歴史研究進み、当時の状況を正確に言い当てた表現でなくなる
文部科学省が14日発表した次期学習指導要領の改定案では、江戸幕府の対外政策を指す言葉「鎖国」が小中学校の社会科から消えた。歴史研究が進み、当時の状況を正確に言い当てた表現ではなくなったという。
文部科学省によると、鎖国は17世紀に来日したドイツ人医師の著作を翻訳した際に生まれた言葉。江戸時代の閉鎖性を象徴する言葉として使われており、現行の指導要領にも記載されている。
しかし、近年の歴史研究で、江戸後期に幕府は長崎▽対馬▽薩摩▽松前--の四つの窓口を通して、オランダ▽中国▽朝鮮▽琉球▽アイヌ--と外交をしていたとの学説が定着。当時の国際情勢を表現する言葉として鎖国が適切ではないとの指摘があったという。
次期指導要領ではこのほか、中学校社会科で「聖徳太子」が没後100年以上経て使われた呼称であることから「厩戸王(うまやどのおう、聖徳太子)」に変わる。人物に焦点をあてる小学校では「聖徳太子(厩戸王)」とする。【伊澤拓也】