仕事で出張する機会が多いのですが、大抵ビジネスホテルに宿泊しています。
最近は、ビジネスホテルのサービスがどんどん充実してきていますね。
朝食無料サービスだけでなく、温泉がついていたりマッサージチェアがあったり。
枕の硬さが選べるビジネスホテルもありました。
そういえば、全く気にすることはなかったんですが、ホテルのベッドの向きってどうなっているんでしょう。
ベッドの向きが「北枕」にならないように配置するホテルもあるんでしょうか。
そんなことを考えたんで、今日は北枕について書いてみます。
北枕とは
北枕というのは、北側に枕を置いて頭を乗せ、足先を南に向いた状態で横になる寝方のことです。
日本では、昔から亡くなった方の遺体を北枕にして安置する習慣がありました。
古くは、縄文時代や弥生時代の古墳に見られる風習です。
奈良時代には、北枕の風習が確立していたそうです。
「北枕」の由来に関する3つの説
仏教では、釈迦が入寂(にゅうじゃく・亡くなること)した際に、右脇を下にして頭を北にしたという故事があります。
また、死を司る神は北方(北斗七星)にいるので、北側に頭を向けて寝ると、寝ている間に寿命を縮められてしまうという言い伝えもあります。
日本古来の祖霊信仰では、祖先の霊は家の北側におわすという思想があります。そのため、死者の頭を北側に向けることで、祖霊の仲間入りを祈るという風習が生まれたとも言われています。
こうした様々な理由から、生きている人間が北枕をすることが、本物の死を呼び寄せてしまうと考えられていたようです。
北が持つ本当の意味
「北」という漢字の持つ意味は、あまり良くないものも含まれています。
「北」という漢字の成り立ちは、別々な漢字を組み合わせて、それぞれの意味を合わせる「会意文字」です。
二人の人間が背を向けあい、反対したり、背いたりするという意味を持っています。
また、北という漢字には、背く・負けるといった意味も含まれています。
「北」という漢字を使った「敗北」という言葉があるのも、漢字の意味を考えると納得ですよね。
中国の北枕
中国でも、北枕の風習が昔からありました。
でも、それは仏教とは関係のない風習だったようです。
突然死した人を北枕にして寝かせることで、生き返ることがあると考えられていたそうです。
その理由を科学的に説明することができるか、少し考えてみました。
地球の磁力線は、北から南に向かって流れています。
死者を北枕に置くことで、微弱な磁気の影響を受けることができます。
仮死状態だった場合、地磁気で死者の血行を促進させることで、生き返りを期待することはできないでしょうか。
とまあ、書きながら冷静に考えてみたんですが、そんなに都合よくはいかないですね。
地磁気は非常に微弱なものらしいですから。
枕はどの方角に置くのが良いのか
枕を置くのに最適な方角を考えてみました。
古代中国では、太陽の昇る東の方角が特別な方角と考られていました。
太陽は、生き物全てに生命のエネルギーをもたらしてくれる存在です。
そんな太陽が昇る東の方角は、特別な方角として考えられていました。
東に枕を置いて寝ることで、太陽の持つエネルギーを取り込もうとする思想は、昔から日本にもあったそうです。
頭は東に向けて寝るのが、古来からの作法に適ったものなのかもしれませんね。
最近では、北枕は地磁気の影響を受けやすいので、健康に良いという説もあります。
どの向きで寝るのかは、家やホテルの造りを基準に、柔軟に考えた方が良いのかもしれませんね。