あまり知られていないが、クレヨンしんちゃんほど当たり外れが激しい映画シリーズはない!
敢えて言おう!!
長く続いているアニメ映画のシリーズの中で一番面白いのもクレヨンしんちゃんだが…一番つまらなくて見るに耐えないのもクレヨンしんちゃんだと!!
そこで、敢えて「つまらないクレヨンしんちゃん」について紹介することにした。
いや、「つまらない」んだけど…つまんない中にも「時代の先を行ってるチャレンジ精神」が光っている作品が多いからこそ、知られていない・ファンも語らないぐらいの映画に触れてみたくなった。
注意書き
・このランキングはつまらない順に発表。
・別途、ベスト10を作るので、ギリギリベスト10に入らなかった11位まで。
・ワースト作品はともかく、15〜11位の作品は意欲作・挑戦的な作品が多いため、我こそはオタクだ・クレしんファンだと言うならぜひとも挑戦すべし。
24位 歌うケツだけ爆弾
・あらすじ
「ケツだけ星人」という宇宙人が使っている爆弾がシロのお尻に設置・固定されてしまう。
そのため、宇宙からの特殊な爆弾を取り除く組織と、爆弾を狙うテロリスト集団に追いかけられることに…。
爆弾を取り除く組織はシロを爆弾ごと宇宙に飛ばしてしまおうと画策し、野原家と交渉するがしんのすけだけは大反対してしまう。
野原家全員をわがままなサイコ集団として描いてしまった作品
この映画の評価が低い理由は2つ。
まず、主題歌を歌ったAKB48のメンバーを強引に声優として登場させるために「ビジュアルが宝塚風のテロリスト集団」がストーリー上必要のないキャラクターを作ってしまったこと。
「ギャグ・お色気要因」として彩りを添える目的で登場しているが、ストーリー上全くいらない薄っぺらい人達。
ストーリーはストーリーで別のキャラが担っているため、「真面目にやってるのに、根っこの部分に笑えるところを持ってる」クレヨンしんちゃんらしいゲストキャラが出てこないから、魅力もわかりやすさもないひどい映画になってしまった。
もう1つは、野原一家が悪役みたいになってしまっていること。
「シロを宇宙に飛ばしてしまおう」という冷徹な組織ではあるものの、爆弾を取り除く組織の人達は人知れず実行しようとしたり、最大限譲歩したり…大人の対応をしている人達が悪役。
逆に5歳児のわがままを家族でゴリ押しする野原一家。
この対立構造のまま映画が進行していくため、野原一家を応援するどころか、
「野原一家ファイヤー!!」
といういつものノリをちっとも楽しめなかった。
「公共の福祉」とか、マイケル・サンデルの「正義の話」を知らない子どもが見る分には、「あんな簡単に仕事として正しい手続きを踏もうとしてる人を邪魔していいの?」とか思わないのかもしれない。
でも、大人になっても泣けるぐらいいい映画をたくさん作ってるクレヨンしんちゃんとして「子ども騙しでいいや」という姿勢が見ててがっかりした。
23位 金矛の勇者
・あらすじ
しんちゃんが金の矛、銀の盾を持つことで勇者として、暗黒世界の帝王と戦うお話。
ヘンダーランド2をやろうとして失敗した感じの映画
やろうとしている方向性だけを見ればすごく面白い作品…のはず。
ただ、
・面白い、記憶に残るギャグが少ない
・テンポが遅すぎる(尺の7割はスロー)
・野原一家もかすかべ防衛隊も蚊帳の外
・初期クレしん映画らしいホラー演出がやり過ぎて、大人向けに…
・クレしん特有のダサさ・くだらなさが悪い方に出てしまう(CG、金の矛・盾がとにかくダサい)
と、イマイチまとめきれていない作品。
それもそのはず!
