・図る)、記述することの演習をおこなう。
各教員ごとのスタジオ(グループ)に分かれ、即日課題を原則とする少人数のデザイン指導を行い、3週ごとのローテーションで各スタジオを巡る。
設計演習は理工学部でもかなり変わった面白い授業です。
というのも、出される課題が変なのですよね。
例えば「地球外生命体とその住居を妄想しなさい」という課題。
妄想癖が強い僕は大喜びで取り組みました。作品はこちらです。
アリンコ星に住むアリンコ星人を描きました。
彼らは地中に家を掘って生活し、おもに砂糖を食べて生きている設定です。
それに対する先生の評価は・・・
「ひねりがほしい」
ああそうですか。
妄想が足りなかったようですね。
設計演習の課題は「」展(かっこてん)という展覧会で披露されます。
「役に立たない機械」「都市のリズム」など、面白い課題がスバラしい視点で作品化されていて、発想力の高さに驚愕するばかりです。僕もこういうクオリティの高い作品が作れたらいいなあ。
portal.nifty.com
明治大学建築学科
続いて明治大学建築学科です。
「東急プラザ」などで有名な中村拓志さんは明大出身です。
明治大学ではどんな建築の授業が行われているのでしょうか?
建築製図基礎
毎授業で扱う課題は,建築製図の実践に直接的に役立つよう,家具,
建物部位,建物全体等に即した内容とする。授業では,毎回の達成目標を明確に定め,それに関する基礎的な知識および技法の指導と演習を行う。また,要求される能力を体得したかどうかを確認するため,宿題の形で演習課題を課す。
なるほど。
おそらく「建築製図基礎」が建築の最も重たい授業でしょう。
では、授業の進行スケジュールはどうなっているんだろう・・・?
第一回:ガイダンス/用具の説明
第二回:用具の使い方/線の種類
第三回:文字と寸法/名称の記入
第四回:記号・スケールと図面表現
第五回:椅子の実測と図面化
・・・・
こっこれは・・・
早稲田よりもかなり丁寧ですね!!!
いや、マジで。僕、用具の使い方や線の種類は説明はされましたけど、丸々1つの授業を使って説明はなかった。実際に早稲田の「建築表現Ⅰ」のシラバスを見てみると、
第一回:階段のデッサン
第二回:リートフェルトRed and Blueの図化
第三回:デジタル技術を用いた3Dモデルの作成
第四回:「小さな家」のトレース+宿題(模型の作成)
・・・・
早稲田さん、明治が「文字の記入」を勉強してる間にもう「デジタル技術」やってますやん。
だから早稲田スゴい!!明治はくそ!!
とは思わないでください。
先に授業を進めてほしい、どんどん建築の勉強をしたいという気持ちはわかりますが
正直、早稲田のスピードは速すぎます。
途中からただひたすら「線を書いてるだけ」の感覚しかなくなったし、デジタルは意味不明だったし、ついていけませんでした。明治のように1つ1つ段階を踏みながら進むほうがいいのかもしれません。
※早稲田でやったデジタル授業の内容は、この記事にまとめてあります。参考にどうぞ↓↓↓
nakanakanakkarin.hatenablog.com
造形演習
設計・計画・企画等において,対象やイメージを把握し,それを表現することにより的確に他者に伝えることは重要である。本科目では,立体造形・平面表現の2つのテーマに関して,空間構成・構図・陰影の表現・着彩手法等を学ぶ。
「建築製図基礎」の補佐的な役割を果たす授業であることがうかがえます。
「平面構成演習」
「立体構成演習」
など、聞くだけはよくわからないですね。
造形演習の授業の様子が明治大学HPにアップされていました。
2011年造形演習1.2 パース表現演習(記事詳細):明治大学理工学部建築学科
造形演習では、立体造形・素材・表現の3つのテーマについて、空間構成・構図・遠中近景の表現・陰影の表現・着彩手法などを勉強します。
テーマごとに先生も違うので、授業内容もそれぞれです。
なるほど!
