アクティブラーニングによる部活動の指導

アクティブラーニングの普及によって、学校における部活動の指導にも変革が起きようとしています。指導者が一方通行的に知識や技能を伝達するのみならず、部活動に参加する学習者が主体的に活動し、学習していくように、部活動指導も変換することが求められるようになってきたのです。この記事では、アクティブラーニングを背景とした部活動指導の在り方についてまとめたいと思います。
部活動

生きる力を身に着ける部活動

部活動指導は学習者に「生きる力」を身に着けさせる「人間教育の場」です。部活動は運動部と文化部に大きく分かれますが、そのほとんどが「他者と協力するチームプレー」によって行われるものです。その過程では、単純な「勝ち-負け」の構造ではなく、「いかに人間として成長するか」という人間教育的な発想の元、活動が行われる必要があります。さらに、1人の学習者も残さず、「全員で」成長することが求められているのです。これは、アクティブラーニングにおける「協同学習」の理念と合致するものです。学習者が協力しながら、1人1人を大切にし、全員で課題達成を目指す協同学習は、まさに部活動指導で重視されるべき理念ではないでしょうか?このように、学習者には、将来社会に出た時に必要とされる「生きる力」を身に着けさせることが、部活動指導とアクティブラーニングで共通の目的とされているのです。
部活動

グループ活動で学習者の成長を目指す

そこで、従来の一斉指導の発想から切り替えて、グループごとに体験活動をさせることが求められます。様々な学年や性別、背景を持つ学習者が集まる部活動では、一律の指導を行うのは困難です。そこで、学習者たちに「委ね」、任せることが必要となってきます。もちろん、学習者は未熟なので、自分たちだけの力で成長をするのは困難です。そこで、学年が均等にいなるように、グループに分け、高学年の学習者をリーダーにし、グループごとに活動をしていく仕掛けが重要になってきます。グループごとに活動を「協力しながら」行い、それぞれの成長や学びを「点検」させることが大切です。グループで実際の部活動の体験を行わせるのみならず、「ミーティング」も充実させ、自分たちの思考力で、自分たちの成長を促すことを行っていかなければなりません。具体的な例として、鶴岡工業高等専門学校など先進的な学校では、このようなアクティブラーニングを駆使した部活動指導が実際に行われています。でもこのように、部活動は、アクティブターニング、とりわけ協同学習が力を発揮しやすい「複式学級」の体制を取っていることが通例であるため、その特性を活かし、アクティブラーニングの良い部分を積極的に取り入れた部活動指導が今後のカギとなってきています。アクティブラーニングの実際的な活動を充実させ、部活動指導をより質の高い時間にすることがこれから求められるのではないでしょうか?

中学校におけるictを活用した英語科のアクティブラーニングの事例

情報化社会が進み、コミュニケーションの方法も多様化しています。コンピュータを使用して、コミュニケーションを行うことも増えてきました。この記事では、中学校におけるictを活用した英語科のアクティブラーニングの事例として、コンピュータを使用してチャットを行う事例について紹介したいと思います。SNSなどの普及も重なり、コンピュータでのコミュニケーションについて、学習者に考えさせる必要があります。この記事がその一助になれば幸いです。
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1.クラスメイトと英語を使用したチャット

舞台は学校の情報教室です。1人1人にコンピュータの前に座らせます。そして、英語を使用したチャットを行わせます。まずは、同じクラスメイトと英語でチャットを行わせます。この準備段階として、コンピュータのリテラシーやモラルについて学習させる必要があります。チャットは、face to faceでのコミュニケーションでなくなるため、普段のコミュニケーション様式と大幅に変更されます。そのため、普段とはまるで人格が異なるコミュニケーションを行う学習者が登場してもおかしくはないでしょう。1つの実例として、チャットのほかに、電子掲示板で学習者に英語でのコミュニケーションを行わせる活動を行った活動を取り上げます。そのとき、電子掲示板を「荒らす」人物が登場するのです。この「荒らし」に学習者たちは恐怖を覚えますが、実は、この「荒らし」はほかでもない教師だったのです。教師自らが「荒らし」となり、コンピュータを使用したコミュニケーションでの無責任な発言などの危険性を伝える事例でした。コンピュータのリテラシーやモラルを踏まえたうえで、このクラスメイト同士でのチャットを行う必要があります。
参考:
インターネットを用いた英語の授業の試み

