電気ストーブやオイルヒーター、エアコンなどさまざまな暖房器具がありますが、素早く広域を暖めたい場合、石油ファンヒーターやガスファンヒーターが有力です。使用時の手間を考慮するとガスファンヒーターが欲しいところですが、筆者宅には部屋にガス栓がないので断念。このような設置条件から石油ファンヒーター一択となったものの、筆者はスタートボタンを押してから暖まるまでの時間も寒くて待てません。普段から利用している部屋ならばタイマー予約で対応できますが、突然の来客で急いで部屋を暖めたい時にはスピーディーさが重要です。そこで目をつけたのが“0.2秒で暖か”を提供できるという、ハイブリッド石油ファンヒーター「CAK-GF46A」(アラジン)。さっそく、その仕組みと実力を調査してみました。
0.2秒で暖かくできる秘密は、石油ファンヒーターにグラファイトヒーターをドッキングさせた構造にあります。グラファイトヒーターはカーボンヒーターと同じ原理の電気ヒーターですが、黒鉛を発熱体としており、カーボンヒーターよりも点灯やピークまでの立ち上がりが早く、遠赤外線の放射量が多いのがポイント。遠赤効果で体の芯からぽかぽかになるところも魅力ですね。しかし、この手の電気ヒーターは消費電力が高いため、一般的には直接身体に当てて暖まる暖房器具とされています。そんなグラファイトヒーターのいいところだけを利用できるのがCAK-GF46A。グラファイトヒーターと石油ファンヒーターを同時に稼動させる「ハイブリッドモード」とグラファイトヒーターだけを点灯させる「グラファイトモード」、そして石油ファンヒーターのみの「温風モード」といった3つの運転モードを搭載しており、上手に使い分けることで“最初からあったか、しかも電気代は最小限に!”が実現できるのです。
サイズは460(幅)×465(高さ)×344(奥行)で、適用畳数は12〜16畳となっています。灯油が入っていない状態でも重量が12kgあるため、側面下部に大きめのハンドルが装備されているのは引っぱって動かせるので便利
「ハイブリッドモード(自動/強/弱)」「グラファイトモード(強/弱)」「温風モード」の合計6種類から運転を選べます
上部がグラファイトヒーターの発熱部で、石油ファンヒーター稼動時には下部のルーバーのある部分から温風が吹き出します
グラファイトは銅の2〜4倍の熱伝導率を誇り、遠赤外線量は同社カーボンヒーターの1.2倍だそう
“○時○分に運転スタートする”といったタイマー予約も用意されていますが、温風モードでのみ利用可能。タイマー予約した場合、運転開始から約1時間で自動停止します
グラファイトモードでは不要ですが、石油ファンヒーターを利用する際(ハイブリッドモードと温風モード)には灯油が必須。油タンクの容量は7Lです
油タンクの口金はハンドルを握り、下へ押しつけながら90°回すだけで外せます。灯油が手につかないだけでなく、このハンドルをつかんで持ち運びできるのも◎(給油した後は、口金を下向きにしたくないですしね)
CAK-GF46Aの実力を調査する前に、どの運転モードで使用するかを考えてみました。各モードの定格消費電力をチェックしてみると、ハイブリッドモードは821W(点火時:1,260W)、グラファイトモードは810W、温風モードは21W(点火時:450W)となっており、グラファイトヒーターが点灯するハイブリッドモードとグラファイトモードは、やはり電気代が高め。1日8時間使用すると1か月(31日)で約5,500円になります。いっぽう温風モードの場合、同条件でも電気代は約140円。長時間使用する時は電気代で見ると、温風モードがいいですね。しかし、温風モードは当然ながら灯油代がかかります(ハイブリッドモードも同じく)。温風モードの燃焼消費量(最大/最小)は3.76kW/0.81kWなので、灯油価格を80円/1Lで計算すると1時間で約29〜6円、1か月(1日8時間で31日)で約7,200〜1,600円。電気代も加わるので、温風モードをフルパワーでずっと使うとランニングコストが少し気になるかもしれません。最小のパワーで運転していれば、1か月1,700円ほどなのでよさそう。モードとパワーを上手に使い分けるのが節約のコツとなりそうです。
※電気代は1kWh 単価 27円で算出