ただ、12年ぶりの監督ゆえ「初期クレしんの良さ」と「クレしんとしてまとめきるだけのカンが取り戻せていないグズグズ感」が同居してる。
ちなみに、個人的なツボは「ボクっ娘で胸の小さい女の子:マタ」を堀江由衣さんが演じているところ。(ちなみに、胸の大きさがストーリーにも影響してきます)
ちなみに、ここ最近の堀江由衣さんの代表作は…化物語シリーズの羽川翼。
特に、2016〜2017年にかけて映画3部作として上映された「傷物語」では、彼女のデザインをテレビ版よりもさらに女性的に手直しされて、こうなっている。
『傷物語』神谷浩史さんが語る、絶対羽川が好きになっちゃう話 | アニメイトタイムズ
2016年の年末にクレヨンしんちゃんを見た直後に、年始に傷物語を見て声優さんが同じだと知った時に、面白い偶然だったので触れることにした。
ちなみに、傷物語の原作がこの映画と同じ2008年…それも1ヶ月違いで発売されたという事実も、個人的にはツボ。
すごくオタク的な楽しみ方だけどね…。
22位 オラと宇宙のプリンセス
・あらすじ
ひまわりと喧嘩になったしんのすけ。
すると、本当にひまわりが王女様として異星人に引き取られてしまう。
ひまわりは幸せそうだし、野原一家も決して悪い待遇にはされていない。
「ほとんど一方的な契約がきっかけで、ひまわりと会えなくなってしまったこと」
「異星人の方が進んでいて、なおかつ独自の理屈で物事を決めているから話が全く噛み合わないし、取り合ってももらえない」
こと以外は…。
なんでこれを上映しようと思ったのかが、もうわからない…。
プロット(大筋)からして面白くなりようがないこと・クレヨンしんちゃんでやるべきではないことが僕でもわかるぐらいに酷い作品。
クレヨンしんちゃん的なメルヘンではなく、もっと児童書とか女児アニメ(「おジャ魔女どれみ」とかあっち系)っぽい感じのメルヘン。
クレしんらしいメルヘンは「威圧的なのに根本的にはシュール」なんだけど、シュールさがなくて…子ども騙し。
シュールさがなくて、ただただ「大人が勝手に考えた健全な子ども向け」を押し売りした結果できあがるようなメルヘン。
それがたまらなく辛かった。
ちなみに、脚本家の「こぐれ京」さんは小中学生向けの児童書である角川つばさ文庫の作家さん。
物語以外でもなんでも手がけてる総合的なライターさんでもあるものの、直近でのメインの活動は角川つばさ文庫。
21位 カスカベ野生王国
・あらすじ
「飲むと動物になる薬」しんのすけが拾ってきて、ひろし・みさえが飲んでしまい動物の姿に。
その薬は人類動物化計画を目論むやつらがこれからばらまこうとしている薬だった。
計画を少し早く知ってしまった野原一家とカスカベ防衛隊はその野望を阻止することに…。
普遍的な面白さが置き去りになってしまったクレしん
環境保全だ、エコだとうるさくなっていく時代を生きてきた人には面白いのかもしれないが…昔ほどうるさく言われなくなってしまったことで、今見ると
「時代錯誤だ…」
と感じてしまう作品。
80年代の映画の世界に「ラジカセを担いだ人」が出てくることがある。
これはオーディオが…CDになり、MDになり、パソコンやスマホへと移行していく世代の人達には「こんなの担いだ奴本当にいたのか!?」と言いたくなる不思議な人達だ。(35・40の人達は本当に見たことあるらしいけど、30以下にはほとんど都市伝説)
エコ活動がブームした時代を知らない人には何をしてるかさえわからないような設定やキャラクターが横行しててすごくわかりにくい。
当時を知る世代にも、公開から7年で錆びついた印象のある作品。
しかも、ストーリーが脆弱。
敵が弱すぎてかっこ悪く、終わり方もグズグズ。
おまけに、環境問題を取り扱ってるのに、環境に良くない生活してる奴の方が圧倒的に強くてカッコいい。
悪役が悪に走った動機があまりにも子どもっぽい。
環境問題ブームの時に見たらもっと面白かったのかもしれないけど…残念。
20位 オラの引越し物語〜サボテン大襲来〜
・あらすじ
ひろしの仕事で、野原一家がメキシコに引越すことに。
その仕事は「甘い汁がとれる新種のサボテンの実を日本に輸入する」というもの。
ところが、新種のサボテンが人をも飲み込むキラーサボテンだった!!
