クラウドファンディングで映画製作 問い合わせ増

クラウドファンディングで映画製作 問い合わせ増
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インターネットを通じて多くの人たちから小口での資金を集める、クラウドファンディングを利用して製作された映画がヒットしていることを受けて、クラウドファンディングのサイトを運営する会社には、映画製作を目指す人たちからの問い合わせが多く寄せられています。
去年11月の公開開始から、観客動員数が110万人を超え、ヒットが続いている日本のアニメーション映画「この世界の片隅に」は、製作資金の一部をクラウドファンディングで調達したことでも話題になっています。

これを受けて今、クラウドファンディングで資金を集めて映画を製作したいという人が増えています。
東京港区のクラウドファンディングのサイトを運営する会社には、24日も新人の映画監督とプロデューサーが相談に訪れ、シングルマザーをテーマにした映画の製作を目指していることを説明したうえで、資金を集めるための具体的な方法について尋ねていました。

この会社は6年前に立ち上げられ、クラウドファンディングのサイトに掲載された映画製作に関するプロジェクトは500件以上に上り、合わせて5億円以上の資金が集まったということです。

大高健志社長は「クラウドファンディングを使うことで、資金調達とともにその映画を見たいという強い思いを持ったファンも獲得することができる。さまざまなジャンルの映画製作が可能になることで、映画文化を広げていきたい」と話していました。

この世界の片隅に 当初は資金調達難航

「この世界の片隅に」のプロデューサーの真木太郎さんによりますと、この映画は「アニメであるのに日常を淡々と描く内容で、ファンタジー性に欠ける」などとスポンサーから指摘され、当初、製作資金の調達が難航したということです。

そこで、おととし3月、クラウドファンディングを利用し、2000万円を目標に募集を始めたところ、わずか8日間で目標に達し、最終的には2か月余りの間に3374人から3900万円以上が集まりました。

真木さんは、その早さに驚くとともに、出資者から直接、「こういう映画が見たかった」、「早くこの映画を完成させて世に出してください」などの意見が届き、映画のヒットを確信したということです。

そして、出資した人たちがインターネットやソーシャルメディアなどに直接メッセージを寄せたことで、口コミで人気が広がり、大口スポンサーから出資を受けられるようになったり、映画館側から上映の依頼が来るようになったりしたということです。

「出資者と一緒に作った市民映画のようなもの」 

「この世界の片隅に」のプロデューサーの真木太郎さんは、「クラウドファンディングによる映画製作は、出資者の映画への熱意をじかで感じることができ、製作するクリエーターも大いに鼓舞される。客からこういう映画を作っていいと言われているようで、自信を持って製作できる。出資者を裏切ってはいけないと、ふだん以上にプレッシャーを感じながら、出資者と一緒に作った、いわば市民映画のようなものだ。この動きが広がって、これまで作れなかったようなさまざまなジャンルの映画がたくさん生まれて来てほしい」と話していました。