反体制派が実効支配するダマスカス北西部の街で上がる白煙。反体制派メディアは、政府軍による砲撃があったと主張し、映像を公開した。撮影日時は不明=AP
【カイロ秋山信一】内戦下のシリアで、アサド政権と反体制派との間で一時停戦が発効してから13日で2週間となった。仲介役のロシアやトルコは停戦枠組みを維持して和平協議につなげたい考えだが、首都ダマスカス郊外や北西部イドリブ県では戦闘が続いており、反体制派からは「停戦は事実上破綻した」との声も出ている。
今回の一時停戦は昨年12月30日に発効。発効後は一時的に戦闘が小康状態になったが、内戦の情報を収集する在英民間組織「シリア人権観測所」によると、反体制派が実効支配するイドリブ県やダマスカス郊外、北部アレッポ県などでは断続的に戦闘が続き、徐々に激化しているという。
「政権側の空爆は続いており、停戦が履行されているとは言えない」。イドリブ県の反体制活動家、ムハンマド・シマルさん(28)は12日、毎日新聞の電話取材にそう訴えた。反体制派政治組織「シリア国民連合」幹部のサミル・ナシャル氏も「アサド政権や(後ろ盾の)ロシアは『テロリストの掃討』と称して反体制派支配地域の民間人の殺害を続けている」と非難した。
政権側は、過激派組織「イスラム国」(IS)や国際テロ組織アルカイダから分離した「シリア征服戦線(旧ヌスラ戦線)」などを停戦対象外と位置付けており、このことが停戦の維持を困難にさせている。征服戦線は「(シリア問題の)解決策は軍事力による政権打倒だ」と停戦を批判しているが、各地で停戦に参加する反体制武装勢力と共闘関係にもある。政権側は「(征服戦線の)関連勢力」として反体制派への攻撃も続けている。
一方、停戦入り後も人道支援は難航。シリア問題担当の国連のデミストゥーラ特使は12日の記者会見で「一時停戦は大部分で維持されているが、残念ながら包囲地域への支援物資搬入は進んでいない」と不満を示した。
さらに12月下旬以降、反体制派が実効支配するダマスカス郊外の水源地付近で戦闘が激化したことで、首都近辺への主要給水施設が破壊され、500万人以上が水不足に見舞われた。政権と反体制派が互いに「相手の攻撃で破壊された」と非難する中、市民らは井戸や政府の給水車に頼るしかなく、日常生活に影響が出ている。
内戦当事者間の相互不信をよそに、停戦を仲介したロシアとトルコは、カザフスタンの首都アスタナで和平協議を開く準備を続けている。参加者は未定だが、23日に開かれるとの情報もある。