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 相模原市緑区の障害者施設「津久井やまゆり園」で昨年7月、入所者19人が殺害され、職員を含む27人が重軽傷を負った事件で、横浜地検は24日、元職員の植松聖(さとし)容疑者(27)を殺人罪などで起訴し、発表した。

 植松容疑者は昨年9月から今月20日まで約5カ月間、専門医による精神鑑定のために留置されていた。関係者によると、精神鑑定の結果、植松容疑者はパーソナリティー障害で、完全な刑事責任能力が問える内容の診断が出た。地検は生育歴や生活状況なども踏まえ、刑事責任を問えると判断したとみられる。

 植松容疑者は昨年2月、衆院議長公邸に「障害者総勢470名を抹殺できる」などと書いた手紙を持参。逮捕後の神奈川県警の調べには、「障害者は周りを不幸にするので、いない方がよい」「障害者の安楽死を国が認めてくれないので、自分がやるしかないと思った」などと供述したとされる。(古田寛也)

■やまゆり園「見守っていく」

 津久井やまゆり園(相模原市緑区)を運営する社会福祉法人「かながわ共同会」の米山勝彦理事長は、植松聖(さとし)容疑者の起訴を受け、「裁判の今後の行方を注意して見守っていきます」とするコメントを出した。

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 相模原市の障害者施設で起きた殺傷事件で、横浜地検が24日に発表した植松聖容疑者の起訴内容の要旨は次の通り。

■建造物侵入罪

 社会福祉法人かながわ共同会「津久井やまゆり園」に入所している利用者のうち、意思疎通のできない障害者を多数殺害する目的で、2016年7月26日未明、相模原市緑区の同園敷地内に、通用口の門扉を開けて侵入した

■殺人罪と殺人未遂罪

 同園内で、いずれも殺意をもって、利用者であるV1(当時19歳)ほか42人に対し、身体を柳刃包丁等で突き刺すなどし、V1ほか18名を、それぞれ腹部刺創による脾動脈損傷に基づく腹腔内出血等の各死因により死亡させて殺害し、V2(当時51歳)ほか23名には、それぞれ全治約9日間ないし全治約6カ月間の前胸部切創、両手背挫創等の各傷害を負わせたにとどまり、その殺害の目的を遂げなかった

■逮捕致傷罪

 外部への通報等を防ぐなどのため、同園職員の身体を拘束しようと考え、当時37歳の職員に対し、包丁様のものを示しながら「騒いだら殺す」などと申し向け、逃げ出した職員を転倒させ、その後頭部を床面に打ち付けさせる暴行を加えた。さらに結束バンドでその両手首を緊縛して同園内を連れ回し、別の結束バンドで廊下の手すりに縛り付けるなどし、不法に逮捕するとともに、全治約1週間の傷害を負わせた。

 また、当時39歳の職員に対し、顔面に暴行を加えた上、結束バンドでその両手首を緊縛して同園内を連れ回し、さらに、別の結束バンドで廊下の手すりに縛り付けるなどしたが、職員が隙を見て逃げ出したため、その腕をつかんでトイレに連行し、同所の個室内の手すりに縛り付け、不法に逮捕するとともに、全治約2ケ月間の傷害を負わせた

 ■逮捕罪

 当時23歳の職員に対し、結束バンドでその両手首を緊縛した上、廊下の手すりに縛り付け、不法に逮捕した。

 当時54歳の職員に対し、包丁様のものを示しながら「こっちに来い、早くしないと殺すぞ」などと申し向け、結束バンドでその両手首を緊縛した上、廊下の手すりに縛り付け、不法に逮捕した 

 当時35歳の職員に対し、包丁様のものを示しながら、結束バンドでその両手首を緊縛した上、廊下の手すりに縛り付け、不法に逮捕した

 ■銃刀法違反罪

 業務その他正当な理由による場合でないのに、津久井やまゆり園内において、柳刃包丁等5本を携帯した