もうすぐ大学を卒業する甥がいます。
今日は甥の家族と一緒に、2家族で食事に行きました。
甥は、美味しいパスタが食べたいとのことだったので、イタリアンレストランでお祝いすることになりました。
「ワインでもビールでも、好きなのを飲んだらいいよ」
と言ったのですが、遠慮したのか
「水でいいです」
との答え。
甥の門出を祝う席なので、本人には無理矢理ソフトドリンクを選んでもらいました。
そんなことがあったので、今日は「水で乾杯を行わない方が良い理由」について書いてみます。
水杯(みずさかずき)
海外では、古来から乾杯する際に水を飲むと、乾杯を受ける人に不幸をもたらすと信じられていました。
日本でも昔から、水杯という習慣があります。
水杯は、二度と会えないかもしれない別れの際に行う儀式です。
杯に水を入れ、別れを惜しみながら互いに飲み交わします。
飲み干した杯は、地面に叩きつけて割る場合もあります。
日本では古来から、水には「清めの水」「末期の水」など、禊(みそぎ)の意味がありました。
「末期の水」とは、臨終間際または臨終直後に、死者の唇を水で潤すという作法です。
これは、釈迦が入滅前に水を欲したという故事にあやかってできた慣習だという説や、日本の神道が起源だという説があります。
水杯は、この「末期の水」がルーツとされています。
つまり、生きている間に行う仮の葬儀なのです。
最後に盃を割るのも、「二度と使用することはない」という意思表示です。
水杯のルーツを考えると、「水で乾杯」するのは、めでたい席にはふさわしくないことになります。
グラスや杯を割る習慣
水杯以外にも、使ったグラスを割る習慣は世界中にあります。
ヨーロッパでは、乾杯したグラスを暖炉に投げ入れる習慣がありました。
19世紀頃まで、グラスは貴重品で非常に高価なものでした。
そんなグラスを一度使っただけで割ってしまうのは、主催者の見栄や虚勢もあったと思います。
でも本来の目的は
「あなたのために用意して使っていただいたグラスは、二度と他の人に使うことはありません」
という、真心を示すためだったと言われています。
グラスを割る習慣は、現在もユダヤ人の結婚式で行われています。
式の最後に、床に置いたグラスを新郎が踏み潰します。
踏む際は、来賓客全員に聞こえるように、できるだけ大きな音を立てるのが良いとされています。
大きな音を立ててグラスを砕くことで、悪魔の注意を逸らすことが目的だと言われています。
幸せな結婚生活を妨げようとする、悪魔の注意を逸らさなければ、結婚後も悪魔に付きまとわれると信じられていたそうです。
誰かのための「乾杯」
食事や宴会、パーティは「乾杯」から始まることも多いと思います。
誰かのために乾杯する習慣は、紀元前の古代ローマ帝国時代からあったとされています。
現在は儀礼化・形式化してしまった部分が大きいかもしれませんが、本来「乾杯」は「誰かのためにするもの」という意味があったようです。
祝いの席や、めでたい席での乾杯は、水ではなくアルコールやソフトドリンクを選ぶのが良いと思います。