2.海外の学生と英語を使用したチャット

クラスメイトとチャットで円滑にコミュニケーションが取れるようになったら、本格的に英語でのチャットのコミュニケーション活動に取り組ませます。海外の学生と英語でチャットを行うのです。このとき、海外の学生は、教師の方から働きかけて、人選を募っている必要があるでしょう。海外の高校などと連携を取り、チャット活動を行える相手を探しておくことが先決です。学習者は準備段階として、クラスメイトと英語でのチャットを行っているため、より質の高いコミュニケーションを行える可能性が高いです。このように、準備段階を設け、まずはクラスメイト同士での英語でのチャット、次に海外の学生と英語でのチャットを行わせることによって、英語を使用したコミュニケーションの深さを、学習者に味合わせることができるようになります。
参考:
外国人とチャットできるアプリ6選
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3.結論

この記事では、中学校における英語科のアクティブラーニングの事例として、英語でのチャット活動について取り上げました。アクティブラーニングの柱である「協同」を達成するためには、やはりコンピュータを媒介としたコミュニケーションでのリテラシーやモラルを、学習者に伝えるのは必須条件です。英語とコンピュータという、21世紀にますます必要となる「能力」を同時に体感させることのできる事例として、この英語でのチャット活動を参照頂ければ幸いです。

中学校におけるictを活用した社会科のアクティブラーニングの実例

学校教育においてタブレットPCが注目されています。様々な活用法があり、質の高い授業を作るための便利なメディアとなっています。しかしながら、タブレットPCを購入したのはいいものの、どのように使用すればよいか悩む教師も多いと聞きます。今回の記事では、タブレットPCを駆使した、中学校における社会科のアクティブラーニングの実例について紹介したいと思います。良い道具も、良い知恵がなければ無力です。今回は、タブレットPCという時代の最先端ともいえる「道具」をうまく使用する「知恵」を提供したいと思います。
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1.グループワーク

今回紹介するのは、岡崎市葵中学校における社会科のアクティブラーニングの授業の実例です。題材は例として、「関ケ原の戦いで石田三成が敗北した理由」について学習することとします。まずは、グループに分かれ、関ケ原について学んだことを整理する段階です。このとき、各グループにタブレットPCを配布しておきます。そして、タブレットPCを使用して、インターネットで「関ケ原」について学習者に調べさせます。インターネットの情報源を利用するのは、調査活動においては、最大の効率的な手段と言えます。そして、タブレットPCに調べたことを保存させ、次の語り合いに備えさせます。従来は図書館が、調査活動の最大のメディアでしたが、タブレットPCを活用することによって、各自でいつでも、どこでも「調べる」ことができるようになりました。
話合い活動を取り入れた学びを深める社会科の授業づくり
岡崎市立葵中学校

2.発表

グループごとに調べさせたら、次はそれを発表させる段階に入ります。このとき、タブレットPCには様々な情報を取り込むことができるので、役に立つ情報は全て保存させます。プレゼンテーション用のソフトを使用して、調べたことを「聴衆にわかりやすく説明するにはどうすればよいか」を考えさせます。アクティブラーニングの目指す「協同学習」と「創造性」を、タブレットPCは両方とも実現させることのできる便利なメディアです。タブレットPCでプレゼンテーションを作ったら、それを大型ディスプレイに反映させ、そのまま発表を行わせます。従来の模造紙のようなアナログのメディアでは、時間と労力がかかりましたが、タブレットPCを導入すれば、効率的に、さらに質の高い発表活動を実現することが可能になります。
授業でのタブレットPC活用 期待と不安
Amazon「タブレットPC」
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3.結論

