県議会本会議終了後、報道陣の取材に応じる三反園知事=鹿児島市の県庁で17年2月22日、杣谷健太撮影
鹿児島県の三反園訓知事は22日の県議会で、運転中の九州電力川内(せんだい)原発1号機(同県薩摩川内市)について「現状では強い対応を取る必要はないと判断している」と述べた。川内原発の安全性などを議論する県の専門家委員会が16日、1号機に「熊本地震の影響はなかった」とする意見書を県に提出したことを受け、運転を容認する考えを初めて表明した。自民県議の代表質問への答弁。【杣谷健太、遠山和宏】
「専門委員会において専門的見地から熱心で活発な質疑が交わされた結果、問題があるとの意見は出されませんでした」。22日の鹿児島県議会に大島紬(つむぎ)の和服姿で臨んだ三反園訓知事は、少し早口でこう述べ、川内原発1号機の運転を容認した。
昨年7月の初当選から半年余り。選挙中から公約に掲げた脱原発政策を大きく後退させた瞬間だったが議場からのヤジはなく、知事は用意したペーパーを顔を上げることもなく淡々と読み上げ、わずか1分ほどで答弁を終えた。
議場を出た知事を取り囲んだ報道陣にも、知事は詳しい説明をしなかった。「本会議の発言は、述べた通りでそれ以上でもそれ以下でもない」「再生可能エネルギーを推進して原発に頼らない社会を作るという方針に全く変わりはない」。報道陣の「運転を容認したということでいいのか」との質問に対し、知事は一方的に言い放つと、足早に立ち去った。
「(今後の専門委の議論で)問題あるということになれば九電に強い対応を取ることに変わりありません」。知事は議場での答弁でも、議会後の報道陣の取材でも従来の主張を繰り返し、「変節」や「公約違反」という批判に強く反発する。ただ専門委は今後も、原発そのものの安全性に関して踏み込んだ議論をする予定はなく、知事の説明を額面通りに受け止める声は少ない。
原発容認の立場から代表質問で壇上に立った自民の長田(おさだ)康秀議員は、知事の答弁によっては再質問することも考えていたという。見送った理由について「『問題があれば強い対応を取る』ということは、つまり現状は安全・安心だということだ。知事が再び九電に(川内原発の)停止要請をすることはなくなった」と語る。
専門委の判断を盾に県民を二分した議論に幕引きを図ろうとする三反園知事。専門委設置などの政策協定を結ぶ代わりに知事選出馬を取りやめた反原発団体代表の平良行雄さん(57)は憤る。「あの政策協定は何だったのか。結局、委員会はアリバイ作りだったのだろう。『脱原発』は選挙で勝つための方便だったとしか思えない」
元鹿児島県庁職員の有馬晋作・宮崎公立大教授(行政学)は「伊藤祐一郎前知事は自分のポリシーで川内原発再稼働に同意し、自分の考えを語ったが、三反園知事はスタンスが見えない。将来、川内原発周辺で熊本地震並みの地震があったときに大丈夫かといった県民の疑問に真摯(しんし)に答えるべきだ」と指摘した。
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三反園知事が川内1号機の運転を容認した。知事が掲げた「脱原発」の実体は何だったのか。「三反園流」政治に再び迫る。