未経験からエンジニアへの転身した理由とは
リクルートキャリア本社のセミナールームで開催された同イベントには、エンジニアという仕事に興味を持つ100人以上が参加。通常、エンジニア向けのイベントでは9割近くを男性が占めるが、今回のイベントは女性の割合も多く、2割を超していた。
第1部では、未経験からエンジニアになったジーズアカデミー主席講師の山崎大助氏、ヌーラボ林由子氏の体験談がパネルディスカッション形式で語られた。
モデレータを務めたのは、リクルートキャリアでリクルーティングアドバイザーを務めるアブドル・マムン氏。アブドル氏の前職はエンジニア。エンジニアという魅力的な職種にもっと興味を持ってほしいという思いから、リクルートキャリアに転職した。

パネルディスカッションは、両者の自己紹介から始まった。
山崎:エンジニアになる前は、アパレルメーカーでショップの店長を務めていました。身体を壊して入院したことがきっかけで、手に職を付けようとパソコンを触り始めたんです。
28歳のときにPCインストラクターの会社に転職。キーボードも打てなかったところからスタートし、半年経てばなんでもできるようになり、HTMLやFlashなどのWeb技術にハマっていきました。
少し技術ができるようになると、企業は話を聞いてくれるようになり、転職先の間口が広がりました。それと同時に自分でいろいろと作っては披露するようになりました。
これがきっかけで出版社から記事を書いてほしいなどという依頼が来るようになり、現在ジーズアカデミーというエンジニア・プログラミング専門スクールでは主席講師、デジタルハリウッド大学大学院准教授を務めるほか、雑誌や書籍Webメディアで執筆活動もしています。
林:高校を卒業して5年間、バスガイドとして働いていました。バスガイドは出張が多い仕事です。
そこで結婚しても続けられる仕事に就きたいと思い、エンジニアへの転職を決めました。現在は「Backlog」や「Cacoo」など仕事上のコミュニケーションやコラボレーションを促進するサービスを開発しているヌーラボでエンジニアとして働いています。
私が所属しているのは「Backlog」というプロジェクト管理ツールの開発チーム。本社には週1回出社し、普段は福岡県にある700人ぐらいの小さな島(大島)の自宅でリモートワークという形で勤務しています。
エンジニアを選んでよかった!
──お二人にとってITエンジニアとは何ですか?
山崎:自分が自分でいられる仕事だと思います。
林:ITエンジニアもいろんな職種がありますが、できる人はすごくかっこいい。本当にかっこいい職業ですね。
──エンジニアを選んでよかったと思いますか。
山崎:よかったですね。飽きやすい私にはぴったりの職業です。Webのアプリケーション開発は敷居が低いので、入りやすいです。しかもディープラーニングや機械学習、Fintechなど、いろいろ広がっていく。趣味が仕事になっている感覚で楽しめています。
林:私もエンジニアになってよかったですね。結婚を機に離島に引っ越したのですが、その当時、島にはリモートワークしている人はいませんでした。でもそういう働き方ができたのも、エンジニアだからこそだと思います。

──給与面でも満足していますか?
山崎:アパレルのショップ店長をしていたときと比べても、今の方がいいですね。今はフリーランスなので、ある程度自分でスケジュールを決められますし、人に管理されない働き方ができます。
私は執筆活動もしていますが、書籍が出版されたときは他の仕事も増加するので収入も多くなります。実はこの業界は動きが速いので、とにかく一番に新しい技術に飛びついてやった人がその第一人者的な扱いになれるんです。
もちろん、ある程度技術がないとできないことですが、そういうある技術領域において一躍第一人者にもなれる世界。没頭していることで人生を変えることができるんです。
林:前職では給料が安く、一人暮らしするのも苦しかったんです。エンジニアになってからは、一人暮らししても大丈夫と思える給与を頂いています。
もちろん、年々、給与も上がっていくので満足しています。ヌーラボは設立されて10年経ちました。最初は残業もしたこともあったのですが、今は人も増え休日出勤も残業もありません。
──エンジニアであれば大手にチャレンジできる可能性もありますよね。
山崎:私もSIで働いた経験がありますが、その会社は他の職種であればちょっとやそっとでは入れない、超大手だったんですよ。でもエンジニアだったから、そういう超大手と言われる会社にも転職できる可能性があります。
どこも人が足りないと言っていますからね。しかも大手のSIerの場合、研修をきちんと行ってくれますし、今は大手SIerに転職をするいい時期ではないでしょうか。
──どんな人がエンジニアに向いていると思いますか?