今回は、中学校におけるictを活用した社会科の授業の実例として、タブレットPCを使用した授業展開についてまとめました。もちろん、インターネットには便利な部分と危険な部分があり、その危険性を排除するための事前指導も必要です。しかしそれを逆手に取り、この機会に、「情報リテラシー」や「インターネットリテラシー」を学習者に身に着けさせることも可能になります。情報とはうまく付き合っていかなければなりませんが、タブレットPCを用意することによって、指導の可能性はこれまでより発展するのではないでしょうか?今回の記事の実例を1つの「アイディア」として取り込み、1人1人の教師がより良いアクティブラーニングに進化させていっていただければ幸いです。

中学校におけるictを活用した国語科のアクティブラーニングの事例

ictを使用すると、アクティブラーニングが円滑に進行すると言われています。学びの新しいメディアとして、ictを活用するのはこれからの時代に大切なことです。今回の記事では、中学校におけるictを活用した国語科のアクティブラーニングの事例について紹介したいと思います。黒板とチョーク、教科書とノートという古いメディアのみにとらわれるのではなく、1つの「アイディア」として、この記事を参照頂ければ幸いです。
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1.登場人物の心情についてグループで語り合い

今回紹介するのは、岡崎市葵中学校の国語の授業です。まず、教科書の登場人物の新庄風景について、学習者に考えさせます。ここで、人物や場面のヒントとなる描写について考えさせるのがポイントです。そして、それをグループごとに語り合わせます。協同学習を軸に、1人の意見を、グループで共有することにより、思考の洗練化を目指します。ここで、各グループに小さなホワイトボードを用意します。語り合いでまとめた考えを、ホワイトボードで整理させるのです。ここでは、文字情報のみならず、絵や図なども用いて、視覚的にまとめることを促します。アクティブラーニングの主眼である「表現力」を養うために、自分たちの語り合いの成果を、うまく聴衆に伝えるように「表現」させることがポイントです。
岡崎市立葵中学校
言語活動を通じてつくる国語の授業

2.語り合いの発表

語り合いのまとめが終わったら、各グループでそれを発表させます。ここで、グループがまとめたホワイトボードに書画カメラを設置します。それを大型ディスプレイで映し出すのです。こうすることにより、各グループのまとめた発表を、ズーム機能を用いることによって、ディテールにまで及ぶ、ダイナミックな発表が可能になるのです。書画カメラには撮影機能も付いており、よい発表は、記憶することができます。従来は、模造紙などを使用して、発表を行っていたことが多いと思いますが、模造紙を用意するのは、教師にとって大変ですし、学習者にとっても、模造紙に発表をまとめるのは時間がかかり、各グループに1つの模造紙しか用意されないため、記憶することが困難でした。ホワイトボードと書画カメラ、大型ディスプレイを使用することによって、模造紙の持っていた機能を全て代用することができ、さらにズーム機能などによって、細部にわたる点検も可能です。そして、カメラで撮影しておけば、学習者一人ひとりに配布することができます。ictを使用した国語科の発表の授業では、これまでのアナログ式の方法に対する代替案として機能するだけでなく、従来のアナログ式の方法よりも、洗練された授業を展開することが可能になってきます。
参考:
wikipedia「書画カメラ」
EPSON 書画カメラ
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3.結論
今回、中学校におけるictを活用した国語科のアクティブラーニングの事例をまとめました。もちろん、ictを用意するのは容易ではなく、学校全体で取り組むことが今後の課題とされます。まずは、1人の教師が立ち上がり、周囲の教師を巻き込んで、ictを活用したアクティブラーニングの「効果」を実証することが先決ではないでしょうか?それによって、学校全体の取り組みとして、アクティブラーニングの「良さ」は伝播していくものと思われます。

大学における歴史のアクティブラーニングの事例(北川智子先生の事例)

教科書を読む、年号を暗記する…従来の歴史の学習と言えば、そのようなイメージだったのではないでしょうか?今回の記事では、アクティブラーニングを取り入れた歴史の授業として、北川智子先生の事例を紹介します。北川智子先生は『ハーバード白熱日本史教室』などの著書でも知られており、歴史研究家・教育家の第一人者でもあります。北川智子先生がアクティブラーニングを活用して、どのような授業を行っているか、今日はそれについてひも解いていきましょう。
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1.北川智子先生とは!?

