外国人観光客を国立公園に 環境省が整備計画

外国人観光客を国立公園に 環境省が整備計画
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国立公園に外国人観光客をさらに呼び込み、地域経済活性化につなげようと、環境省は去年、モデル地区に選定した全国8か所の国立公園の新たな整備計画をまとめ、24日に発表しました。
政府は東京オリンピック・パラリンピックが開かれる2020年に、国立公園を訪れる外国人を今の倍以上の1000万人に増やす目標を掲げています。

これを受けて環境省は、全国の国立公園の中から去年、外国人誘致のモデル地区として選んだ8か所について、新たな整備計画をまとめ、24日に発表しました。

この中では、北海道の阿寒国立公園内の阿寒湖で、今は立ち入りが制限されている国の特別天然記念物「マリモ」の生息エリアに入れるツアーを実施できるようにするほか、青森県と岩手県、秋田県にまたがる十和田八幡平国立公園では、十和田湖畔にある閉館したホテルや廃屋が景観を邪魔しているとして、国が撤去するとしています。

また、国のビジターセンターや展望台に民間のカフェを誘致したり、海外の富裕層を呼び込むため、高級ホテルなどの誘致に力を入れたりすることも盛り込まれています。

モデル地区となった国立公園にも新たな建物の建設などが厳しく規制されているエリアがありますが、面積にして5分の1程度だということで、環境省は主に規制エリア以外で民間企業の進出を促すなどして、環境保全と地域経済活性化の両立を図りたい考えです。

環境相「魅力発揮には保全が第一」

国立公園の新たな整備計画について、山本環境大臣は24日の閣議後の記者会見で、「環境破壊をしてまで観光客に来てもらうのは本末転倒で、国立公園たる魅力を発揮するためには保全が第一だ」と述べ、民間業者の参入や開発で自然が損なわれないよう、それぞれの地域の関係者が話し合ったうえで計画を慎重に進めていくことが重要だという考えを示しました。

自然を守りながら整備実施

モデル地区となった国立公園8か所の新たな整備計画について、環境省は、それぞれの特色を生かした観光戦略を盛り込んだとしています。

北海道の阿寒国立公園では、阿寒湖で、今は立ち入りが制限されている国の特別天然記念物「マリモ」の生息エリアに入れるツアーを実施できるようにするとしています。

青森県と岩手県、秋田県にまたがる十和田八幡平国立公園では、十和田湖畔にある閉館したホテルや廃屋が景観を邪魔しているとして国が撤去するとしています。

栃木県と群馬県、福島県にまたがる日光国立公園では、東京から近い、高級感あるリゾートをコンセプトに、戦前に各国の大使が別荘として建てた邸宅を公開することを検討しています。

三重県の伊勢志摩国立公園では、英虞湾を見渡すことができる高台の展望台などの国の施設に民間のカフェを誘致することを盛り込んでいます。

鳥取県と島根県、それに岡山県にまたがる大山隠岐国立公園では、自然を気軽に楽しんでもらおうと国や県の施設で、登山道具を貸し出すことや、登山や自然観察などのツアーデスクを設ける計画です。

熊本県と大分県の阿蘇くじゅう国立公園では、去年の震災でできた地割れや活断層を観光資源として活用し、学習旅行などを誘致するとしています。

宮崎県と鹿児島県の霧島錦江湾国立公園では、桜島の火山と温泉を観光の中心にして、活火山周辺をガイド付きで巡るツアーを開発したり、外国人が使いやすいよう個室の露天風呂を整備する計画です。

沖縄県の慶良間諸島国立公園では、養殖されたサンゴを海に植え付けるサンゴ礁の保全活動に参加できるツアーの開発を行うということです。

各地域では、行政や観光業者、それに自然保護団体などを交えた協議会を立ち上げていて、今後、既存の自然や景観を守りながら整備計画を実施することになります。