去年の給与総額 実質賃金で5年ぶりプラスに

去年の給与総額 実質賃金で5年ぶりプラスに
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働く人1人当たりの去年の給与総額は、月の平均で31万5000円余りとなり、物価の変動分を反映した実質賃金でも0.7%増え、5年ぶりにプラスになりました。
厚生労働省が全国のおよそ3万3000の事業所を対象にした調査の速報値によりますと、基本給やボーナス、残業代などを合わせた去年の給与総額は、働く人1人当たりの月の平均で31万5372円でした。これは前の年を0.5%上回り、3年連続で増加しました。

また、物価が下落したため、物価の変動分を反映した実質賃金では0.7%の増加となりました。実質賃金がプラスになるのは5年ぶりです。

業種別で最も金額が高かったのは、電気・ガス業で55万1460円、次いで情報通信業が48万8316円、金融業、保険業が46万5562円でした。

また、正社員などフルタイムで働く人の給与総額は41万1788円、パートタイムで働く人は9万7670円でした。

厚生労働省は「賃上げの効果で主に正社員の賃金が増え、ボーナスも上昇したため名目賃金が増加した。実質賃金は物価がマイナスになったことでさらに押し上げられた」としています。

去年12月の給与総額 実質賃金ではマイナス

一方、冬のボーナスなどを含めた去年12月の給与総額は、平均で54万4000円余りと、前の年の同じ月を0.1%上回りました。ただ、物価の変動分を反映した実質賃金では0.4%のマイナスとなりました。

厚生労働省が全国のおよそ3万3000の事業所を対象に行った調査の速報値によりますと、基本給やボーナス、残業代などを合わせた去年12月の給与総額は働く人1人当たりの平均で54万4823円で、前の年の同じ月を0.1%上回りました。

ただ、物価の変動分を反映した実質賃金では、物価が上昇したため0.4%のマイナスとなりました。

また、給与総額のうち、冬のボーナスなど特別に支払われた給与は28万4327円でした。

専門家「人手不足で賃金改善傾向」

去年の実質賃金が5年ぶりにプラスになったことについて、みずほ総合研究所の徳田秀信主任エコノミストは、「景気回復が進み、人手不足感の高まりの中で名目賃金の増加は続いていたが、去年は円高や原油安の影響で物価が落ち着き、実質賃金もプラスになった。水準として物足りなさはあるが、評価できる」と話しています。

そのうえで、「今後もエネルギー価格の上昇などで、一時的には弱含む局面はあると思うが、人手不足は続くので長い目で見れば、賃金は改善傾向にあると見られる」と話していました