三菱自動車 燃費不正で4億8500万円の課徴金

三菱自動車工業の燃費の不正問題で、燃費の性能を示すデータを実際よりも高い数値でカタログなどに表示していたとして、消費者庁は三菱自動車に対し、景品表示法に基づいて再発防止を命じるとともに、4億8500万円余りの課徴金の支払いを命じました。消費者庁が景品表示法に基づいて課徴金の支払いを命じるのは初めてです。
消費者庁は、三菱自動車工業が燃費を実際よりも、よく見せる不正を意図的に行っていたことが、去年4月に明らかになったことを受け、景品表示法に違反する不当な表示がなかったか調査を続けてきました。

その結果、合わせて9つの車種で、燃費の性能を示すデータを表示できる値よりも最大で16%程度高い数値で、カタログやウェブサイトで表示していたことを確認したということです。

こうした表示は長いもので、遅くとも去年4月以降、8月まで続けられ、消費者庁は景品表示法に違反するとして、27日、三菱自動車に対して再発防止を命じる行政処分を行うとともに、課徴金として4億8500万円余りを支払うよう命じました。

景品表示法に基づく課徴金は去年4月に導入された制度で、消費者庁が課徴金の支払いを命じるのは今回が初めてです。

また、消費者庁は三菱自動車から軽自動車の供給を受けて、販売を行っていた日産自動車についても、みずから数値を測定したにもかかわらず、その後の対応に課題があったとして、再発防止策を講じるよう命じました。

対象は三菱9車種と日産2車種

消費者庁が今回、景品表示法に違反すると見なしたのは、三菱自動車の9つの車種と、日産自動車の2つの車種についての表示です。

このうち、三菱の4車種と日産の2車種は、去年4月に燃費データの不正が明らかになった軽自動車です。
消費者庁は、カタログなどでの不当な表示は遅くとも去年4月1日以降、4月20日まで続けられたとしていますが、返金が進められているため、27日の時点では課徴金を支払う対象にはなっていないということです。

一方、三菱自動車の残りの5車種は去年8月、国土交通省の検査によって不正が明らかになり、不当な表示は遅くとも4月以降、8月まで続けられていたということです。
消費者庁は、これらの5車種について、課徴金を科すことを決め、三菱自動車に対して、4億8000万円余りを支払うよう命じました。

三菱自動車「信頼回復に努める」

消費者庁から課徴金の支払いを命じられたことについて、三菱自動車工業は「内容を精査のうえ、適切に対応してまいります。燃費不正問題の再発防止策につきましては、国土交通省に報告済みの全項目を着実に実行しており、引き続き、信頼回復に努めてまいります」などとするコメントを出しました。

また、再発防止策を講じるよう命じられた日産自動車は「本件は三菱自動車の燃費不正が原因であり、当社の販売車両についても結果として燃費の誤表示を招いたことは誠に遺憾だ。対応については今後、消費者庁と協議させていただきたい」とコメントしています。

課徴金制度 食材偽装表示を機に開始

景品表示法に違反する、不当な表示を行った事業者に課徴金の支払いを命じる制度は、平成25年に全国のホテルや、デパートで相次いだ食材の虚偽表示の問題を受けて始まりました。

食材の虚偽表示の問題では、景品表示法に基づいて処分や指導が行われましたが、最も重くて再発防止の命令止まりで、取締りの実効性が疑問視されていました。

このため、景品表示法が改正され、去年4月からは違反した事業者に対して、行政罰の1つである課徴金の支払いを命じることができるようになりました。

新たな制度では、不当な表示を行って商品やサービスを提供した場合、消費者庁は、事業者に売上額の3%を納めさせることができます。

課徴金の対象となるのは、3年間で5000万円以上の売上げがあった商品やサービスで、事業者が消費者に返金を行った場合は、その分が課徴金から差し引かれます。