ひろしやみさえは街から避難することを提案するも、市長はサボテン退治も街から逃げることも渋る。
早い段階で展開が見えてしまうのが映画として…
子どもが見る分には展開の先読みも、時事ネタを重ねて見ることもないからイラッと来ることは少ないのかもしれない。
ただ、大人が見ると「市長」の存在で展開が読めすぎてしまう上に、政治的にダメなリーダーの隠蔽工作を思い出されるため、作品上邪魔なキャラでしかなかった。
それこそ、「直ちに人体に影響はない」と言って被害の深刻さを認めない震災時の国家をキャラクターに落とし込んだような人だから…そういう人がさんざん被害を出した後で改心して、サボテンと戦い始めても
「実際には、こういう人物を許すことができないんだろうなぁ…」
と、映画に対して子ども騙し感を覚えてしまった。
別に、「映画で社会や戦争を描いてはいけない」とは思わない。
しかし、それらを風刺した人物を登場させることで「映画の展開が読めてしまう」「映画だから許せる人物が出てくることで、お話全体が生臭くなるor絵空事に見えてしまう」のは悲しくなるのよねぇ…。
逆に、実話や実在する事件を演出として活かす事もできるけど…クレヨンしんちゃんで「環境問題」とか「事件に真面目に対処しない政治家」といった実際にあったことを扱うと、映画として面白くならない可能性のほうが高い。
19位 黄金のスパイ大作戦
・あらすじ
某国の本物のスパイ少女「レモン」が、盗み出すための大事な鍵をしんのすけが持っていることをしって、しんのすけをスパイに育て上げる。
しんのすけ当人は遊んでいるつもりだったのだが、大真面目に外国でスパイとしてある物を盗むことに…。
脚本家のカラーがむき出しすぎてクレしん以外の何かに…。
しんちゃんが好きな人が見るよりもむしろ、逆に小中学生の女の子が見た方が面白いかも…。
しんちゃんメインというよりも…ゲストキャラである「レモン」ちゃんの反抗期が主軸に描かれた作品になっているのよねぇ…。
それもそのはず。
脚本が「こぐれ京」。
児童書の作家さんだから…女の子の小中学生向けに言っちゃうのもわからなくはないんだよなぁ…。
クレヨンしんちゃんに女の子の反抗期を描いた作品は…正直言って、いらない。
いや、あってもいいのかもしれないけど…それで本編がつまんなくなるなら「ちゃんと男性向けの作家に脚本させろよ!!」という怒りに様変わりする。
細かいネタバレはできないけど…ご都合主義が酷い。
途中までの設定が急に変な形で転用・悪用されたり、
しんちゃんでお決まりの描写・根幹に関わる部分が守られてなかったり…
それで新しいもの積み上げられても
「俺はクレしんが見たいんだ!!他所でやってくれ」
という気分にしかなれないよ…。
18位 踊れ!アミーゴ!
・あらすじ
「そっくりな偽物が出没し、本物が消えてしまう」
という都市伝説が、かすかべの中で流行する。
その偽物はサンバの音楽がかかると踊り出すのだという…。
前半は傑作!!ただ、オチがすげー弱い。
初期のクレヨンしんちゃんを彷彿させる「ゆったりとしたホラー」が心地よい。
前半のホラー調のテンポ・パニック映画調の怖さとアクションシーン。
ただ後半のオチが…グズグズ。
前半の本当に大人が見ても怖いぐらいの演出から見ると見劣りしてしまう弱々しいオチに見る気が失せてしまうのがどうにも…。
17位 伝説を呼ぶブリブリ3分ポッキリ大進撃
・あらすじ
「3分だけパラレルワールドに飛んでヒーローになれる」という能力を野原家全員が手にする代わり、代わりにパラレルワールドに現れる怪獣を倒さないといけない…ということになってしまう。
色々と時代を先取りしすぎ!!
ここ最近の深夜アニメに出てきそうな設定を詰めあわせたような作品。
実際、05年で魔法少女まどか☆マギカに出てくるような設定や世界観を先取りしているのはすごい!!
ただ、映画として淡々としているというか、どんよりと怖い。
しかも、怖い方向が子どもには説明しづらく大人が見ると生々しい。
いい意味でも悪い意味でもオタク向け。
オタクじゃないとわからないギャグや設定が多すぎる上に、同じような流れが淡々としてるからオタクかどうかで楽しめるかどうかが変わってくる。
ゴールデンタイムのアニメはオタクじゃなくても楽しめるところがいいんだけど…それがなくなってしまっているのが辛い…。
16位 ブリブリ王国の秘宝
・あらすじ
野原家にブリブリ王国の旅行券が当たる。
しかし、それはブリブリ王国の秘宝を狙うホワイトスネイク団の罠だった。
いい意味で安定したクレしん。
ゲストヒロインがかわいく、アクションシーンにキレがあって、オチもくだらなくて、オマージュネタもきちっとしていて…。
安定したクレヨンしんちゃん。
突出して泣けたり、新しいものが見えたりするわけじゃないから順位は低めだけど、上位のクレヨンしんちゃんを見た後でも安心して見られる。
クレヨンしんちゃんファンが見たいしんちゃんとはこういうことなんだよ。
15位 バカうまっ!B級グルメサバイバル!!