北川智子先生はカナダのブリティッシュ・コロンビア大学で数学と生命科学を専攻し、同大学院でアジア研究の修士課程を修了させました。そして、ブリンストン大学で博士号を習得しました。2009年から3年間、ハーバード大学で教鞭をとり、現在はイギリスのケンブリッジ・ニーダム研究所を拠点としています。男性中心の日本史に対して、女性からの視点を斬新に取り入れ、「レディサムライ」という論点の下、研究を行ってきました。北川智子先生の学習法は「カジュアルに学習する」ということでも知られており、研究者・教育者として、説得力のある活動を続けています。
参考:
wikipedia「北川智子」

2.歴史のアクティブラーニング

そんな北川智子先生の歴史のアクティブラーニングの事例を紹介します。受講者は100人を超えており、従来の講義型の歴史の授業では対応できないと考えた北川智子先生は、gディスカッション、グループ・プレゼンテーション、ラジオ番組作り、映画作りなど、画期的な講義で学生を魅了してきました。ただ単にテスト勉強をしていい点数を取ることのみを目標にした学習では、社会に出てから必要とされる「生きる力」が身につかないと考えたための発案でした。この中で、ラジオ番組作りですが、まず歴史の知識を身に着けるところまでは、従来の学習法と同じです。しかしながら、その知識を「ラジオ番組」という体制を取って、聞き手に「わかりやすく説明する」という方法がこれまでの学習法と大きく異なります。学生たちをグループに分け、グループごとに、まずはラジオ番組のナレーションを作るところから始まります。そして、学生たちはラジオ番組を面白くしようと、BGMを取り入れるなど、試行錯誤を繰り返しながら、自分たちだけのラジオ番組を作り上げていきます。さらに、映画作りですが、コンピュータを駆使して、自分たちが手に入れた知識を「映画」という「映像」に作り替えていきます。時代劇の映画を、学生たちが作ると考えるとイメージしやすいでしょう。これもグループに分かれ、歴史上の出来事を、現代的に映し出すにはどうすればよいか、学生たちは必死に考えます。このアクティブラーニングの過程で、学生たちはグループで協同することも学び、社会に出てから必要とされる「生きる力」を養っていきます。
参考:
ハーバード大学の日本史教員の見事なアクティブ・ラーニング
Amazon「世界基準で夢をかなえる私の勉強法」
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3.結論

今回の記事で挙げた事例は、かなり難易度の高いアクティブラーニングと言えると思います。手に入れた知識を加工し、それを聴衆にわかりやすく表現するという行為を、他者と協力しながら行う必要があり、大学レベルのアクティブラーニングとしては最適な学習でしょう。これを知って、単に真似するのみならず、その活動の「ねらい」とされる部分をきちんと理解し、自分なりにアレンジしていくことが教師には求められます。アクティブラーニングは、個々の教師たちの「創造性」で進化していくのです。

ictを活用した音楽のアクティブラーニングの授業

従来の音楽の授業とは、教師が教卓に立ち、学習者たちが歌唱するというものだったのではないでしょうか?アクティブラーニングの根を持つ音楽の授業は、「ictを活用して、自分たちで学習を広げていく」ような授業です。この記事では、ictを活用したアクティブラーニングの授業の取り掛かりの例として、音楽科における合唱の授業について取り上げたいと思います。
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1.自分たちの歌を録画する

このような授業で必要とされるのは、従来の教具のほかに、「ビデオカメラ」と「大型ディスプレイ」です。まず、学習者たちの歌をビデオカメラで撮影し、録画します。そして、その歌の動画を大型ディスプレイで流します。学習者たちは自分たちの合唱の出来具合を聴覚と視覚から見つめなおすことができるのです、さらに、歌のみならず、自分たちの声の出し方、口の開け方、手本となる学習者の姿などを、多角的に振り返ることができます。学習は心と身体を総動員して行う取り組みですから、聴覚と視覚からアクセスできる、この映像を使った指導法は、質の高い学びを実現させるのに最適です。このように、学習者たちは、自分たちの合唱をメタ的に振り返ることができるのです。
参考:
アクティブラーニング|教育ICTシステム
ICT教育ニュース

