文部科学省は23日、学校が「いじめはなくなった」と判断した後に被害者が自殺するなど、児童生徒間でいじめが続いている事例が後を絶たないことを受け、「(加害)行為がやんでいる状態が3カ月継続し、被害者が心身の苦痛を感じていないこと」などを「いじめ解消」の定義とする方針を初めて公表した。
同省は2013年に策定したいじめ防止の基本方針の見直しを進めており、有識者でつくる「いじめ防止対策協議会」の同日の会合で、定義化を盛り込んだ改定案を示した。
文科省によると、昨年8月に青森市の中2女子生徒がいじめを苦に自殺したケースでは、自殺の2カ月前に被害者が担任にいじめを相談。学校側は加害生徒らに注意し、その時点でいじめは解消したと判断していたが、実際にはその後も悪口や無視などのいじめが続いていたとされる。
文科省生徒指導室の松林高樹室長は「早急に解消したと判断せず、見守りを続けていれば最悪の事態を防げたかもしれない」としている。
改定案では、加害者に指導したり、加害者が被害者に謝罪したりしたことでいじめが解消したと判断するのではなく、注意深く見守りを続け、被害者や保護者への面談も続けるべきだとした。
23日の協議会では、いじめ解消の定義を設けることに異論はなかったが、3カ月という期間については「3カ月経過したら学校は対応しなくていいと誤解されかねない」などの反対意見もあり、協議を続けることになった。
=2017/01/24付 西日本新聞朝刊=
西日本新聞社
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