京都で仏教とアートのコラボイベント開催されたんですが
僕は一つのお寺の担当者でした。
108人が書く「仏」を集めて展示するというものを企画の一つとして用意しました。
街中の人にホトケ描いてくださいと声をかけたり、芸大に乗り込んでカフェで描いてくれないですか?と頼みこんだりして108個集めました。
イベントをやる上で日本人と仏教との関わりについて考えていた時に、最も身近なお年寄りである祖母に「ホトケってどんなのかこの紙に描いてみて」と言って紙を渡して描いてもらったのがきっかけでした。
仏教のことに詳しくない僕が
アイデアを練る上で一度、お年よりの考えにも触れておきたかったんです。
僕は、大仏の絵が返ってくるんだろうなと考えていましたがその予想は裏切られました。
祖母は仏壇の絵を描いたのです。
祖母は亡くなった祖父の写真が隣に置いてある仏壇に毎朝手を合わせています。
祖母はそれを「ホトケさんに拝む」と呼んでいました。
祖母の「ホトケ」の認識は亡くなった祖父のいる世界と現世との境界面である仏壇そのものでした。
予想外すぎて、僕は思わず
「これって仏壇だよね?」と言葉を返してしまいました。
間違いに気づいた祖母は恥ずかしそうに絵にバツ印をつけていました。
それがさっきの絵になるわけです。
僕は老若男女が描くホトケを集めてみたいなという衝動に駆られました。
イベント会場であるお寺側へのヒアリングでの「お寺に来る理由は人それぞれでいい」という住職の言葉を思い出した僕はこれを企画としてを提出して、通しました。
初対面の相手にホトケの絵を描かせたいときにオススメの方法
実際に描いて貰ってる様子はこちらのドキュメンタリー映像のスクショをご覧ください。
こんな感じです。これは描いて貰えたところなんですが。見知らぬ人にホトケの絵を描いて貰うのはかなりハードルが高くて結構断られてます。
さすがに心が折れてきますね。
始めは、丁寧に「お忙しいところすみません。私はこういう者で…こういう企画で…だから描いてください」とお願いしていたんですが、その方法ではかなり断られていたので
説明の順番を逆にして、というかすっ飛ばして
「お忙しいところすみません。突然ですがホトケを描いて頂けませんか?」
と声をかけることにしました。
これがかなり描いて貰える率が高いんですね。
「突然ですがホトケを描いて頂けませんか?」と声をかけて返って来る返事がこれです。
「え?今なんて?」
これがほとんどです。
それはそうでしょう。
会っていきなりホトケの絵を描くのお願いされるのは初めてでしょうから、初めはほとんど聞き間違いかと思われます。
聞き返されて初めて企画の趣旨を説明しだすんです。
これが、一番描いてもらえる率の高いやり方でした。何となく、相手にはじめに聞き返させるとこちらが話のペースを掴みやすい印象を受けました。
営業の仕事をされてる方からしたらもしかしたら当たり前のテクニックなのかもしれませんが、ここまで変わるものかと感動しました。
集まった絵や写真たち
そういうことをやってるうちにたくさん集まってきました。
(ちなみに写真でもOK)
「『ホトケ』を自由に描いてください」と頼んで返って来るのは大仏の絵が大半でしたが、
そうでないものもあるのでその中から3つ簡単に紹介します。
こちらは米がモチーフになっています。
ホトケというテーマを聞いてお米一粒一粒に宿っている『何か』を表現したかったそうです。
こちらは『3度目の仏』
あえて、女の子を使っているのがいいですね。
服はハスの花がモチーフになっているんだと思います。
こちらは描いていただいた方の頭に浮かんだイメージをそのまま表して貰った抽象画です。
弧も弧が重なり合う部分に暗い色が使われているのは何を表してるんでしょうかね。
保育園をまわっている時に見つけてしまったもの
ある日、僕は保育園を10件ほどまわっていました。
一度、ちびっこにホトケの絵を描いて貰った時に重機に乗ってる仏の絵が返ってきたことがあります。
まさかの重機マニアでした。
重機とか全く詳しくない僕はちびっこの重機の説明に白目を向いていました。
と、同時にこの子供特有の自由な発想に可能性を感じました。
そこで、保育園や幼稚園をまわって、園児にホトケの絵を描かせて貰えないか園長先生にお願いしてたんです。
かなり無茶なお願いですが、もしもこのお願いが通れば企画が盛り上がると思ったので駄目元でとりあえずまわってみました。(さすがにこの時は会っていきなりホトケ描いてとは言わずに順を追って説明しました)
で、その中の一つに何となく「あれ?」というものを見つけました。
園の名前はそこまで変わっていないけど、どことなく園の建物のデザインにキリスト教っぽいモチーフが使われているのです。(ちなみに僕は建築学生)
調べてみるとそこはキリスト教系の保育園でした。
さすがに引き返そうと思いましたが、「色んな人のホトケを集める」という趣旨でこの企画をやっているのにキリスト教を信仰している人たちをそこから除外するのはどうかと考えました。
むしろこの機会に明らかにした方がいい気すらしてきました。
キリスト系の保育園の純粋な児童が仏教についてどう見ているのかを。
僕は、怒られる覚悟で園長先生に話をしに行きました。
そして、普通に怒られました。
あまりにも普通に怒られ過ぎて
当たって砕けろというよりも、砕かれに行って砕けろって感じだなと思いました。
もちろん無茶なお願いはしているので、そのあたりには最大限に配慮して話したつもりでしたが、いや、話そうとしたつもりでしたが序盤に仏教系のイベントで…と説明しようとした瞬間にもう無理でしたね。
最初は穏やかに聞いてくれていましたが仏教って単語でもう怒ってました。
『仏教系のイベントについて話そうとした僕』が来ていることから、もうすでにそこから怒ってるわけです。
こうなったら無理ですね。怒られるしかありません。僕は素直に怒られていました。
何で30分も怒られたかというと
素直に怒られているとそれはそれで素直に怒られていることに対して怒られるんです。
「大体君はこういうこと言われてハイハイ言ってるけど企画者として芯は無いのか!企画者がそんなんだから子供たちにも描かせられないんだ!」と。
で、僕もこれを真面目に受けすぎてもう一度ちゃんと説明し直そうとするんですけど、一言一句に食ってかかられるんですね。
こんな感じで30分間が過ぎて行きました。
まさか大人になって保育園で誰かに怒られるとは思いませんでしたね。
保育園「風」のところで園児に怒られたことはあるんですけどね...。
おすすめ記事