2017-01-06
■なぜシン・ゴジラ2を庵野さんが撮らないのかよくわかる「ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ」 
- 作者: カラー、東宝,庵野秀明
- 出版社/メーカー: グラウンドワークス
- 発売日: 2016/12/29
- メディア: 大型本
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びっくりした。
まず鈍器のようなサイズに
次に、ほぼ読ませることを拒否してるとしか思えない文章量に
いくらなんでもやりすぎである。こんな情報量にするなら分冊にするべきだろう。
文字を読むという、本として最低限の行為すら困難な本書は、シン・ゴジラで蹂躙された東京以上に悲惨な特撮現場の赤裸々な告白集である。
本書の一番重要なところは、やはりラストの庵野秀明総監督のインタビューだろう。
蹂躙されまくった現場の阿鼻叫喚を前座として繰り広げられる庵野劇場は、「ああ、これじゃあシン・ゴジラ2を撮ることになっても庵野さんがやるっていうんじゃみんな降りるな」という悲惨さに満ちている。
特に驚いたのは、完成していたサイボットを一瞬でボツにし(樋口監督の面目丸つぶれ)、フルCGのゴジラで行くことを決断したところだ。
いやいやいやいやいやいや・・・・アニメじゃないんだからさあ。書き直せばいいってわけにはいかんでしょうよ。
正直、初出の尻尾のシーンはCG臭すぎたし、まあそこらへんが「虚構」かなとも思ったのでいいんですけどゴジラがフルCGであることで失ったものはけっこうあったと思う。
ある意味で生き物感がない。だからB級映画に見えちゃうんだけど、「巨神兵東京にあらわる」のときの意図的なB級臭さと比べると、A級を目指したけど予算の都合でB級になっちゃいました感がある。まあその意味で「閉じた」映画なんだよなあ。シン・ゴジラは。
あの淡々と無感動に物語が進行していく感じがシン・ゴジラの持ち味ではあるのだけど、まああれが完成するまでには映画の常識をいくつも覆さないとならなかった現場の苦しみが凝縮されている・・・というかなぜこんな本を出したのか、理解に苦しむ。ある意味でAppleから発売された「スティーブ・ジョブズへの恨み節」本みたいなもんであって、自分で破壊して被害者たちの声を一冊にまとめて最後自分の自虐メッセージで締めくくるとか正気の沙汰ではない。
俺が読みたかったのって、こんな本だったっけ?
いや、どちらかというと、「シン・ゴジラ楽しかったなー、シン・ゴジラ2も楽しみだなー」という内容を期待していたのであって、PTSDを罹患したアメリカのドローンパイロットのインタビュー集みたいなものではなかったはずだ。
とにかく全編恨み節。凄い。むしろ。ぜんぜんアートじゃない。いや、この恨み節こそがアートなのか。アートワークのカッコよさとかの印象が全て吹っ飛ぶインタビュー。やばい。現代アートの様相。
そしてこれを読むとこりゃ庵野さんが次回作を実写でやるのは相当厳しそうだな、ということがわかる。まあでも、作品の評価が監督の評価だから、結局なんのかんのでスタッフは帰ってくるのかもしれないけどね。
ある意味で、「一度きり」と言ったのは、もう完膚なきまでに映画の現場を破壊し尽くすという意思表示だったのかもしれない。
しかし残念ながらシン・ゴジラはかなり高く評価されてしまったし、興収もついてきてしまった。じゃあ次はどうするのよ、破壊しつくされた樋口組が再起を図るのか。しかし同じやり方でできるのか。
ある意味、樋口組復興の物語となるか。しかしそこには遠くに"凍結"されはしたけれども、いつ動き出すかわからない"怪物"庵野秀明がいる。ラストシーンはそういう立場の象徴なのか。
そういう超一流の人物同士のせめぎあいによってシン・ゴジラがゴジラという怪獣映画を新しい次元に引き上げたことは間違いない。間違いないがしかし・・・これからどうするよ、という感じ。
でも庵野さん自身はシン・ゴジラを本当に愛していて、現場は破壊し尽くしたが作品は本当に愛しているのが凄いと思った。
これからの怪獣映画に期待
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