米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設計画を巡り、国側が沿岸部の埋め立て承認を取り消した翁長雄志(おなが・たけし)知事の対応を違法と訴えた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(鬼丸かおる裁判長)は20日、県側の上告を棄却した。知事による承認取り消しを違法とした福岡高裁那覇支部判決の結論が維持され、県側の敗訴が確定した。
最高裁判決を受けて国は中断している沿岸部の埋め立て工事を再開する方針。翁長知事は「確定判決には従う」としており、承認取り消しは撤回するとみられる。ただ、別の手続きで対抗策を取ることを示唆しているため、国と県の対立は続く見通しだ。
今回の訴訟は高裁を第1審とする地方自治法の規定に基づき、2審制で行われた。9月の高裁支部判決は「前知事の埋め立て承認に違法はないのに、これを取り消した翁長知事の行為は違法」と認定。国の是正指示に従わない知事の対応も違法とした。
県側は「移設は米軍基地の負担を固定化させ、憲法が保障する地方自治を侵害する。高裁は行政庁に代わって全面的な審査をしており、司法の権限を越えている」と上告していた。
小法廷は今月12日、高裁の結論見直しに必要な弁論を開かないまま判決期日を20日に指定。翁長知事は「しっかりとした審理を求めていただけに、弁論が開かれないことは極めて残念」と述べていた。13日夜には米軍垂直離着陸輸送機オスプレイが名護市沖に不時着する事故が発生しており、工事再開により国と県の対立がさらに深まることも懸念される。【島田信幸】