書籍などで「入居者が個人ではなく、企業が社宅として借りていると長く使ってもらえるので安定して家賃収入を得ることができる」といったことが書かれています。
物件検索サイトでも「社宅利用の安定企業!」とアピールしている物件も見かけたことがあり、社宅で利用されている物件はお得感が高いように感じられます。
しかし本当にそうなんでしょうか?実際に保有してみた経験を織り交ぜながら実態を書いていきたいと思います。
長く借りてもらえるとは限らない
例えば単身赴任の人用に借りている場合、単身赴任が終われば契約は解除されます。
他にも結婚にあたって退去するなど「特定の社員のために借りた」場合は長く借りてもらえるとは限りません。
ただし、大手企業が1フロア全てを借り上げているなどの場合では社員一人が退去しても契約は残したままで、異動などのタイミングで別の社員を新たに入居させるといったことをするため長く借りてもらえる可能性があります。
借りている会社の利用方法によって入居期間は変わってくるのです。
家賃交渉がある
「長く使っているんだから安くしてくれ」と家賃交渉される場合もあります。場合によってはかなり強気の値下げ交渉もしてくると聞いたことがあります。
家賃交渉が無い場合はずっと同じ賃料のため、家賃下落の心配もなく安定したキャッシュフローを得続けることができるのでかなりお得といえますが、家賃交渉をされた場合はそうもいきません。
必ずしも「社宅だから安定」といえるわけではないでしょう。
滞納リスクが低い
借り手が企業ということもあり、滞納される可能性は格段に低くなるでしょう。
個人の場合はうっかり忘れていたならよいですが、わざと支払わずにマンションに居座り続ける入居者もいるらしいので安心できます。
退去時が綺麗
タバコを吸う社員の場合は壁紙が黄ばんでしまいますが、そうでない場合は「社宅だから」という理由で比較的綺麗に扱ってもらえます。
私が保有していた物件の場合、なんと企業が退去時にクリーニングをしてくれていました。お陰でクリーニング代が浮いて助かりました。
まとめ
社宅で利用されるとメリットもある反面、メリットばかりであるとは限らないことがお分かりいただけたでしょうか。
また、自分が購入した直後に運悪く退去になる可能性もあります。それまでは入居当初からの高い賃料で借りていたため、次の入居者には予想以上に値下げをしなければならず、想定していたよりキャッシュフローが出ない可能性もあります。
社宅の場合は現在の周辺マンションの家賃相場と一致しているかも確認したうえで、購入を検討する必要があります。
「社宅だからこの物件は儲かる!」と、社宅だからという理由で投資対象と判断するのではなく「社宅だったらもしかしたら少し美味しいかも…」と期待する程度に留めておいたほうが良いでしょう。