洞窟探検はすごくデンジャラス。地球の底深くに分け入っていく危険は計り知れない。人ひとりがやっと通れるくらいの狭い通路を無理やり進み、険しい岩の裂け目を這い降り、凍えそうな地下水の中に潜り、探検者たちは危険なゲームに身をやつしている。もちろん運が良ければ、ほとんどの人が決して見ることのないとっておきの光景に遭遇できるかもしれない。
だが運が悪ければその代償は相当過酷だ。右も左もわからない真っ暗な地下で迷い、戻ることができなくなってしまう者もいる。狭い暗闇に閉じ込められ、生存が絶望的になって、気も狂わんばかりになる現実のホラーが待っているのだ。
ここではそんな世にもホラーな10の事故をみていくことにしよう。
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10. モスデール洞窟の悲劇
image credit:The Independent
1967年、ジョン・オグデンと5人の仲間たちは、イギリスのモスデール洞窟の地図にもない地域の地下3.2キロを潜っていた。そのとき地上では、雨が降り始めていた。
オグデンたちは何時間も暗闇の中、曲がりくねった洞窟のトンネルをはいまわり、誰も足を踏み入れたことのない場所を探索していた。だがこの岩の迷宮の奥深くにいては、これから起きることを知るよしもなかった。
土砂降りの雨で、地上の川の水位が上がり氾濫した。洞窟の入り口にも水が押し寄せ、地下の迷路という迷路に一気に流れ込んできた。狭いトンネルを慎重に移動していたオグデンたちは、背後に押し寄せるものすごい水の音を聞いた。最初は足首までだった水位がたちまち首までいっぱいになった。
唯一の望みは、頭上にある岩の小さな割れ目だった。オグデンはなんとか体を持ち上げて、岩の上の空気だまりに顔を出すことができたが、全員分のスペースはなかった。
下にいたほかのメンバーは、トンネルが水でいっぱいになって、皆死んでしまった。オグデンだけが水の上に頭を出したまま、狭いクレバスにとらわれた状態になった。
オグデンが発見されたのは、それから数日たってからだったが、狭い割れ目にはさまったまま彼は絶命していた。最後の空気を求めて必死にもがいたことだろう。
9. ポガニカ湾の洞窟
2002年、クロアチア、ポガニカ湾の水深54メートルのところにある水中洞窟で、ダイバーたちがM・Kの遺体を発見した。ダイビングマスクははぎとられ、胸には30センチのナイフが刺さっていた。
最初、警察は殺人事件として捜査した。M・Kは友人たちとケーブダイビングに来ていてため、彼を刺して洞窟に遺体を隠した犯人はその友人のひとりではないかと思われた。
しかし、解剖の結果、彼の死は殺人よりももっと恐ろしい結果であることが判明した。M・Kは、洞窟の迷路の中で迷ってしまい、酸素がなくなりかけて溺れそうになった。ふたつの岩の間にある気泡を求めて上昇しようとしたが、それでも生き延びるには十分ではなかった。彼はここで死ぬと気づいたが、それは想像を絶する恐怖と苦しみだったろう。溺れ死ぬときの苦しみはとても堪えがたいものだという。M・Kはその地獄の苦しみから逃れるために、自ら胸にをナイフで突き刺したのだ。
8. ステールクフォンテン・ケーブスでの遭難
ピーター・フェアウルセルは、危険なことが大好きだ。1984年、友人たちと南アフリカのステールクフォンテン・ケイブスにケーブダイビングにやってきたとき、彼はあらゆる安全マニュアルを無視した。
水中では従うべき決められたルールがあるが、好奇心に負けた彼は予定の進路をはずれてどんどん深みにはまってしまった。
3度目に同じ状態になったとき、友人たちはピーターを見つけることができなかった。ピーターは迷路のような水中のトンネルを抜けているとき、自分が迷ったことに気づいた。脱出方法がまるでわからない洞窟の中にひとり取り残されてしまったのだ。しかも、酸素は尽きようとしていた。
幸いなことに、トンネルの行き止まりに小さな島があり、ピーターはそこによじ登って水から出ることができた。少なくとも溺れ死ぬことはなかったが、酸素がほとんど残っていないため、帰り道を探しに行くことはできない。望みは救助を待つことだけだった。
ピーターは数時間待ち続けたが、疲労で眠り込んでしまった。目が覚めても、助けは来ていなかった。食べるものもなく、真っ暗な洞窟の中でただひたすら待つしかなかった。
結局、骨と皮だけになって餓死したピーターが発見されたのは6週間後だった。最期の日々、死を悟った彼は、砂の上に妻と母親宛てに遺言を残していた。"シャール、そしてママ、私はあなたたちを愛している" と。
7. ディオン・ドライヤーの回収
2005年1月、デイヴ・ショーはディオン・ドライヤーの遺体を回収することに決めた。ドライヤーは、10年前に南アフリカのブッシュマンズ・ホールの水深270メートル付近で行方不明になり死んだ。デイブは彼の骨を遺族の元に戻すつもりだったのだ。
