今回は「インフルエンザとお薬」の話です。
現在、インフルエンザが絶賛流行中ですが、毎年のように猛威を振るうインフルエンザは、乳幼児を抱える僕たち親にとって恐怖以外の何物でもありません。
インフルエンザの流行に対抗する方法としては、一定数以上の健康な人が予防接種を受けるというコトが一番効果的だと思うのですが、ワクチンに関しては色々な意見があると思うので今回は割愛します。
※ちなみに、一個人として予防接種は効果があると思っていますし、受けるべきだと思っています。
では、インフルエンザにかかってしまった場合、個人レベルで気を付けるべきことはあるのでしょうか。
インフルエンザと解熱剤の関係について
薬に関するお仕事をしている僕は、メディカルニュースをよく見ます。日々の業務で、様々なお薬や疾患を学ばなくてはいけないのですが、一般的には意外と知られていないのではないかと思われる「インフルエンザと薬の関係」について書こうと思います。
というのも、これから書く内容は、薬に関する仕事をしている自分自身も正確には把握できていなかったことや、ブログの読者さんの多くが子育て中のパパさん&ママさんなので、是非知っていて欲しい大事な情報だと思ったからです。
お薬の種類で「NSAIDs(エヌセイズ)」というものがあります。
いわゆる、非ステロイドの解熱鎮痛剤と言われるもので、
この中には良く聞くお薬の名前として、
- 「ボルタレン」
- 「バファリン(アスピリンを緩衝制酸剤で包んだ合剤)」
- 「PL配合顆粒」
- 「ポンタール」
- 「ロキソニン」
などがあります。
ご家庭の薬箱にどれか一つはあるのではないでしょうか。
風邪で高熱が出た場合、歯が痛い時、頭痛や生理痛などで飲む人もいるかもしれません。
実は、これらのお薬はインフルエンザの疑いがある場合は、飲んではいけないということをご存知ですか?
インフルエンザ脳症とNSAIDs
もし、インフルエンザをただの風邪と同じに考えて、これらの解熱剤を飲んだらどうなるでしょう?
実は、インフルエンザの時にNSAIDsと呼ばれる種類の解熱鎮痛剤を飲んだ時に、(特に小児で)インフルエンザ脳症を誘引、もしくは重症化させる可能性があるとされています。
インフルエンザ脳症は、発症すると約30%は死亡し、さらに約25%で後遺症が発症すると言われている、とっても怖い病気です。 インフルエンザ脳症を発症する患者の多くは乳幼児ですが、成人でもインフルエンザ脳症による死亡例が報告されているので可能性はゼロではありません。
インフルエンザ脳症は、インフルエンザウイルスが脳に入り込むからなるというものではなく、感染によってサイトカインという物質が過剰に生産されてアレルギー反応を起こすことが原因と言われています。
季節性のインフルエンザが原因で年間150~200人ほどがなると言われています。
前述したNSAIDsは、インフルエンザの小児への投与は(原則)禁止とされており、成人においても極力処方しないようにされています。
※「インフルエンザ脳症ガイドライン」http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/influenza090928.pdf
インフルエンザかもしれないときに飲んでもいい解熱剤
タイトルに書いてある「ロキソニン、カロナール、バファリン」のうち、ロキソニンとバファリンはインフルエンザの(可能性がある)時に子供に飲ませてはいけないと前述しました。
※そもそもロキソニンは15歳未満は飲んではダメ
しかし、カロナール(アセトアミノフェン)は、インフルエンザ脳症のリスクがないため飲んでも大丈夫です。
カロナールは、ロキソニンのように抗炎症作用はなく、効き目も強くありませんが痛みを和らげてくれるお薬です。(大脳の痛みを感じる部分の閾値をあげることで痛みを感じにくくしていると言われています)
以前こちらの記事でも書きましたが、カロナールは妊婦さんも安心して使うことが出来ます。
インフルエンザの時、乳幼児、妊婦さんでも安心して飲めるカロナールですが、効き目が強くないために鎮痛効果が不十分の時もありますし、肝臓に負担をかけやすいお薬なので肝機能が弱い方はロキソニンの方がいい場合もあります。(ロキソニンは胃に負担がかかるので、胃薬と一緒に飲むことが多いですね)
そもそも、解熱鎮痛剤は高熱による体のだるさや、脱水症状などを予防する対症療法的な役割しかないため、インフルエンザの疑いがある場合はすぐに病院に行ってくださいね。
インフルエンザとアスピリンで引き起こされる「ライ症候群」
インフルエンザの時にNSAIDsを飲むことで引き起こされる可能性がある病気は、インフルエンザ脳症だけではありません。
「ライ症候群」という病気も、インフルエンザ時にアスピリン(アセチルサリチル酸)を飲むことで引き起こされるとされている怖い病気の一つです。
症状としては、脳浮腫、肝臓などへの脂肪沈着、低血糖、高アンモニア血症、などがあります。
症状が重い重症例の場合の予後はあまり良くありません。
バファリン等、アスピリンが元になっているお薬は市販の風邪薬にも多く、気軽に飲んでしまいがちですが、注意が必要です。
まとめ
今回は、毎年流行するインフルエンザと、ご家庭によくある解熱鎮痛剤(NSAIDs)の使用に関する注意点を書いてみました。
本来はインフルエンザに罹らないのが一番なのですが、予防接種を受けても罹患することもありますし、完全に防ぐ方法はなかなかないのが現状です。
であれば、万が一、お子さんがインフルエンザにかかってしまった時に、知識不足から誤った対応をしてしまわないように注意することはできます。
私は薬剤師ではありませんが、普段から仕事で薬に関わっている者として、また乳幼児を持つ父親として、「お子さんが発熱し、インフルエンザの可能性がある場合は、安易に市販の解熱鎮痛剤は使わないでね(カロナールならいいよ)」という事を、多くのパパさんママさんに知ってもらえたのなら、このブログも少しはお役に立てたのかもしれません。
まだまだ流行の続くインフルエンザには、くれぐれもお気を付けくださいね!
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