遊覧船でしか行けない秘境の一軒宿、大牧温泉で明日の元気をもらう旅

2017.02.08

大牧温泉は、清流・庄川の美しさと静寂の時間が楽しめる、船でしか行けない秘湯です。四季折々の風景がすばらしい露天風呂に浸かって、慌ただしい毎日の中で溜まってしまった疲れやストレスを解消してみませんか?自分自身の日常をリセットする旅へ出かけましょう♪

▲ゆるやかにカーブする庄川の川岸に建つ一軒宿(写真提供:大牧温泉観光旅館)

宿までの交通手段は、清流を運航する遊覧船のみ

富山県南砺(なんと)市にある「大牧温泉観光旅館」は、岐阜県を水源に日本海に注ぎ込む庄川の川岸に沿うようにして建っています。宿へつながる道路は整備されていないので、車でのアクセスは不可。交通手段は庄川峡を運航する遊覧船しかなく、船が発着する小牧港から片道8.1km30分間のクルーズで宿を目指します。ちょっぴり冒険気分の旅の始まりです。
▲レトロな佇まいが素敵な遊覧船乗り場。遊覧船の運行は、すぐそばの小牧ダムが完成した昭和5(1930)年から続いていているんですって‼

大牧温泉観光旅館へ向かう定期便は、1日に4便しかありません。しかもチェックイン時刻以降に到着するのは2便のみ。事前に出発時刻をチェックして、乗り遅れないように注意しましょう。特に毎年12月1日~1月31日は、1日の運航が3便、チェックイン時刻以降に到着する船が1便に減便されています。大きな船に豊富な席数が確保されているので、満席で乗れないということはありません。
▲庄川遊覧船は、大牧温泉を往復する定期便と、長崎橋を周遊する短時間遊覧の運航を行っている。別天地のような景色に感激‼

エメラルドクリーンの清流を、のんびりとクルーズしよう

▲庄川峡エリアの紅葉のベストシーズンは、11月中旬~下旬ごろ
▲雪景色が楽しめるのは、12月上旬~2月下旬ごろまで(写真提供:大牧温泉観光旅館)

清流として名高い庄川は、どの季節に訪れてもエメラルドグリーンの美しい水を湛えています。山の間を縫うように運航する遊覧船の窓から外を眺めると、まるで日常の喧騒がウソのよう。穏やかなときの流れに身を委ね、峡谷をのんびりと運航する遊覧船のショートクルーズを楽しみましょう。
▲肌に吹き付ける風が、とっても気持ちいい
▲神秘的な色合いの庄川をショートクルーズ。海のように波がないので船酔いの心配がいらないのがうれしい♪

非日常を満喫させてくれる宿は、ゆるやかなカーブの先。小牧ダムの建設にともなって湖底に没した村落から豊富に湧き出る源泉を採り込み、再興された旅館が現在の大牧温泉観光旅館の基となっています。
▲趣きのある建物が姿を見せたときの感動はひとしお
▲大牧温泉旅館専用の船着き場。船の乗降はこちらでどうぞ~

川の側に佇む重厚な一軒宿が、旅の目的地

船を降りて階段を上ると旅館の入り口が見えてきます。昔ながらの和風旅館らしいどっしりとした佇まいで、周囲の自然や庭園の緑と心地よく調和しています。どの方向を見ても人工物はほとんどなく、耳に届くのは葉が風に揺れる音、鳥や虫たちの鳴き声だけ。何もない贅沢を感じるには、絶好の場所です。
▲大牧温泉観光旅館は、周囲の自然に溶け込むように建っている

重厚な玄関を入ると、ロビーの窓から先ほどまで眺めていた自然が、再び飛び込んできます。それはまるで、一枚の絵画のような光景です。
▲ロビーの窓から、庄川に沿って建つ宿を眺めていると、まるで川にプカプカと浮かんでいるような気分になる
▲ロビーの様子。和の雰囲気を大切にしながらも、快適な時間を過ごせる造りになっている。寒い季節は朝夕になると囲炉裏に炭火が入ってほっこり

