2016年におけるビール大手5社の出荷数量が前年を下回るなど、ビール類の売上げ不振が続いています。若者のビール離れなどとよく言われますが、若者がビールを飲まないことが市場縮小の原因なのでしょうか。
ビール・発泡酒・新ジャンルを合計したビール類の出荷は前年比でマイナス2.4%となり、12年連続のマイナスを記録しました。期待されていた新ジャンルもマイナス1.2%と3年連続の減少です。
最大手のアサヒは、新ジャンルの「クリアアサヒ」が前年比11.7%増、発泡酒の「スタイルフリー」が横ばいと健闘しましたが、「スーパードライ」は3.7%減となっており、会社全体ではほぼ横ばいといった状況です。一方、キリンはすべての分野で前年割れとなっており、特に新ジャンルの落ち込みが顕著でした。発泡酒の「淡麗」は6.1%減、新ジャンルの「のどごし」は7.1%減です。
ビールの売上げ不振の原因についてよく耳にするのが、若者のビール離れです。確かに宴会などで「とりあえずビール」という風潮はなくなりましたし、ビールを好まない若者が増えていることは間違いないでしょう。
しかし、酒類全体を見ても販売数量の低下が続いていることを考えると、若者の嗜好の変化だけが原因ではなさそうです。酒類全体の販売数量は、1990年代はほぼ横ばいでしたが、2003年頃から減少傾向が顕著となっています。この時期は、非正規社員の割合が増加するなど、ちょうど日本経済の転換点となっていました。
リーマンショック後は何とか横ばいを維持していましたが、これも新ジャンルなどの開拓によって価格を抑制した結果です。労働者の実質賃金はマイナスが続いており、基本的に消費者の購買力は弱くなる一方であることを考えると、これは構造的な要因が大きそうです。酒類各社は市場環境が厳しい中、無理な販売を強いられてきたと考えるのが自然でしょう。各社はクラフトビールなどに力を入れていますが、消費が弱いという状況では高品質な商品の伸びは限定的といえそうです。
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