2.自分たちの歌について語り合う

映像として残った「自分たちの歌」は、何度でも振り返ることができますから、それを見ながら、聴きながら、学習者たちは「どのようにすればさらに進歩することができるか」ということをお互いに語り合います。この「協同学習」によって、音楽が得意な学習者と音楽が不得意な学習者が、互いの能力を超えて交流することができ、学習者の尊厳を守りながら、自分たちの力で上達をすることが望めます。従来のように、教師が一方的に始動するのではなく、学習者たちの自主的な学びや気づきを待つことができ、アクティブラーニングの掲げる「主体性の重視」という理念を達成することができます。このように、ビデオカメラと大型ディスプレイという簡単なictメディアを通じて、学習者一人一人を大切にした、質の高い学びを目標とするアクティブラーニングが実現するのです。
参考:
音楽科におけるアクティブラーニングのあり方とは%e5%90%88%e5%94%b12

3.結論

アクティブラーニングの授業では、「学習者が自身の力で発達していく」ことが目指されています。今回取り上げたような、ビデオカメラと大型ディスプレイを用いた、新しい音楽の授業はこれからの時代に必要な「生きる力」を学習者に身に着けさせることができます。学びも時代の流れで進化していく概念であり、教師側もその時代の流れに合わせて、自身の「学び」を進化させていく必要があるのです。

進化する図書館-アクティブラーニングの影響を受けて-

大学の図書館が進化しています。従来の図書館と言えば、「1人で静かに読書する場所」というイメージが強かったかもしれません。しかし、2017年度より入学してくる学生からはアクティブラーニングを経験しており、その時代の流れに合った図書館のあり方が問われています。この記事では、新たな学びの場としての「Liveラリー」について取り上げたいと思います。
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1.なぜLiveラリーが必要なのか!?

時代の流れとともに、学生たちには「思考力・判断力・表現力」が求められるようになってきています。企業も大学には「双方向型、学生参加型、体験活動などを含む多様な授業」を求めています。高校生の保護者や教師の認識でも、これから必要とされる力として「主体性」が挙げられています。このような流れとともに、アクティブラーニングの重要性がますます広がりつつあります。この背景を基に、大学の最大の学びのメディアである図書館も進化をする必要が出てきたのです。
参考:
空気を読む力はあって当然。企業が今の若者に求めているのは「主体性」と「実行力」
主体性を持つこと

2.Liveラリーの特徴

以上のような文脈の中、大学図書館は「Liveラリー」として進化しようとしています。Liveラリーの特徴としては、(1)グループワークやプレゼンができるスペース、(2)国際交流ができるスペースが挙げられます。(1)グループワークやプレゼンができるスペースですが、アクティブラーニングを経験する学生たちは、自分の意見や思考を他者と共有することを求められています。1人で学習を行うのみならず、他者と協調して学びを深めていくことが求められているのです。そのために、他者と自由に議論が出来、自分の意見や思考を表現できる「居場所」が必要とされます。Liveラリーでは、グループディスカッション、大人数を前にしたプレゼンテーションが行えるスペースが設置されています。そして、(2)国際交流ができるスペースですが、アクティブラーニングの下で学んでいる学生たちは、多種多様な価値観を持つ「他者」と交流を行うことが求められています。そのために、大学の留学生たちと自由に交流し、意見が交換できる環境が必要とされます。Liveラリーでは、日本語を禁止し、留学生たちと自由に交流できるスペースが確保されています。このように、Liveラリーでは、学生たちの「思考力・判断力・表現力」を養い、「主体性」を持つ学生の育成ための仕掛けを取り入れた図書館づくりが行われています。
参考:
2017年のトレンド予測
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3.結論

従来、「学び」とは1人で黙々と行う概念として捉えられてきました。しかしながら、現在の流れでは、「学び」とは、他者と協力しながら、双方向性をもって発展していく概念として捉えられているのです。そのような「質の高い学び」を実現させるために、Liveラリーは一助となっていくことでしょう。質の高い学習は、安心できる環境から始まります。大学の施設も、これからの時代に必要な学びを実現させるための、「新しいメディア」に生まれ変わることが求められれているのです。

