宇宙航空研究開発機構(JAXA)は15日、超小型衛星を載せたミニロケットの打ち上げに失敗した。内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県)から発射したが飛行中に機体からのデータが途絶え、飛行中止を決めた。残るエンジンの点火はせず、機体と衛星を海に落下させた。民間への技術移転を目指す超小型衛星専用ロケットの性能を初めて試す機会だっただけに、日本の宇宙産業が停滞しかねない。
ロケットは予定時刻の午前8時33分に打ち上がった。3段ロケットのうち第1段は正常に飛んだが、その後、機体の温度や圧力、姿勢の向きなどのデータが地上で受信できなくなった。
JAXAはこのまま第2段のエンジンに点火すると思わぬ方向に飛ぶ恐れがあると判断。被害を防ぐために点火指示を見送った。残る機体と衛星は海に落ちたとみられる。
ミニロケットは既存の観測ロケットを改良した。電柱の大きさと同じくらいで、衛星を投入できるロケットとしては世界最小だった。部品に携帯電話などで使う半導体などの民生品を活用し、コストダウンを目指していた。民生品でも十分に機能するかどうかを検証する狙いもあった。
民生品に原因があったかどうかは「分からない」(開発責任者の羽生宏人准教授)。機体のデータを送る機器は、これまでも使ってきた実績のある機器だという。JAXAは今後、取得できたデータなどから原因を探る。