つまり「造形演習」は、早稲田の「設計演習」とほとんど変わらない授業だということですね!
※学校HPより
早稲田や明治で見たように、建築の授業は
・真面目に建築のルールやフォーマットを学び、製図する授業
・着彩、コントラストなど様々な表現方法を学び、デッサンする授業
の2体系に分けることができるのですね。
法政大学建築学科
法政大学建築学科は、デザイン工学部に属します。
デザインスタジオ
法政建築の専門授業は、「デザインスタジオ」があります。
最初「自室の計測」を行って建築の感触に慣れ、徐々に高度な課題に挑戦していく感じですね。
シラバスを見てみると、
法政大学シラバス
第一回:自室の計測
第二回:点と線の表現
第三回:箱型模型の制作
第四回:箱型模型の立面図
第五回:同断面図
・・・・
とても堅実でわかりやすいプログラムですね。
シラバスに授業の曜日・時限の情報はなっかたのですが、デザイン工学部のパンフレットから金曜の3・4限に開講されていることがわかりました。
システム工学部パンフレット
面白そうなのが「5m四方の模型の作成」!
後期の「デザインスタジオ2」という科目で、5m×5mの3次元の模型を作成するようですよ。
僕の大学でも模型の作成はありましたが、5m×5mという巨大なモノはなかったので法政でしかできない経験ですね。
東京理科大学建築学科
東京理科大学って
「工学部」と「理工学部」に建築学科があるのですね。
つまり、1つの大学に2つの建築学科があるという・・・。
大学の統廃合の歴史からこのような形になったそうですが、「工学部」の建築学科を見ていきたいと思います。
設計基礎
理科大の建築の主要科目は「設計基礎」です。
シラバスは下の通りになっています。
東京理科大学シラバス
※「ゲストユーザー」からログインできます。
第一回:ガイダンス
第二回:線の引き方
第三回:RC造住宅の平面図1:100
第四回:RC造住宅の断面図1:100
第五回:RC造住宅の平面図・断面図1:100
(インキング、レイアウトの練習)
やはり前期は基本的な内容が中心ですね。
木曜の3~5限にかけて開講しており、他大学の専門科目より長いです。
RC造平面図→RC造断面図→木造平面図→RC造断面図
と段階を踏んでレベルアップしていくので、まじめにこなせば実力がつくと思います。
デザイン演習
デザイン演習は建築とはちょっと違った、
美術的な授業です。
理科大の名物授業として定評があり、その内容は本になっちゃうほど。
「空間練習帳」
東京理科大学建築学科で行われる「デザイン演習」を書籍にしちゃいました。面倒くさい図面の描き方のスキルを学ぶ前に、まずは空間の面白さを体験するためのガイドブック!
建築文化シナジー
で、これがかなりすごいんですよ。
(建築文化シナジーより)
へー、面白そう!
形式ばった「建築模型」を作るんじゃなくて、
「光の箱」という原始的なハコを作って"光"を感じるのはいいですね。
「ピクニックを1から企画」
「建築ブックレットの作成」
など、他の課題も面白そうだな・・・・。
理科大の建築に入ったら履修したい授業ですね。
まとめ
どこの大学もやってることは変わらん!
さて、4つの大学の建築学科を紹介しましたが、
どこもそんなに変わらないんですよね。
偏差値的では早稲田や東大がレベル高いかもしれません。
でも、早稲田に下手なヤツはいます。僕も下手くそです。
図面や模型が全然キレイにできなくて、いつも劣等感を抱く日々。どこの大学へ行こうとも、上手くやる努力は必要なのです。
色んな人に相談しよう!
だから、受験生のみんなには大学名だけで判断しないでほしい。
オープンキャンパスに行って、学生に「建築、楽しいですか?」と質問しましょう。大学の教授やゼミ生のツイッターをフォローするのもいいですね。
僕も受験生にとって少しでもいい情報を共有したいので、いつでもご相談くださいね。