穏やかに流れる時間が、心身を解きほぐしていく

客室はほとんどが川に面した造りになっていて、四季折々の絶景を眺めながら過ごせます。和室、和洋室、露天風呂付き客室などがあって、どの客室もフカフカの座布団と大牧温泉オリジナルのお菓子が迎えてくれます。畳の上にゴロンと寝転がって思い切り手足を伸ばしたり、窓辺に腰を下ろして刻一刻と表情を変える風景を眺めたり、思い思いの一瞬を満喫しましょう。
▲窓外の景色も、まるで客室の一部のよう。奇をてらうことのない飾らない空間に心が和む
▲ベッドで眠れる和洋室もある
▲小腹がすいたら、オリジナルのお菓子を召し上がれ
▲檜の露天風呂がある客室もあり、プライベードな空間と時間が約束されている

時間に追われないことが、こんなにも幸せで贅沢なことなんて。日常の忙しさやストレスを忘れ去って、自然と頭の中が空っぽになっていきます。そして、耳に届く庄川の瀬音と野鳥の声にも、心が穏やかになるのです。

効能バツグンの湯に浸かって、明日からのパワーを充電

▲畳敷きになった廊下を進むと、大浴場の暖簾が見えてくる

温泉は敷地内にある源泉から引き入れていて、身体を芯までポカポカにする肌にやさしい弱アルカリ性の泉質と豊富な湯量が自慢です。源泉の温度が高いので湯船を満たすときだけ加水を行っていますが、それ以外は贅沢に自家源泉を掛け流しています。
▲ひと目にして、湯量の豊富さが伝わる内湯。広がる湯けむりが温泉の醍醐味を伝えてくれる

湯けむりが立ち込める内湯を出ると、野趣あふれる場所に露天風呂があります。女性風呂には2カ所の露天風呂が用意されています。どちらも川に沿うように配置されていて開放感が抜群です。天然温泉のパワーとともに、森林から溢れ出るマイナスイオンも享受しましょう。
▲露天風呂に身を沈めれば、自然と一体になったような気分を満喫できる
▲山肌に包み込まれるような造りになった露天風呂もある

目の前に広がるのは山峡の景色。天候に恵まれれば澄み切った夜空に、満天の星が広がります。ここでは自然の風を肌に受けながら、温泉パワーをしっかりと享受しましょう。湯に浸かっていると、蓄積した疲れが知らず知らずの間に湯に溶け出すようです。もしかしたら、カモシカやタヌキが顔を見せるかも知れませんよ。

海の幸がズラリ♪夕食は富山グルメを召し上がれ

お楽しみの夕食は、富山県の旬の味覚を使った会席料理。ご当地名物である新鮮な海の幸をお刺身で堪能でき、新鮮な魚介のおいしさに魅了されます。ほかにも焼き魚や天ぷらなど、丹精込めて作られた料理が目の前に並びます。
▲夕食は専用の食事処で。大きな窓の側にテーブルがあり、庄川峡の自然美に抱かれていることを教えてくれる

鮮度の高い刺身は格別。富山では新鮮な魚のことを「キトキトの魚」と言うそうです。なかでも脂がたっぷりとのった、富山湾の冬の味覚を代表する寒ブリの刺身に感動。料理内容が和洋折衷になっているので、アレコレといろんな味を食べられるのもうれしいですね。
▲富山の海の幸の美味しさを、余すことなく伝える夕食。食べきれないほどのボリュームがうれしい

朝食はシンプルな和定食ながら、その味わいは絶品。富山県では全域で「おいしい朝ごはんプロジェクト」が実施されていて、大牧温泉観光旅館でも素敵な一日の始まりにぴったりな富山らしい朝食を提供しています。炊き立ての富山県産コシヒカリ100%のごはんはもちろん、郷土で昔から食べられてきた旬の素材を使った料理は心に沁みる旨さです。
船でしか行けないという特別感が、気持ちを高揚させてくれる大牧温泉観光旅館への旅。一軒宿だからこそ味わえる静かな時間や天然温泉の癒しは、明日からのパワーになってくれるはずです。
高井友紀子

高井友紀子

富山県生まれ。新聞社の支局スタッフ、タウン情報誌の編集者を経て現在に至る。雑誌媒体を中心に、企画やディレクション、取材に携わる。写真と陶芸、ネコをこよなく愛する。近ごろはスポーツ観戦、歴史的建造物や美術館などの探訪にも熱中。 (編集/株式会社くらしさ)

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