・あらすじ
かすかべで「B級グルメカーニバル」が開催される。
だが、そのB級グルメの会場をA級グルメ機構が乗っ取ってしまう。
カーニバルの看板である「ソースのケン」の焼きそばを食べにかすかべ防衛隊の5人が焼きそばを食べに行こうとするが…「ケン」の恋人の紅子から秘伝のソースを預かって、ケンに届ける約束をしてしまったことで、A級グルメ機構に追いかけられる羽目に…。
ギャグも題材もいい。でも、悪役に魅力が足りない
ヤキニクロードや、暗黒タマタマのような「ギャグがキレキレのクレヨンしんちゃん」が好きな人にはおすすめの作品。
…ただ、ストーリー重視でクレヨンしんちゃんを楽しみたい人にはちょっと物足りない。
悪役が全般的に弱すぎることと、言ってることにちっとも共感できない(本人でさえ疑いを持ってるからなおさら説得力がない)ことがしばしば…。
大人の男が見る分には同情が湧く・共感できる部分のある悪役ではある。
ただ、子どもや一緒に見に来たお母さんにはただただ悪役が女々しく映ることを考えたら、この映画を楽しむのは難しい気がする…。
14位 爆発!温泉わくわく大決戦
・あらすじ
野原家の家の下に「金の魂の湯」が出ることがわかり、温泉Gメンに協力を要請され、野原家の下を掘ることになる。
その間、秘密組織「温泉Gメン」の施設で過ごすことになるが、温泉Gメンの秘密をあばかんとする秘密組織「YUZAME」に狙われてしまう。
ネタ特化クレしん。ただし、ものすごくくだらない!!
ギャグとオマージュに特化したクレヨンしんちゃん。
テレビで見ているクレヨンしんちゃんの良さそのままに、劇場版の予算で怪獣映画のオマージュをしただけの作品。
それ以上でもそれ以下でもないため、オトナ帝国やあっぱれ戦国に感動して「映画版クレヨンしんちゃんは泣ける」とか思ってみると逆に痛い目を見る作品。
ちなみに、ゴジラのBGMそのままかかってるシーンがあったり、エヴァンゲリオンや巨神兵をオマージュしたようなよくわかんない巨大なロボットが出てきたりするか。
そのため、ロボット大好きな人にはたまらない映画。(そのため、クレしんランキングを作る人はこの映画を上位に据える人が多い)
13位 嵐を呼ぶオラの花嫁
・あらすじ
しんのすけを含めたかすかべ防衛隊と一緒に、未来のしんのすけを救うために未来の世界へ…。
要所は抑えてるけど…細部で不満。
「信念を持って作られたんだろうなぁ…」
と、クレヨンしんちゃんファンが見れば、よく勉強して作られていること・愛を感じる作品であることは間違いない。
例えば、映画の中では他の登場人物の未来も出てくるのだが…しんのすけの未来の顔だけは最後まで明かされない。
また、ぼーちゃんとしんのすけの関係が未来の世界でも「お互いの良き理解者」という立ち位置が変わってないところに感動を覚えた。
これは、クレヨンしんちゃんのテレビ版はもちろん、過去の映画でもしんちゃんが本気で恋をした時に「惚れたな」と、恋をしたしんちゃんを見透かすシーンがある。
僕はあのシーンが大好きなんだよ…。
しんちゃんが女の子にオープンスケベに見えて、実は本気で惚れた女の子にはすげいシャイなことをキチッと理解できてる同年代がぼーちゃんだけってところがおれはすげー好きな。
5歳児なのに、あの二人だけは「男同士の関係性」を持ってる部分をキチッと描いてくれている(過去の映画やテレビ版の良設定を引き継いでくれてた)のがすげー嬉しい。
それもそうだろう。
脚本家は横手美智子。
キャリア25年のベテランにして、最近だとSHIROBAKOやおそ松さんなどに参加している。(深夜アニメが好きな人で、特に女性向け作品でこの人の名前があったら、安心して見られるような脚本家。)
ただ…「うまく作りすぎた」ことが、この作品の好き嫌いを分けてしまってる。
終盤に過剰にハッピーエンドを煽り過ぎたり、説明口調なセリフが増えてグズグズしたり、未来のしんちゃんを爽やかイケメンとして描きすぎたり…題材も好きなシーンも多い作品だけど「もう一声」という作品だった。
ちなみに、僕のお気に入りは未来のシロ。これはかわいい!!
