ダルビッシュ有が、甲子園、ファイターズ、メジャーリーグで活躍したこの10年あまり、日本中のさまざまな所に「〇〇のダルビッシュ」が出現した。〇〇に入るのは地名で、それが埼玉だったり、岡山だったり、下町だったりする。
【写真】この人気選手も190cm超の大型投手。
しかし、「〇〇二世」と呼ばれる選手と同様、本家を超える活躍をする者はまだいない。背が高くて速い球を投げる本格派右腕は「〇〇のダルビッシュ」と言われて、実際の実力以上の評価を乗せられてきた。そのため、本人は必要以上のプレッシャーを感じて力を出せず、周囲を失望させることも多かった。
そもそもダルビッシュのように、甲子園で通算7勝、ファイターズで93勝、レンジャーズで46勝を挙げるようなピッチャーが簡単に現れるはずがない。そういう意味では罪作りな呼び名だ。
2016年ドラフトで広島東洋カープに5位指名されたアドゥワ誠は、「伊予のダルビッシュ」と呼ばれていたが、全国的には無名だった。昨夏、松山聖陵のエースとして甲子園初出場を果たしたことで、ようやくその存在がクローズアップされた。
父はナイジェリア出身、母は元バレーボール選手という両親の間に生まれ、身長196cm、体重は86kg。体は未完成だが、それだけに「伸びしろ」に注目するプロ野球のスカウトは多かった。甲子園では準優勝した北海高校と初戦で対戦し、サヨナラ負けを喫したものの、12安打を浴び7四死球を与えながら187球を投げ切った。最速は144キロと高校時代のダルビッシュに比べると見劣りするが、角度のあるストレート、チェンジアップ、スライダーなどの変化球に加え、センスを感じさせるフィールディングを見れば、”大化け”が期待できる逸材であることは間違いない。
当時、甲子園でのスカウト評は次のようなものだった。
「体幹、下半身を鍛えれば、伸びしろはある。ボールの角度は天性のもの」(阪神・山本宣史スカウト)
「要所で力を入れた球には力がある。フィールディングもいいし、センスを感じる。将来的に楽しみな素材」(オリックス・柳川浩二スカウト)
「体ができれば、間違いなく150キロは出る。大きな可能性を秘めている選手」(ヤクルト・小川淳司SD)
アドゥワを5位で指名した広島の白武佳久スカウト部長は、「一番の武器である角度のある直球と、自在に操るチェンジアップの精度が高い」と評価しながらも、即戦力とは考えていない。あくまで、3年~5年後の活躍を見据えた指名だ。
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