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キンコン西野「絵本無料公開」騒動 文句を言うのではなく、対価を取れるクリエーターになれ

AbemaTIMES 1/20(金) 19:21配信

 お笑いコンビ・キングコングの西野亮廣が33人のイラストレーター・クリエーターとともに作った絵本『えんとつ町のプペル』が、19日に全ページ無料公開された。西野のブログによると、小学生から自分のお金では買えないといった声を聞いたことも理由だという。さらに、こうも述べている。

 〈『お金』にペースを握られていることが当たり前になっていることに猛烈な気持ち悪さを覚えました。

 「お金が無い人には見せませーん」ってナンダ?
 糞ダセー。

 ……いや、モノによっては、そういうモノがあってもいいのかもしれません(←ここ大事!ニュースになると切り取られる部分ね)。〉

 最後には〈…てなワケで俺は無料にするけど、その代わり他のクリエイターに「西野はタダにしたんだからおまえもしろ」なんて絶対言っちゃダメよ。〉と西野は書き、多方面への配慮を示している。

 『えんとつ町のプペル』は、2000円+税だが、今回のネットでの公開はまさに「価格破壊」であり、こうした件が発生した時に沸き立つのがクリエイティブ界隈である。今回ツイッターでも西野の今回の判断に異議の声もあがっている。ツイッターのまとめサイト・togetterでは『キンコン西野が絵本を無料公開したことに対するクリエイターの意見』『キンコン西野氏の「金の奴隷解放宣言」の孕む問題点』などのまとめができており、クリエーターの意見を多数知ることができる。

 批判的な意見は大別すると

 【1】23万部も売れているわけで、2000円を払って買った人の気持ちを考えろ
 【2】無料化は、やなせたかし氏や西野のような売れっ子にはできるが、普通のクリエーターへの正当な対価が支払われなくなる風潮を生み出すのでは
 【3】カネをもらって創作活動をすることを「金の奴隷」扱いされるのは不本意、といった点にあるだろう。

 同様のことは、かつて『ブラックジャックによろしく』の佐藤秀峰氏が同作の著作権フリー化宣言をした時に発生した。そして、もっと言うとネットでニュースを読むようになった頃から同様の意見は出ていたのだ。

 1990年代後半、新聞や通信社の記事をネットで読めるようになった時に「タダで読めるのは問題あるのでは……」という意見が出ては革新派が「欧米ではタダが当たり前」と言い、「本業がまだ売り上げちゃんとあるからまぁ、いいか……」とゴニョゴニョとしていたところで、いつしかネット全盛時代がやってきた。

 その後、雑誌のコンテンツもネットで無料で読めるようになってきたが、その際も「紙が売れなくなる」という懸念はあったものの、各出版社が導き出した結論は「世の中には情報にカネを出す層となんとしても出さない層がいる。棲み分けはできている」というものだった。なんとなくなし崩し的に無料でコンテンツが読める時代になり、多くの企業が「このままでいいのかしら……」と悩みつつも、世の趨勢がそうなっているから、とにかく走り続けている。

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最終更新:1/20(金) 19:21

AbemaTIMES