12位 雲黒斎の野望
・あらすじ
30世紀から来たタイムパトロールが、シロを経由して喋りかけてきた。
そのタイムパトロールに協力して、戦国時代に行き、歴史を変えようとしている奴らをやっつけて人類の危機を救うことに…。
安心して見られるクレしんの良作。
クレヨンしんちゃんの映画が24作品もあるから、ワーストランキングに甘んじているけど、文句のつけようがないほどの名作の1つ。
アクションあり、どんでん返しあり、ファンタジーあり…申し分ない映画。
ただ…クレヨンしんちゃんを見る以上はわかりやすいギャグや印象に残るようなくだらなさを期待してしまうため、歴代のクレヨンしんちゃんの中では「シリアスでギャグ要素・家族要素が少なめで、クレヨンしんちゃんという題材で普通に良い映画を作ってしまった作品」であるため、今のクレヨンしんちゃんファンが見ると、評価もしづらく、印象にも残りにくい作品ではあるかも…。
人に好きと言って伝わりにくけど、自宅にDVDがあれば、ずっとかけていたいタイプの
評価が難しい作品。
11位 爆睡!ユメミーワールド大突撃
・あらすじ
野原一家全員が楽しい夢を見ていると、その夢を食べられてしまう…という夢を見た。
その日から、見たい夢を見られる「ユメミーワールド」へ行けるようになるが、徐々に悪夢ばかり見るようになってしまう…。
荒削りながら斬新な意欲作
僕の中で一番扱いの困った映画がこれ。
世間的にはクレヨンしんちゃんらしいギャグやメルヘンチックな世界、子ども時代の可能性を描いている作品であるため、すごく評判がいい。
ただ、その一方で、深夜アニメで扱われるテーマに傾いていったり、昔のクレヨンしんちゃんだったら絶対に言わないことをみさえが言い出した時に「こんなに説教臭いアニメを上位にしたら、明日からクレしんファンを名乗れないのでは?」とも思った。
そのため、クレしんを愛して15年以上の古参のファンは野原みさえが
「好きで嫌われ役やってんじゃないわよ!」
と、作中で嫌われ役を家族で意図的に引き受けていたことを公言するクレヨンしんちゃんがありか、なしかをよくお考えの上、見に行くことをオススメする。
93年に上映した「ハイグレ魔王」の中では、むしろみさえが夏休みに子どもが幼稚園に行かないことをめんどくさがる描写さえあるクレヨンしんちゃんが、理想の母親像みたいに取り上げられるようになっていることをありか、なしかをお考えの上、見に行った方がいい。
そこが僕はダメだった。
むしろ、不器用に子どもにぶつかっていくみさえに自分の母親の苦労と不器用さと間抜けさを重ねあわせて「日本のお母さんは大変だ。みんなができることじゃないからこそ、大変なんだ。」と頭がさがる思いで見ていた僕にとっては、みさえを器用な親・計算してやってる親としてのセリフが決め台詞で出てくるところに「コレジャナイ感」を覚えてダメだった。
他にも悪役もまた父親であったため、家庭の教育方針や子どもの接し方がぶつかり合うような形になってしまって、気軽な娯楽として楽しめなかったところが僕の中ではもやもやした。
クレヨンしんちゃんとして描かれなかったら僕は好きな映画。
深夜アニメまたはOVAとしてこういう作品があったら、すごく楽しく観るであろうテーマ・内容。
ただ、クレヨンしんちゃんという題材だったから「寿司にタルタルソースってありかな?なしかな?」みたいな悩みが僕の中で引っかかって、結局この順位にしました。
心の中で大事にしているクレヨンしんちゃん像があるかどうか…。
25年やってるアニメであり、またお気に入りがガッツリと決まってるからこそ、「面白いだけじゃ納得できない気持ち」が働いてしまうのです。
・追伸
来週をめどにベスト10も作ります。でき次第リンクも貼ります。