ミャンマー、中古車輸入に大幅な規制、スズキは現地生産拡大へ
「中古車天国」であったミャンマーの自動車市場に異変が起きている。自動車産業育成を目指す政府が2017年から中古車輸入に大幅な規制をかけるためだ。有力中古車輸入業者は新車販売に業態転換し、先行するスズキのように現地の生産を拡大するメーカーもある。一方、日本製の質の高い中古車の輸入が急に止まることで販売に混乱が見られ、新車市場が立ち上がるのにも時間がかかりそうだ。
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ミャンマー最大都市ヤンゴン中心部に24日、スズキの新車ショールームがオープンした。運営するのはサクラ・トレード・センター。1993年の設立以降、中古車を主力とする最大手の自動車輸入業者だ。ピーク時に年一万台の中古車を日本から輸入した実績があるが、今回はじめて新車ショールームを開業した。
「もう中古車の伸びは見込めない2018年に販売の9割は新車にする」とティ・アウン社長は事業の軸を新車販売に移すことを明らかにした。2017年3月にさらに3ヶ所の新車ショールームを開くという。サクラと並ぶ大手中古車業者、ファーマー・オートも2016年秋に初の新車ルームを開業した。
業態転換の背景にあるのが政府の中古車輸入規制だ。2017年1月以降、右ハンドル車の輸入を原則禁じる方針を2016年11月には大要した。廃車証明書と引き換えに輸入を認める特例でも対象を11−14年製造の中古車に限定した。2016年の日本からの中古輸入は12万台前後と見られるが、来年は輸入の大幅な減少が避けられない。
サクラのような大手を除けば、大多数の中小輸入業者は廃業の危機にある。業界団体ミャンマー自動車製造・流通業者協会(MAMDA)は「自動車価格が高騰し、庶民の手に届かなくなる」と反対の声を上げている。ヤンゴン市内の販売店では中古車価格がこの1ヶ月で400面〜500万チャット(約34万〜43万)、率にして1〜2割上昇した。
ミャンマーでは2015年度末時点で約54万台の登録乗用車の9割超は日本製中古車とされる。だが、日本と反対の右側通行であるミャンマーで右ハンドル車はすれ違うときなどの危険が大きい。政府は2013年以降、年式の古い右ハンドル車から段階的に輸入を制限し、昨年12月には今回と同様の大規模な輸入規制を公表した。
一方で、現地生産する自動車メーカーは活気づく。スズキは年2700代の生産能力を持ち、ミニバン「エルディガ」や小型トラック「キャリイ」を1千台程度販売する。今月には新工場も建設するという。年1万大規模の生産を目指すという。規制により移り変わる需要に対応し、事業を拡大していく。
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Digima〜出島〜
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