山崎:2種類のタイプに分けられると思います。まずは人とコミュニケーション取るのがあまり好きではない、自分一人で黙々とやりたいという人。技術を突き詰めていくタイプですね。
もう一つは営業系をやってきた人。アイデアや企画力があり、コミュニケーション力もあるという人。スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツのようにサービスを立ち上げることができると思います。いずれにしても自分を信じてやれるかどうかと思います。
林:探究心がある人が向いていると思います。コードを書いていると、分からないことなどを調べることが多いんです。調べることや勉強することが苦にならない人がいいと思います。
──技術のキャッチアップの仕方について。どんな方法でキャッチアップしているのですか?
山崎:SNSですね。TwitterやFacebookでフォローしている人はみんな技術者なので、流れてくる情報がトレンドになっているんです。
林:私も同じでSNSを活用しています。勉強会に出かけると、TwitterやFacebookのフォロワーにエンジニアが増えますからね。
──未経験からエンジニアになる際、何から始めればいいと思いますか?
山崎:自分で勉強しても、途中で挫折してしまう人が多いんです。できればジーズアカデミーに来てほしいですが、まずはプログラミングの学校などで開催している体験会などに参加するのがオススメですね。無料体験をうまく使うといいかと。
そうするとエンジニアへのハードルが下がると思います。次にわかりやすい本を買うことです。このとき気をつけてほしいのは、必ず書店に足を運んで自分の目で見て、初心者向けの本を選ぶこと。そしてそれをやり通すんです。
それができると、中上級者向けの書籍を購入してチャレンジするのもいいですし、他の初心者向けを購入して勉強するのもいい。
林:私は山崎さんのところに行くのがいいと思います(笑)。
──今後、エンジニアとしてどんなことをやりたいと考えていますか? 目標を教えてください。
山崎:私は今、エンジニアとしてモノを作っているというより、教えている立場の方が多いので、日本からFacebookとかInstagramのようなサービスを立ち上げる人を育てるのが夢ですね。
林:入社したときから目標としている先輩のようになることですね。その方はアプリもインフラも開発できるんです。その人に近づくために日々、勉強です。
──ありがとうございました。
スポンサー企業による5分間のLTも
こうして、第一部は終了。続いて行われたのは、スポンサー企業によるLT。登壇したのは情報活用に専門特化したITプロバイダ、ジールで開発部門を統括している取締役の沼田善之氏。
「ジールの設立は1991年だが、グループ会社に2012年に編入し、その編入年を設立年としている。当社のミッションは情報活用の大衆化。
そのためBIのソリューションを提供している。ジールのBIは人間の経験や勘だけに頼らずにITを駆使し、企業活動で発生したデータを活用して意思決定をし、その先にある収益を最大化する仕組みを総称している。つまり、ビッグデータやIoTなどもすべて包含している。
ジールのビジネス領域は、どういったデータを集めてどう活用していくのか、それを仕組みとしてお客さまに提供すること。未経験者、中途入社の方もたくさんいる。ぜひ、BIソリューションに興味のある人は話を聞きに来てほしい」(沼田氏)
第2部は体験授業。未経験でも少し勉強すればアプリが作れるようになる!
ジールによるスポンサーLTが終了。15分の休憩の後、「第2部・ITエンジニア体験授業を受けてみよう」が始まった。
まず登壇したのは、ジーズアカデミーを6月に卒業し、Webマーケッターとして再就職した日笠修氏。日笠氏は、昨年の10月からジーズアカデミーに入り、プログラミングを勉強し始めたのだそう。
そんな日笠氏の授業1回目の課題制作は「じゃんけんTwitter」。人気マンガに登場するキャラクターとジャンケン小僧とのジャンケンバトルシーンがあるのだが、そのバトル中にキャラクターがTweetをしていたらというコンセプトを実現するプログラムだ。
日笠氏はエンジニアとして働くメリットを「知識が増えればできることが増える。前進している感がほかの職種よりも強く感じられる」と語る。
最後にこれからエンジニアを目指す人へのアドバイスも。「まずは始めること。自分の使いたいモノを作るために必要な知識を習得することから始めてみてはいかがでしょう」(日笠氏)。
今のブラウザはいろいろなものが作れる
続いて、第1部でも登場した山崎氏が登壇、「今のブラウザの技術でどんなことができるのか。皆さんが持つブラウザのイメージを覆していきたい」と語り、デモを交えたセッションが始まった。
まず山崎氏が見せたのは翻訳アプリ。話したことをブラウザが読み取り、テキスト化して翻訳するというもの。翻訳のAPIで使ったのはMicrosoft Translator API。無料で使えるAPIである。
