移転をめぐる騒動が続く「豊洲市場」。東京都の小池百合子知事は1月20日、汚染があった豊洲の土地を購入した元都知事の石原慎太郎氏の責任に言及した。
都は、豊洲の土地購入をめぐり、約578億円を石原氏に損害賠償請求するように求める住民訴訟を起こされている。「石原氏に賠償責任はない」という方針を都は示していたが、小池知事の発言はこれを覆えすものになる。
3. 「ここでまさしく一度、立ち止まる」
住民訴訟は、石原氏が知事に就任していた2012年5月に起こった。都民が、都を相手取って東京地方裁判所に提訴していた。
石原氏は、都知事の裁量権を乱用・逸脱した違法行為により豊洲の用地を購入したとしている。そのため、都が石原氏に、購入費である約578億円、またはもともと土地を持っていた東京ガスの負担額を差し引いた463億円を請求するよう求めている。
都は今後、訴訟代理人である弁護団を変更し、訴訟対応特別チームを新たに編成する。土地の選定や東京ガスとの契約を結ぶまでのプロセスなどの事実関係を調べ、誰に責任があるのかを明らかにする。これに伴い、2月9日に予定される口頭弁論は、4月に延期するよう求める。
この日の定例会見で、小池知事はこう説明した。
「訴訟そのものも、多くの都民が抱いている懸念だと思う。事実関係と責任を曖昧にせず、明らかにすることは、都政を改革し、緊張感をもって適正な都政運営を行う上で不可欠です。都がどのような対応をしていくのか、検証の後に決めたい」
豊洲の土壌汚染対策費用は当初、586億円と見込んでいたが、849億円になった。住民訴訟では、予期しない問題が土地にあった時に、東京ガスに対して、損害賠償の請求や契約の解除ができる権利を2011年に土地を購入した時点で放棄したことなどを問題視している。
外部有識者からなる「専門家会議」は1月14日、豊洲でこれまで続いていた地下水調査の最終結果として、一部から環境基準を大幅に上回る有害物質が検出された、と公表した。
これまでの調査では濃度が低く検出されていたものの、最後の調査では急上昇している場所が多くあった。試料の採取方法などについて確認するため、「暫定値」とし、改めて調査することが決まった。
小池知事はこう話した。
「驚くべき数値がでた。突然、数値が跳ね上がるのはどういうことか、改めて信頼度の高い調査をする必要がある。移転を先延ばししたいわけではない」
石原氏に責任はないとする方針を見直すことで、築地市場の移転時期に影響するのでは、と報道陣から質問があったが、「よく調べてみないとわからないが、切り離して考えたい」とし、都政の透明化を図る一つの手段だと訴えた。
「元都知事は、『安全な土地にするんだ』『日本の技術を使えばいいんだ』と述べておられたが、結果としてこのような事実になっている。(石原氏に責任はないという)同じレールにのっているほうが無理があるのではないか。根本問題は、住民訴訟を通じて明確になってくるかと思う」
小池知事はこれまで、豊洲への移転をめぐる経緯などを石原氏に質問していた。だが、石原氏の回答は「記憶がない」だった。
それに対し「作家生活、都知事を続けてこられた功績を無になさらないようにしていただきたい」と批判的な見解を明らかにしていた。
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