GPS使った捜査 千葉県警が裁判所の令状取り実施
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容疑者の車などに、裁判所の令状を取らずにGPS端末を取り付ける、警察の捜査が違法かどうかをめぐり、最高裁判所が審理を進める中、千葉県警察本部が初めて令状を取り捜査を行ったことが、捜査関係者への取材でわかりました。警察庁は個別の事案についてのコメントは差し控えるとしたうえで、「立証に万全を期すうえでの1つの手段だと考えている」としています。
容疑者の車などに裁判所の令状を取らずに、GPS端末を取り付けて行動を把握する、警察の捜査手法をめぐっては、違法かどうかを争う裁判が全国で相次いでいます。
各地の判決では、「任意捜査の範囲内だ」とする判断と、「プライバシー侵害の危険があり、令状が必要な強制捜査に当たる」などとする判断に分かれていて、最高裁判所は15人の裁判官全員による大法廷で審理を進めています。
こうした中、去年、千葉県警察本部が、自動車盗の事件の捜査で、全国で初めて裁判所の令状を取り、事件に関わっていると見られる人物が使っていた車にGPS端末を取り付けて捜査を行ったことが、捜査関係者への取材でわかりました。
令状を申請する際、千葉県警は、捜査に一定の見通しがついた段階で、本人に対してGPS端末の使用を伝えることや、端末を取り付ける際、私有地に無断で立ち入らないなど、第三者の権利を侵害しないことを条件に申請し、令状を取ったということです。
捜査関係者によりますと、同様の事件の裁判で令状を取らなかったことを違法だとして、証拠として採用しなかったケースもあったことから、捜査が適正に行われていることを示す目的があるほか、容疑者側が不服を申し立てる機会を確保する狙いなどもあるということです。
警察庁は「個別の事案についてのコメントは差し控えるが、GPS端末を使った捜査は尾行の補助手段で令状がいらない任意の捜査だという立場に変わりはなく、令状を取ることは立証に万全を期すうえでの1つの手段だと考えている」としています。
各地の判決では、「任意捜査の範囲内だ」とする判断と、「プライバシー侵害の危険があり、令状が必要な強制捜査に当たる」などとする判断に分かれていて、最高裁判所は15人の裁判官全員による大法廷で審理を進めています。
こうした中、去年、千葉県警察本部が、自動車盗の事件の捜査で、全国で初めて裁判所の令状を取り、事件に関わっていると見られる人物が使っていた車にGPS端末を取り付けて捜査を行ったことが、捜査関係者への取材でわかりました。
令状を申請する際、千葉県警は、捜査に一定の見通しがついた段階で、本人に対してGPS端末の使用を伝えることや、端末を取り付ける際、私有地に無断で立ち入らないなど、第三者の権利を侵害しないことを条件に申請し、令状を取ったということです。
捜査関係者によりますと、同様の事件の裁判で令状を取らなかったことを違法だとして、証拠として採用しなかったケースもあったことから、捜査が適正に行われていることを示す目的があるほか、容疑者側が不服を申し立てる機会を確保する狙いなどもあるということです。
警察庁は「個別の事案についてのコメントは差し控えるが、GPS端末を使った捜査は尾行の補助手段で令状がいらない任意の捜査だという立場に変わりはなく、令状を取ることは立証に万全を期すうえでの1つの手段だと考えている」としています。
運用要領 「尾行困難で特に必要がある場合」
警察庁によりますと、GPS端末を使った捜査は尾行の補助的な手段という位置づけで、警察庁は平成18年、裁判所の令状がいらない任意の捜査だとしたうえで、捜査員の尾行が困難で、捜査上特に必要がある場合に使うことができるとした運用の要領を、全国の警察に通知しています。
また要領では、GPS端末を使った捜査を行う場合には、事前に捜査を担当する警察本部の課長の承認を得たうえで、捜査員は毎日、運用状況を上司に報告し、必要がなくなった時は直ちにやめるとしています。
