東京ビッグサイトにて1月18日(水)から20日(金)までの3日間に渡って最新のウェアラブル技術やIoT、AR/VR技術などの総合展示商談会「第3回 ウェアラブルEXPO」(主催:リード エグジビション ジャパン)が開催されました。
2016年は「VR元年」などとも呼ばれ、さまざまなVR技術やAR技術を用いたメガネ型デバイスが登場した年でしたが、今回の展示会でもメガネ型デバイスを売り込む企業が多く、昨年までの「技術的な提案」から工場や医療現場などでの具体的な「活用の提案」へとシフトしているように思われます。
一方でもう1つ会場を賑わせていたのはデジタル技術を活用した衣料品や繊維関連商品です。導電性の繊維を用いた各種センサーや、LEDを直接縫い込んだコスプレ用衣装など、まさに「ウェアラブル」を中心とした商材です。
今回はそんな導電性繊維を用い、既に商品化しているおもしろグッズを会場で見つけましたのでご紹介したいと思います。
■すぐ温まり低温火傷にもなりにくい、安全なウェアラブルヒーター
紹介するのは三機コンシスのウェアラブルヒーター「HOTOPIA」です。これは導電性繊維として銀を使用したもので、高い伸縮性や導電させた面積が均等に温まる均熱性、そして導電すると即座に温まる「即熱性」などを特徴としています。
この素材の面白い点は「温度を自在に設定できる点」です。温めるには当然バッテリーを用いますが、そのバッテリーの出力を変えることで発熱温度を制御し身に纏うのに適した温度管理が可能です。バッテリーには市販のモバイルバッテリーなども利用できますが、専用バッテリーを使えばさらに細かくスマホによる温度管理や制御が可能になります。
スマートフォン(スマホ)など向けアプリを利用するにはバッテリーとの間で通信を行う必要があるため、専用バッテリーが必須となります。専用バッテリーとスマホはBluetooth Low Energy(BLE)で接続されます。
スマホアプリによって温度管理が行えるとバッテリーをポケットなどへしまったまま遠隔操作可能になるため、利便性はさらに向上すると思われます。
筆者も実際にポータブルシートに座ってみました。電源を入れるとわずか2~3秒で温まり始め、10秒もするとポカポカに。前述したように専用バッテリーで最大出力にすると2時間しかもちませんが、一度温まってしまえば最小出力で十分に暖かさを維持できるので実際は半日近く使えると考えて良さそうです。
HPTOPIAはその温度制御性や均熱性から「低温火傷を追う危険性が比較的少ないため、肌に直接触れる手袋や各種サポーターなどへの利用に適しています」と松本社長自ら語ってくれました。
HOTOPIA製品は手洗いによる洗濯も可能で、さらに銀を用いた繊維であることから抗菌性にも優れている点もまた、肌に直接触れる下着などへの利用に適していると言えます。
同社ではポータブルシートなど自社で加工した製品を取り扱うほか、素材自体をOEM供給することで他社からもHOTOPIA対応製品が発売されています。
■スマホとの連動で利便性を向上。今後の商品展開に期待
HOTOPIA自体は6年ほど前から生産を開始しており、現在はその普及と製品化に力を入れているとのこと。素材はすべて日本で生産されており、松本社長は「単なる繊維ではなく『電子製品』としての認可や設備が必要となるために海外での生産はなかなか難しい」と語っていました。
ウェアラブルデバイスというと高度な各種センサーを備えた製品などを思い浮かべがちですが、こういった「バッテリーさえあればレジャーシートから手袋までなんでも温まる」というアイデア商品こそがまずは普及すべきではないかと感じました。HOTOPIAという名称にも「HOT+UTOPIA(暖かさの理想郷)」という意味が込められているそうですが、ウェアラブルヒーターが人々にとって理想的なウェアラブルデバイスとなる未来に期待したいところです。
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