受動喫煙防止を求める声が広がっている。23日のがん対策推進協議会に続き、24日には肺がん患者会や学術・医療関係などの約150団体が塩崎恭久厚生労働相に「例外なき禁煙」を求める要望書を手渡した。国際オリンピック委員会(IOC)などは「たばこのない五輪」を掲げており、東京五輪・パラリンピックを控えた今は「最初で最後のチャンス」(医療団体関係者)と意気込んでいる。
日本肺がん患者連絡会は「『例外』は患者視点からとても容認できない。屋内全面禁煙の方針を貫いてほしい」と、罰則付きの受動喫煙防止法成立を求めた。塩崎氏との面会後に記者会見した同連絡会の長谷川一男代表は「反対派には、この法律は子どもや孫にたばこの害が及ばない世界や未来を創るものだと考えてほしい」と訴えた。
また、九州看護福祉大の川俣幹雄教授は全国約1万人を対象に実施した調査結果を公表。全面禁煙の飲食店の利用頻度について、42%が「増える」と回答。「特に変わらない」は39%、「減る」は13%だった。
川俣教授は「飲食店の禁煙化で収益が減るとの懸念があるが、調査結果は逆に(収益が)増える可能性が示された。科学的なデータに基づき政策を決定すべきだ」とした。日本禁煙推進医師歯科医師連盟なども11日に緊急提言し、「例外」を認めないよう求めている。
受動喫煙対策を巡っては、世界保健機関(WHO)のたばこ規制枠組み条約が2005年に発効し、諸外国では相次いで建物内を全面禁煙にする法制化が進んだ。しかし、日本は対応が鈍く、国際的にも大きく後れを取っている。
日本肺癌(がん)学会などの学術団体でつくる禁煙推進学術ネットワークは09年、日本も公共交通機関や飲食店を含めた建物内を全面禁煙とする法案の検討を厚労省に求めたが、大きな動きにはならなかった。五輪・パラリンピックの東京開催が決まった13年以降、各団体が東京都への条例制定を要望したが、都議会最大会派の自民党が一律規制に異議を唱え、当時の舛添要一知事は15年、受動喫煙防止対策の条例化を当面見送る考えを示していた。【細川貴代、下桐実雅子】