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インスタグラマーを利用したい企業が知っておいた方が良いこと

今、2つのインスタアカウントを管理してて、フォロアー数が2万人弱の方はそうでもないのですが、12万人近くある方には、毎週のように取材協力やイベント参加などの企業かあのアプローチがあります。業種も、出版社やテレビからIT企業、企業を仲介する代理店など様々です。

やはり、インスタを自社ビジネスに活用したい企業は多いんだなと感じます。宣伝会議のインスタグラムマーケティングの講座も人気みたいで、すぐ席が埋まるそうです。

企業からの注目が集まるそんな中、昨日、ある会社さんがインスタアカウントのプロフィール欄にリンクを忍ばせるアフィリエイトプログラムを発表し、軽く炎上して撤回するなどひと悶着ありました。

インスタは趣味でやってるだけなので、自分の経験で主観的にしか語れないですが、アフィリエイトや商品告知やモニター参加の宣伝の類は、私は絶対やりません。ステマをやらないのは当たり前ですが、ステマじゃないものでもやらないです。なぜなら自分とフォロアーとの文脈を壊す行為をすると、フォロアーが減るからです。

私がフォローしてる人の中でも、宣伝っぽい投稿をたまに見かけますが、こういう投稿っていつも以上にいいね数が少なくなる傾向があります。つまり歓迎されていないのです。さらにこういう投稿が2回、3回と続くと、かなりガッカリします。フォロー外そうかな、という気にもなります。

「今のインスタ」は、他のSNS以上に金儲けの匂いが似あわない世界なんですよね。企業からアプローチする時には、インスタのダイレクトメッセージ機能を使うことがほとんどと思いますが、プライベート文脈でフォロアーとやり取りしているダイレクトメッセージに、突然ビジネス文脈のメッセージが放り込まれてきて、生々しいお金の話も書いてあったりすると、すごく怪しく感じます。

例えるなら、仲良しで集まっている趣味のサークルに突然スーツ姿の営業マンが飛び込み営業してくるような違和感です。つまり、インスタの世界でいつもの感覚でビジネスをしようとすると、そういう微妙な空気が漂ってしまうわけなのです。

では、そんなインスタの中でどのような商品の紹介の仕方がいいのでしょうか。私個人の見解としては、以下の2パターンが基本ではないかと思います。

  1. その人が本当に好きで愛用している商品の紹介
  2. その人が人生をかけて作り出している商品の紹介

1は当たり前なんですが、企業はこの基本を案外分かってないのかな、と思ったりします。美容テーマのインスタグラマーが愛用している化粧品を紹介したり、犬テーマのインスタグラマーが愛用しているペットフードを紹介したり、料理テーマのインスタグラマーが愛用しているキッチン用品を紹介するのは全然問題ないのです。フォロアーも知りたいことなので、むしろ歓迎されます。

ただ、テーマと商品カテゴリが合えばいいという話しではありません。その人が本当にそれを愛用している、日常的に登場する、それが生活の一部になっている、それが何かフォロアーも知りたがっている、という条件とマッチしたうえでの「リアルな紹介」でないと意味がありません。いくら美容テーマのインスタグラマーでも、唐突に美容系健康食品のイベントに参加してる投稿をされても「なんかもらってるのね」と思われるのがオチです。

2も当たり前なのですが、そういうことです。渡辺直美が自身がプロデュースするアパレルの新商品を宣伝しても、テイラー・スウィフトが新作アルバムを宣伝しても、それは許されます。なぜならそれは、彼女たちの人生の中から彼女たち自身が生み出したものだからです。ファンも彼女たちがそういう人と分かってフォローしているからです。植物を販売しているショップオーナーが新入荷の珍しい植物を紹介してもそれはなんら問題はなく、むしろ期待されている投稿です。

しかし、他人が作った商品へのモニター参加やPR協力だと、微妙な空気が漂います。金銭的なものか心理的なものか、なんらかの見返りがあったうえでやっている行動で、その人自身が日々の活動の中で自然に生み出したものじゃないから微妙なんです。ようするに、その人の「リアル」じゃないんです。

企業は今、所謂インスタグラマーになんとか自分の商品を取り上げてもらおうと、ステマにならない範囲であれこれ工夫していますが、なんか違うと感じるのはこの2つの基本パターンから乖離してるときです。

企業がインスタグラマーに商品を紹介してもらいたいのなら、インスタグラマーに愛され、彼女たちの生活の一部になるような魅力的な商品やサービスを作るのが正攻法です。そのための努力をするのが最優先事項です。

一方、プロフィール欄にリンクをぶっこむとか、商品写真を投稿してもらうとかは、正攻法ではなく奇策です。金の匂いを嫌い、自然な文脈が重視されるインスタでは、浮きまくってしまう作戦です。もちろんやり方によっては一時的に誘導先にアクセスが増えることはあるでしょうが、ただそれだけで、最終的にはインスタグラマー側も企業側もイメージを棄損することの方が多いんじゃないでしょうか。

おそらく、こういうのを企画する人って、自分自身がマイクロインフエンサーじゃないんだろうな、と思ったりします。人の話だけ聴いて分かったような気になってるだけで、実体験をしていないのではないか、と。

自分でインスタを運用し、フォロアーとコミュニケーションを取り、フォロアーが増えていく過程を経験してみましょう。

1万人を超えるころには「フォロアーを裏切ってはいけない」と投稿に慎重になってきます。フォロアーたちは自分に何を期待しているのか、ということに自覚的になります。フォロー関係にある他のインフルエンサーの投稿とその反応を見て、他人から自分の投稿がどう見えて、どういう反応が返ってくるのか、というのが感覚的に分かるようになってきます。

例えば先程のダイレクトメッセージの件も、その空気感が分かっていれば、プライベート文脈でアプローチしなければいけないと気づくはずです。

プライベート文脈とは、自分も魅了されているファンであることをきちんと自分の言葉で熱意をもって伝え、そのうえで企業の取り組みを紹介するようなアプローチの仕方です。定型文のコピペではだめ、という感覚です。

もしこの段階で「フォロアー数が数万程度の人にそんな生産性の低いことしなきゃいけないの?」と思う企業は、インスタグラマー活用は向いてないんじゃないかと思います。(実際自分も、インスタグラマーをビジネス活用できる企業はかなり限定的と感じます)

とまぁこれは一例ですが、このように自分自身がインスタグラマーというか、インフルエンサーというか、それになってみれば分かることがたくさんあります。自分がインフルエンサーだったら、インスタ上の空気が読めてないような怪しい企画とか出てこないと思うんですよね。こういうピントのズレた企画に出会うと、実体験した人が誰もいなくて、企画書だけで話を進めてるんじゃないの?などと勘ぐってしまいます。