このことから、ハイブリッドモード(自動)でスタートし、ある程度暖まったら温風モードに切り換えることにしました。筆者が望む暖房は“スピーディーに暖め、かつ電気代は少なく”ですから! 木造一戸建ての和室(16畳)は、どのように暖まるのでしょうか。
8畳の2部屋の仕切りを外し、16畳にしました。障子なのですき間も多く、暖房の検証環境としては比較的ヘビーかもしれません。CAK-GF46Aを運転する前の室温は9℃
ハイブリッドモード(自動)で運転スタートすると、最初にグラファイトヒーターが点灯。0.2秒という早さなので、ほぼボタンを押すのと同時といった印象です(下の動画参照)。
CAK-GF46Aから1m弱のところに置いておいた温度計は、1分ほどでに25℃に達しました。1分もかかるのか、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、遠赤効果で点灯した直後から身体は暖かです
グラファイトヒーターが点灯してから約3分後に、石油ファンヒーターが稼動しました。吹出口の奥に青色の炎が見えます。灯油が燃焼するニオイはまったく感じません
設定温度は20℃に設定。ちなみに、ハイブリッドモード(自動)は室温が設定温度より1℃高くなるとグラファイトヒーターを「強」から「弱」に切り換え、室温が設定温度より3℃低くなると「弱」から「強」になります。石油ファンヒーターも自動で温度調節されるそう
運転スタートしてから5分後には、CAK-GF46Aの周囲は45℃になっていました
10分後には、16畳の部屋の中央付近の温度が23℃に!
CAK-GF46Aからもっとも離れた場所の10分後の温度は17℃でした
CAK-GF46Aは温度センサーで室温をチェックしているというものの、グラファイトヒーターにより周囲が高温になるので部屋の端のほうの温度はわからないのでは? と思っていたのですが、温度計と同じ17℃の表示が! 精度はなかなかのようです
17℃は寒いような気がしますが、CAK-GF46Aから離れたところに座っていた筆者母によると心地よい温度だそう
室温17℃でも体感的には問題なかったのですが、念のため1時間ほどハイブリッドモードで運転。CAK-GF46Aの室内温度が19℃になったところで、温風モードに切り換えてみました。温風モードの温度調節は自動で行われますが、タンクいっぱいの灯油で19.2〜88.6時間燃焼継続できるそうです
温風モードになるとグラファイトヒーターは消灯し、一般的な石油ファンヒーターと同じ運転になります
温風モードにして10分後、室温は14℃に下がりましたが寒さは感じず。むしろ、適温です。部屋の中央もCAK-GF46Aから離れた場所もほぼ14℃になっており、温度ムラが少ないことがわかりました
スピーディーな立ち上がりがウリなCAK-GF46Aですが、他社メーカーの石油ファンヒーターにはコンマ数秒にはかなわずとも数秒で点火する製品があります。CAK-GF46Aはグラファイトヒーターを搭載しているため、48,600円(2017年1月12日時点の価格.com最安価格)と比較的高めな価格であることから、数秒の差であれば安いものでいいという気持ちにもなってしまいますよね。しかし、グラファイトヒーター+石油ファンヒーターの組み合わせは実に快適! ハイブリッドモードで起動し、最初にグラファイトヒーターの遠赤外線に当たれば身体がすぐポカポカになり、その暖かが継続するのか、室温がいつもより低めでも寒さを感じませんでした。部屋にひとりしかおらず、短時間で離れる時などは石油ファンヒーターではなくグラファイトヒーターのみで暖を取ることもできますしね。部分温めと広域暖めの暖房器具が1台に集約されたと考えれば、このお値段にも納得できそう。もちろん、石油ファンヒーターとしての性能も上々で温風モードの暑くなり過ぎない暖まり具合は家族にも好評でした。筆者宅にある石油ファンヒーターは、のぼせるほど暑くなってしまうので、心地よい温度で暖まれるCAK-GF46Aにかなり心ときめています。
モノ雑誌の白物家電の編集者として6年間従事した後、価格.comマガジンで同ジャンルを主に担当。アウトドアからオタク系まで意外と幅広くイケちゃいマス。
製品 | 価格.com最安価格 | 備考 |
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Aladdin CAK-GF46A | 48,600円 | ハイブリッド石油ファンヒーター |