ドライヤーの遺体はすぐに見つかり、安全に浮上させるためにデイヴは遺体にロープをとりつけた。遺体袋に収容しようとしたとき、遺体の首が折れて浮遊し始め、それを取り戻そうとしてデイヴはもがいた。
デイヴの息は上がり、すぐにボンベが供給する酸素量が追いつかなくなった。除去されるはずの二酸化炭素が肺に戻ってきてしまい、デイヴはますます焦った。ディオンの遺体を回収しようとすればするほどうまくいかず、時間ばかりが過ぎていった。
5分後、デイヴは諦めて、そのまま浮き上がろうとしたが、ライトがディオンの遺体にとりつけたロープにからまってしまった。デイヴは必死でなんとかしようとしたが、体が沈み始めてパニックになり、結局窒息した。自分が助けようとしたディオンの隣でデイヴもまた帰らぬ人となった。
6. ナティ・パテ洞窟の挫折
2010年、ライアン・シュルツはジョン・ジョーンズを助けようと、すでに19時間も奮闘していた。ジョンは、アメリカ、ユタ州のナティ・パテ洞窟の狭い隙間に頭からはまって、さかさまの状態で身動きがとれなくなってしまったのだ。
ライアンと仲間たちは、ジョンを救出するためにあらゆる手を尽くし、滑車装置を組み立てて、ジョンを引っ張
り出そうと試みた。ライアンはジョンのそばにいて話しかけ、彼を落ち着かせた。
「太っているためにこんなことになって、すまない」ジョンは言った。「ぼくが太っていなかったら、君たちがこんなに苦労することはなかったんだ」ライアンは、無事に脱出できたら、ジョンのトレーニング仲間になると約束した。
滑車が設置され、実際に引き上げが始まると、ジョンは痛みに悲鳴をあげた。少し休んで再び引き挙げる間、ライアンはジョンに話しかけ続けた。
ところが、事態は悪い方向へ向かった。ロープが切れて金属のカラビナが落下し、それがライアンの顔を直撃した。その衝撃でライアンは舌を半分かみ切ってしまい、ジョンも再び穴の中に落下してしまった。
ライアンは撤退するしかなかった。口から血をしたたらせながら、ライアンはジョンに必ず戻ってくると約束した。ライアンは崩壊しそうな洞窟から助け出され、ライアンの父親が後を引き継いだ。「必ず助け出してやる」穴の底にとらわれているジョンに声をかけたが、ジョンはすでに意識を失っていて、二度と目覚めることはなかった。
5. フロイド・コリンズとクリスタルケーブ
image credit:Nicholas Frost
ケンタッキーに住むフロイド・コリンズが、クリスタルケーブを見つけたのは1917年のこと。彼は洞窟を隅々まで探検しようと決め、それから8年間、自らが洞窟の中にとらわれてしまうまで、内部のトンネルを調べまくった。
持っていたランプがちらつき始めたので、コリンズは明かりが消える前に脱出しようとした。狭い隙間をよじ登っていたときに、緩んだ12キロの岩が彼のくるぶしに落ちてきたため、彼はその場で動けなくなってしまった。
17日間、救助隊がコリンズを救おうとしたが、なにをやってもうまくいかなかった。一縷の望みをかけて坑夫を連れてきて、彼の近くに立坑を掘ろうと試みた。それを待っている間、コリンズは一躍有名人になった。観光客がこの救出劇を見ようと現場におしかけたのだ。
ちゃっかりした商売人たちが、こうした野次馬向けに食べ物や飲み物や土産物を売る屋台まで出した。しかし、立坑が貫通するのにとても時間がかかってしまい、コリンズは18日目に低体温症と飢えと渇きで死んだ。
4. ケーブ・クリークの悲劇
1995年、17人の学生のグループがニュージーランドのケーブ・クリークを訪れた。誰一人として危険なことはなにもないと信じていた。洞窟の中の狭いトンネルをはいつくばって進んだりしたわけではなく、ちゃんとガイドがついたツアーに入って、観光客向けに整備された道を通っていたからだ。
一行は深い裂け目を上から眺められるデッキにたどり着いた。足場が脆い感じがしたが、おもしろがってジャンプして揺らしてみたりした。いかにも頼りない様子に驚いたが、きちんとした安全基準がある時代のことだから、見た目よりあんがいしっかりしているのではないかと学生たちは考えた。
しかし、それは間違っていた。このデッキは技術的知識のない者が設置していた。手ごろなドリルがなかったという理由で、実際にはボルトではなく釘が使われていたのだ。
ついに、デッキは学生たちの体重を支えきれなくなって倒れ、崩れて下の深い裂け目に落下した。ひとりの学生は、手すりにつかまってなんとか助かったが、17人のうち一命をとりとめたのは4人だけで、ほかの13人の学生たちは放り出されて死んだ。
生き残った者はヘリコプターで吊り上げられて救助された。脊椎を折った女子学生もいたが、命があるだけ運がまだよかったとした。
3. パンニキン・プレインズ・ケーブ
1988年、アンドリュー・ライトは15名のチームで、世界最深と言われる西オーストラリアの洞窟を初めて探検していた。