「Googleも翻訳APIを提供しているが、Microsoftの翻訳APIは翻訳結果を音声でも返してくれるのがいい」と山崎氏は説明する。
同アプリは山崎氏が米シアトルでMicrosoftとのミーティングに参加するために開発したのだそう。
「3日でできた」と山崎氏は言う。使った技術はHTML、CSS、JavaScriptのみ。「PythonやRubyやJavaなどを使えばよいのではという意見もあるが、HTML、CSS、JavaScriptは覚えやすく、クリエイティブな発想ができるので、これを駆使して作るのがお勧め」と山崎氏は説明する。
またこの翻訳アプリでは、何十万件ものデータをブラウザにデータを登録できるような仕組みになっているという。
「ブラウザでもデータベース機能を作れる。この機能を作るのに2~3日かかった。つまり1週間あれば、これだけのものができるということ」と山崎氏は続ける。
さらに欲が出てきた山崎氏は、英語ができない人でも英語圏の人たちとチャットができる仕組みができないかと考えたという。
FirebaseというAPIを利用することで、1日でできたという。「このFirebaseというAPIを使えば、誰でも15分ぐらいでチャットアプリが作れる」と山崎氏。
このほかにも、山崎氏はこれまで作ってきたものを披露。またMicrosoftの感情を認識するAPI「Emotion API」なども紹介。
「このようにブラウザの技術は進んでいる。アイデアとひらめき、そして技術があれば、誰でも面白いものが作れる、発信できる環境となっている」と山崎氏は力強く語る。
Firebaseを使えば、チャットアプリが15分で作れる
このようにブラウザでできることを披露した後、実際にFirebaseというサービスを使ってチャットアプリを作るというデモを行った。
Firebaseは2014年にGoogleに買収されたBaaS(Backend as a Service)。こちらのURLをクリックしてみればわかるが、LINEのような画面が表れる。このようなアプリをFirebaseのサンプルコードを利用すれば簡単に作れるという。
先のチャットアプリの作り方の手順について、山崎氏はデモをしながら次のように紹介した。
まずはFirebaseの公式ページにアクセスし、「無料で開始」をクリックし、Googleアカウントでログインする。
次に「新規プロジェクト作成」をクリックし、適当に自分のプロジェクト名と国/地域を指定して「プロジェクト作成」ボタンをクリックする。
「ウェブアプリにFirebaseを追加」を選択。コードが表示されるので、コピーボタンでクリックして、コードをコピーする。
そして画面の一番下に表示された「Firebase Web Samples」をクリックする。表示されたページで「Firechat」欄の</>をクリックする。
するとGitHubというソースコードサイトが表示されるので、「Clone or download」ボタンをクリックしてダウンロードする。
ZIPファイルがダウンロードされたら、それを解凍して、「examples>anonymous>index.html」をエディタで開く。そして51行目から58行目を先ほどコピーしたコードと置き換え、タグを削除する。
Firebaseのページに戻り、Authenticationを選択し、「ログイン方法を設定」ボタンをクリックする。
表示されたページの一番下にある「匿名」を有効にして保存する。これで完了。あとはindex.htmlをダブルクリックして、動くかどうか確かめるだけだ。
「このように今はいろいろなAPIが提供されているので、それをうまく利用していけば簡単にサービスが立ち上げられるようになっている」と山崎氏。
「取っつきやすいと思うので、Webプログラミングを始めるのなら今がいい時期だと思う」と語る。
この後、Canvasを使ったデモも実施。これも数行付け足すだけで、色が変更できるという機能を付けることができるという。
最後に山崎氏は参加者に「ぜひ、皆さん、エンジニアの世界にきてください」と呼びかけ、第2部の体験授業を締めた。
キャリア相談のコーナー
第3部の「先輩に直接相談してみよう」というプログラムは、今回の登壇者および未経験からのエンジニア採用を行っている複数の企業から直接話が聞けるというもの。
またリクルートキャリアによるキャリア相談のコーナーも用意されており、ほとんどの参加者がこのプログラムに参加し、真剣に話を聞いていた。
体験授業で改めてわかったことは、ブラウザの技術はどんどん進化しているため、HTML、CSS、JavaScriptというWebの基本技術が習得できれば、アイデアとひらめきで面白いサービスが作れるということ。
Webアプリを作ってみたいと思った方、エンジニアという仕事に興味を持った方は、ぜひチャレンジしてみてはいかがだろう。





















