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 消費税率を10%に上げる際に予定していた社会保障の充実策のうち、来年度中に実施する項目が決まった。厚生労働省は17日、自治体が運営する国民健康保険(国保)への財政支援を今年度より800億円増やす方針を決定。当初予定の1100億円増から減らす。充実策では無年金対策も実現するが、低年金者向けの給付金などは先送りする。

 厚労省が17日に開いた全国知事会などとの会合で、国保の財政支援の増額幅を減らし、総額1400億円とする方針を説明した。2018年度に国保の運営が市町村から都道府県へ移るのに伴い、保険料収入が不足する市町村への交付などに使う基金として積み立てるもの。減額分は18年度以降に手当てする考えだ。

 無年金対策は先の臨時国会で受給資格を短縮する関連法が成立。保育所の運営費助成などの子育て支援策も含め、17年度予算で予定していた低所得者対策の一部を今年度に前倒しして浮いた予算(1100億円)などを財源にあてる。安倍晋三首相は今春に消費増税の先送りを決めた際、社会保障の充実策について「引き上げた場合と同じことを全て行うことはできない」と強調していた。

■消費増税先送りで、主な社会保障の充実策への影響は――

 【子ども・子育て支援の充実】

 必要額:1千億円/結果:○

 【国民健康保険への財政支援の拡充】

 必要額:1100億円/結果:△(800億円へ減額)

 【低所得者の介護保険料の軽減】

 必要額:1400億円/結果:×

 【年金の受給資格期間を25年から10年へ短縮】

 必要額:260億円(5カ月分)/結果:○

 【低年金者らへの原則年6万円の給付金】

 必要額:5600億円/結果:×

<アピタル:ニュース・フォーカス・その他>

http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(生田大介)