捜査関係者によりますと、GPS端末を使った捜査は、一般的に事件に関わっていると見られる人物が使う車などに発信器を取り付け、警察は車の位置情報を基に行動を把握するもので、車で広範囲に移動する場合がある窃盗事件などの捜査で行われているということです。
また要領では、GPS端末を使った捜査を行う場合には、事前に捜査を担当する警察本部の課長の承認を得たうえで、捜査員は毎日、運用状況を上司に報告し、必要がなくなった時は直ちにやめるとしています。
捜査関係者によりますと、GPS端末を使った捜査は、一般的に事件に関わっていると見られる人物が使う車などに発信器を取り付け、警察は車の位置情報を基に行動を把握するもので、車で広範囲に移動する場合がある窃盗事件などの捜査で行われているということです。
令状取らない捜査 裁判所の判断分かれる
裁判所の令状を取らずにGPS端末を車に取り付ける捜査手法をめぐっては、逮捕・起訴されたあとの事件の裁判で、被告や弁護士などが「GPS端末によって24時間行動を監視されるのはプライバシーの侵害に当たり違法だ」などと主張し、争うケースが各地で起きています。
大阪などで起きた窃盗事件の裁判で、おととし、1審の大阪地方裁判所は、警察が捜査の過程で、裁判所の令状を取らずに容疑者の車やオートバイにGPS端末を取り付けて行動を監視していたことをめぐり、「プライバシーを大きく侵害するため、強制捜査に当たり、令状を取らずに行ったのは違法だ」と判断しました。
しかし、2審の大阪高等裁判所は、「過去に強制捜査に当たるという司法判断が示されたり定着したりしていたわけではなく、重大な違法があったとは言えない」という異なる判断を示し、最高裁判所は15人の裁判官全員による大法廷で審理を進めています。
令状なしのGPS捜査をめぐっては、各地の裁判所で判断が分かれていて、去年、広島高裁や福井地裁の判決では「任意捜査の範囲だ」などとして違法ではないという判断が示された一方、名古屋高裁や水戸地裁などでは「プライバシーを侵害する危険性があり、令状が必要な強制捜査に当たる」などとして違法だとする判断が示されていて、最高裁の判断が注目されています。
大阪などで起きた窃盗事件の裁判で、おととし、1審の大阪地方裁判所は、警察が捜査の過程で、裁判所の令状を取らずに容疑者の車やオートバイにGPS端末を取り付けて行動を監視していたことをめぐり、「プライバシーを大きく侵害するため、強制捜査に当たり、令状を取らずに行ったのは違法だ」と判断しました。
しかし、2審の大阪高等裁判所は、「過去に強制捜査に当たるという司法判断が示されたり定着したりしていたわけではなく、重大な違法があったとは言えない」という異なる判断を示し、最高裁判所は15人の裁判官全員による大法廷で審理を進めています。
令状なしのGPS捜査をめぐっては、各地の裁判所で判断が分かれていて、去年、広島高裁や福井地裁の判決では「任意捜査の範囲だ」などとして違法ではないという判断が示された一方、名古屋高裁や水戸地裁などでは「プライバシーを侵害する危険性があり、令状が必要な強制捜査に当たる」などとして違法だとする判断が示されていて、最高裁の判断が注目されています。
専門家「必要最小限が原則」
警察の捜査に詳しい常磐大学の諸澤英道元学長は、「今回令状を取ったのは任意捜査ではあるが、あくまで念のためにという考えだと思う。仮に違法な捜査だと裁判所から指摘されると、判決に影響する可能性が非常に高い。警察としては、任意捜査か強制捜査かの議論がある問題について、令状を取って丁寧に捜査をする姿勢だと考えられ、その点は評価すべきではないか」と話しています。
そのうえで、「GPS端末は一度付けると、取り外すまでおよそ捜査とは関係のない時間帯の情報もたくさん集まる。仮に捜査員が悪意を持って得られた情報を別の目的で使うこともできないわけではない。GPS端末を使った捜査は必要最小限に行うのが原則だ」と指摘しています。
そのうえで、「GPS端末は一度付けると、取り外すまでおよそ捜査とは関係のない時間帯の情報もたくさん集まる。仮に捜査員が悪意を持って得られた情報を別の目的で使うこともできないわけではない。GPS端末を使った捜査は必要最小限に行うのが原則だ」と指摘しています。