そんなとき、突然嵐が襲い、洞窟の入り口から洪水の水が入り込んできて、洞窟の中間付近が崩落した。15名は地下に閉じ込められ、ライトと数人は狭い岩棚で足止めをくらってしまった。
頭上の岩は今にも崩れてきそうだったが、大量の水が迫ってきていて、どうしたらいいのかわからなかった。洞窟の壁の岩が次々に水の中に落ちて、あえて足を踏み出そうものなら、直撃される恐れがあった。
ライトはなんとかこの状況を打開しようと、水の中を泳いで出口を見つけようとした。27時間以上かかって、全員が一致協力して脱出に成功した。
2. ナム・タル・ケーブの洪水
2007年10月、ヘレナ・キャロルはタイのナム・タル・ケーブには行ってはいけないと言われた。この季節はタイのモンスーンの時期で、相当な雨が降る。もし行ったら、二度と帰ってこられないという。だが、ヘレナはその警告を無視した。
警告を無視したのはヘレナだけではなかった。彼女のボーイフレンドのジョン・カレン、それに7人のツアー客も、危険をかえりみなかった。そしてすぐにそれが最大の間違いであったことに気づいた。彼らは背後に突然怒号のような音を聞き、水が押し寄せてくるのを目の当たりにしたのだ。
「ジョンとわたしは登り始めたとき」ヘレナは思い出す。「まず見えたのは、ツアーガイドとドイツ人少年が水にさらわれるところだった。それからスイス人夫婦とふたりのかわいらしい少女たちも」ヘレナは足を滑らせそうになったが、ジョンが彼女をつかまえ、岩棚に上がることができた。そこは真っ暗だったが、下を流れる恐ろしいほどの水の音が聞こえたという。
「ここに留まっていたら、ふたりとも死んでしまう」ジョンはそう言って、レスキュー隊を連れて戻ってこようと、泳いで助けを求めに行った。ヘレナはそこに残って、最愛の人が流れの中に消えていくのをただ見つめるしかなかった。
ヘレナはたったひとりで待ち続け、救助隊がやってきたのはそれから8時間後だった。ヘレナは助け出されたが、ほかの者の遺体が棺に並べられ、ジョンの遺体もスイス人少女の隣に横たわっているのを見て、初めて生存者は自分だけだったことがわかった。
1. プルーラ・ケーブの悲劇
image credit:The Norwegian Cave Diving Association The Local
カイ・カンカネンは、ノルウェーのプルーラ・ケーブに潜った最後のダイバーのひとりだ。2014年2月の寒い冬の日、ケーブに続く池は凍っていたので、ダイバーたちは潜る前に氷に穴をあけなくてはならなかった。パトリック・ゴンクヴィストとヤリ・フオタリネンが最初に潜り、カイのグループが後に続いた。
計画では、プルーラのトンネルを泳ぎ、反対側の山腹の出口に出るというものだった。カイが進んでいくと、ヤリの遺体を発見した。ヤリは狭い通路で身動きがとれなくなって、パニックになって水を飲んで窒息したようだ。今はヤリの遺体が、行く手をふさいでいた。
カイと一緒にいたヤリ・ウーシマキが動揺して呼吸が速くなり、二酸化炭素で溺れそうになった。カイは助けようとしたが、ウーシマキを落ち着かせることができず、彼はそこで絶命し、カイはひとり取り残された。
カイは凍えるような水の中を泳いで、なんとか元の池に戻ったが、開けたはずの氷の穴が見つからない。池の表面を覆っている氷を叩き割りながら突き進むしかなかった。池から脱出するまで、カイは11時間も水の中にいた。グループのほかのメンバーは、別の出口から出て助かったが、仲間の遺体を回収するのには2ヶ月近くかかった。
via:10 True Horror Stories Of People Trapped In Caves/ translated konohazuku / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
地元民の警告を無視するのは、ホラー映画でもリアルライフでも、鉄板の死亡フラグ。
2. 匿名処理班
窒息でしぬのだけは嫌だなぁ…餓死も嫌だけどさ、水って怖いね
本文3の人達は皆助かってほんとに良かった
3. 匿名処理班
やはり生き残れないのか
4. 匿名処理班
そう言えば日本でも洞窟内でダイバーが行方不明になった未解決事件が有りましたね。
5. 匿名処理班
カラパイアでこんなに背筋が凍る記事を久々に見た
今までもそしてこれからもダイビングはしないと誓う
6. 匿名処理班
ルールや警告を守らないとかふざけて揺らすとかフラグ立ててる自業自得
7. 匿名処理班
読んでるだけで息がつまるね
8. 匿名処理班
テレビで洞窟を見るたびにこういう結末を予想してしまう
隙間入って出られなかったら・・・とか
5番はNHKの映像の世紀で見た気がする
9. 匿名処理班
悲劇で終わる映画のようで切ない結末だ
10. 匿名処理班
だめだー 2まで読んでもう読めない
閉所の恐怖といったらもう…
もう眠れないかも
11. 匿名処理班
こわすぎ
12. 匿名処理班
なんて恐ろしいんだろう…
読んでいる途中で何度も大きく深呼吸したよ。
こんな最後はいやだ。