13年間広告業界にいて、様々な広告関連事業を営む会社を見てきた経験から、広告会社が潰れる前に起こるであろう8つの予兆を書き出してみたいと思います。
将来、もし自分の会社がヤバくなった時、過去に客観的視点で語った参考資料として。また、外注企業、フリーランス、従業員の方が「知らない間に会社が潰れてて売掛金(給料)取りっぱぐれた!」とならないような参考資料として。
ここに高らかに、書き留めておきたいと思います。
1. 支払いサイトが変更される
資金繰りが大変になってくると外注先への支払いサイト変更がよく起こります。末締めの翌月末払い(1月納品2月末払い)が、急に末締めの翌々末払い(1月納品3月末払い)へ変更になるなどなど。
なお、下請法では支払いサイトに関して、以下のように定義されています。
下請代金の支払期日は,親事業者が下請事業者の給付の内容について検査をするかどうかを問わず,親事業者が下請事業者の給付を受領した日から起算して,60日の期間内において,かつ,できる限り短い期間内において,定められなければならない。
(出所:公正取引委員会ホームページより)
自社や取引先の払いサイトが何の説明もなく急に「60日」と変更になったら、眉をひそめてみて下さい。
2. 社長の移動が電車(バス)になる
社長が節税対策という名の下に会社名義で購入した4ドアベンツの売却を始めたらお金がなくなってきた初期の兆候です。社長がよく銀行に行っていないか、社長がよく社内ではなく社外で電話をしていないかなど注意深く観察を始めて下さい。
3. 従業員のタクシー移動が厳しく制限される
広告業界といえばタクシー移動。一時期は広告マンといえば束でタッ券(タクシー券)を持って夜遊びしたものですが、今では会社公認の接待や深夜に及んだ撮影の帰りくらいしかタッ券が出ないと聞きます。それをも超え「タッ券禁止、会食も撮影も終電まで、できなかったら自腹!」と声高に叫ばれ始めたら、いくつかの転職サイトでID発行をはじめても良いかもしれません。
4. 会社のティッシュがポケットティッシュになる
「その削減どれだけ意味ある?」という所まで手を出し始めたら怪しい兆候です。その他、コピー用紙が小学校以来見たことなかったワラ半紙になったり、お茶がペットボトルから水出しに変更になったりし始めたら、「失業手当」というキーワードをググり始めても良いと思います。
5. 給与の支払いが遅れる
「経費削減」「社長の報酬カット」で賄えなくなってきたら、いよいよ従業員の給与に手がつけられます。「とりあえず10万円、あとは払える時」などという意味不明な支払い手法になるというケースもあります。社長から「財布忘れてさ、のり弁買いたいから500円貸して」と言われても絶対に貸してはいけません。
6. 「根性」とか「気合い」とかいう言葉が多用されはじめる
人間本当に切羽詰まった時頼れるのは「根性」と「気合い」です。会社を上向かせる有効な施策が尽きたら人間根拠のない精神論に落ち着きます。「根性で3日で納品しろ」「気合いで1億のアカウント取ってこい」と、上司がシュプレヒコールを上げ始めたらバイト情報誌「an」を立ち読みしても誰もあなたを責めないでしょう。
7. 経理が辞める
社長の次に会社の内情を把握しているのは経理と言っていいと思います。その経理が「次のステップに進もうと思って」「自分の夢にもう一度挑戦しようと思って」などと白々しい理由で会社を去ったとしたら要注意。綾野剛とスーツ姿のまま海を泳ぐ覚悟を決めた方が良いかもしれません。
8. 社長が玄関に塩を盛り出す
精神論が尽きて、もう何も頼めるものがなくなった時登場するのが神様です。今まで「幽霊なんているわけないじゃん」「自慢じゃないけど俺、初詣行ったことないんだよ寒いし」などと言っていた社長が急に玄関に塩を盛り始めたら末期も末期、末期症状です。今すぐ、「あ、そうだ! おれ、京都で人力車を引くのが夢でした」と言って会社を立ち去って下さい。
以上、ポケットティッシュからベンツ売却まで。広告会社が潰れる時に起こる8つの予兆についてまとめてみました。
【こんなのも書きました】
▶ 勘違いして4年で電通から独立したらエラい目にあった、俺死ね!
「思いつかない人のコンテンツ思考塾」やってます
著書『思考のスイッチ ~人生を切り替える11の公式~』もよろしくお願いします