かつて市長を務めた東京都国立市から、マンション建設を巡る建設会社への賠償金分の支払いを求める訴訟を起こされ、最高裁で敗訴が確定した上原公子氏が21日、永見理夫市長を訪ね、賠償金約3120万円と延滞金などを市に支払う意向を伝えた。市への支払期限は2月末だが、全国の支援者から募金をして夏までに支払う方針。現在約1819万円が集まっているという。
取材に対し、上原氏は「最高裁の判断は地方自治を萎縮させるもの。私個人の問題ではない」と訴えた。永見市長は「法律や市の規定に基づき、手続きを進める」と話した。
上原氏は市内のマンション建設に景観面から異議を唱える住民運動を展開し、1999年に市長に当選。就任後、上原氏が「違法建築だ」と発言した点などを問題視した建設会社が「営業妨害だ」などと市を提訴し、勝訴。市は賠償金を支払った。建設会社は同額を市に寄付しており、市に実質的な損害は発生していないが、上原氏の姿勢をめぐる対立が続いた結果、市長退任後の2011年、市が上原氏を相手取り、賠償金分を求める訴訟を起こしていた。【黒川将光】