今年のクリスマスイブは、久しぶりに一人きりで過ごすことになった。上京してからは大学時代の講義終わりにゼミのメンバーと研究をしながら過ごすのが当たり前になっていたから気がつかなかったけれど、日本のクリスマスは一人で過ごすには世間の目が厳しすぎる。
テレビをつければコンビニやファストフード店がチキンとケーキを食べろと言ってくるし、買い物に行けばプレゼント用なら包装すると勧められる。どれもこれも、クリスマスは家族や恋人や友人と過ごして当然だという前提があってびっくりする。
ふだんはクリスチャンでもなんでもない人たちが急に信仰熱心になったわけでもないだろうに、みんなでクリスマスにのっかって騒いでいる。日本のクリスマスはやたらと曲解されて浸透しているんじゃないだろうか。
普段からひとりでの行動に慣れているわたしでも、初めてひとりで迎えるクリスマスはなんだか心苦しかった。
「お前はクリスマスに一緒に過ごす人もいないのか」
そう誰かに言われている気がした。なんだか情けなくて、クリスマスの飾りつけがされているカフェの居心地が悪くなった。
そんなとき思い出した。クリスマスは一年を通して自殺者が最も多いシーズンだそうだ。色んな思いがあって自死を選ぶ人がいるのだろうけど、やはりクリスマスは孤独感を強く感じやすくなるという影響もあるだろう。
街のレストランはどこも幸せそうな家族や恋人たちが楽しそうに食事をしていて、ふだんならひとりでのふらっと入れるわたしもさすがに躊躇していた。仕方ないから、家でなにか作って食べようかな、というときに丸亀製麺がおもしろい企画をしていた。
▲丸亀製麺の公式Websiteのスクショ
http://www.marugame-seimen.com/
「きよしこの夜なきうどん」と銘打って、一人の夜は冷えますから、と主力商品の釜揚げうどんを半額で提供するというのだ。お一人様向けのサービス(一応ひとりで来店しなくても頼めるみたいですけど、カップルはおしゃれなレストランに行くでしょうし)で、ぼっちに優しい。ひとりで来店することを想定してくれているので、こんなわたしでも行きやすい。
ということで、さっそく行ってみた。
釜揚げうどんだけだとさすがに悪いなと思ってかき揚げもつけたけど270円だ。
20代のわたしでもまわりに浮かず、あったかいうどんをはふはふ言いながら食べられた。まわりには少しの家族連れと、男性2人組がいる以外はひとりで来店している客がほとんどを占めていた。店内にはおばちゃんが揚げたての天ぷらを勧める元気な声が響くだけで、だれもクリスマスを押し付けてこない平和な空間だった。久しぶりに丸亀製麺にきたけれど、釜揚げうどんはこんなにおいしかったっけなと少し驚いてまた来ようと思った。
店を出るとどこからともなくクリスマスソングが聴こえてきて、歩道の先にはカップルが手をつないだまま歩いてきていて、わたしが車道に押し出される形で避けてすれ違った。また少し寂しさを感じたけれど、おなかいっぱいのわたしは少しだけ強くなっていた。
願わくば、「誰かと幸せに過ごさなければならない’という考えが間違って定着してしまった日本のクリスマスが変わってほしい。丸亀製麺のように、ひとりでもいいと受け入れてくれる世間であってほしい。わたしのように、クリスマスにひとりぼっちなことを情けなく思わないでほしい。
たとえビジネスであったとしても、クリスマスで辛い思いをしている人を救うサービスをしてくれた丸亀製麺をわたしは応援する。もし、あなたがこの考えに少しでもいいなと思う部分があったのなら、今夜じゃなくてもいいから、釜揚げうどんを食べてみてください。