英語科のアクティブラーニングの事例(田尻悟郎先生の事例)

アクティブラーニングが注目される前から、アクティブラーニングの趣向で授業実践を行ってきた実践者は数多く存在します。その中で、今回の記事では、英語科の田尻悟郎先生について紹介したいと思います。田尻悟郎先生の実践を全て取り上げることは、とても不可能なので、今回はその実践の「ティーチャー制度」について取り上げたいと思います。
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1.田尻悟郎先生とは

田尻悟郎先生は、現在関西大学外国語学部の教授をされています。その前は、島根県の公立中学校で教師として実践を積んできた「実践者」です。赴任当初は困難校の生徒たちとの格闘に悩み続けました。スパルタ教師として、生徒とぶつかり合い、時には生徒に恨まれることもありました。しかし、それを乗り越えて、「英語教師=エンターテイナー」という理念を持つに至り、優れた英語授業の実践を残してきました。日本の英語教育で最大の栄誉とされるパーマー賞も受賞しています。そんな田尻悟郎先生の英語授業実践はアクティブラーニングの掲げる理想の授業像となじみが良いと考えられます。その実践例として、「ティーチャー制度」について紹介します。
参考:
wikipedia「田尻悟郎」

2.ティーチャー制度

ティーチャー制度とは、一言でいえば、「学習者にティーチャー(教師)になってもらう」という取り組みです。授業中に、早く活動を終えた学習者を「ティーチャー」に指名し、他の学習者への添削、フィードバックなどを任せます。その間に、田尻悟郎先生は、他の習熟度が低い学習者に寄り添い、個別に指導していきます。この「集団授業の中に、個別指導を取り入れる」という工夫は、英語教育界でも注目されました。さらに、学習者同士で学び合い、教え合いをすることによって、学習者同士の人間関係の構築などにもつながります。単なる知識の伝達のみならず、学習者同士で学び合い、教え合うことで、「生徒指導」も行う優れた実践として知れ渡ってきました。この実践こそ、アクティブラーニングの先駆的存在ではないでしょうか?アクティブラーニングの掲げる「協同学習」と「創造性の育成」を取り入れ、実際に成功した事例として挙げることができます。
参考:
田尻悟郎のWebsite Workshop
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3.結論

今回の記事では、アクティブラーニングの成功例として、田尻悟郎先生の授業実践の中から、「ティーチャー制度」を紹介しました。もちろん、この授業実践を成功させるためには、ッ田尻悟郎先生の血のにじむような努力があったことは事実です。また、お互いの違いを肯定的にとらえられる環境づくりの重要性も、田尻悟郎先生は指摘しており、単純な事案としては上げられないことも事実です。しかし、この事例を1つの「ヒント」として、日々のアクティブラーニングの実践に取り入れていくことには、大きな意義があるのではないでしょうか?

アクティブラーニングの始め方の例

アクティブラーニングを始めようと思っても、日常の激務や対応に追われる教師にとっては、かえって重荷になるだけだという指摘があります。今回の記事では、アクティブラーニングの取り掛かりとして、初めの一歩としてできることをまとめていきます。ここで紹介する事例は、他でもない、私が学校現場で働いていた時に、高校の英語の授業で実践していたことです。
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1.はじめに

私は困難校で勤務していました。その学校では、学級経営、校務分掌など多忙を極める毎日を送っていました。朝は7時に出勤し、夜は21時過ぎに帰るという日々でした。しかし、アクティブラーニング、とりわけ協同学習の有効性を、直感的に実感していた私は、なんとかそれらを授業に取り入れられないかと模索し続けました。そこで、まずは授業を担当しているある学級をターゲットにし、アクティブラーニングを模倣した取り組みを行うことにしたのです。

2.学習者同士の教えあい

まず、私は英語の授業の構成を(1)洋楽、(2)新出単語の導入、(3)本文の聞き取り、(4)本文の訳、(5)音読という型で固定し、そこでアクティブラーニングを実践できる機会を探しました。困難校で、アルファベットもまともに書けない高校生がいる学級でしたので、初めは苦労しました。そこで、(4)本文の訳の時間に「学習者同士の教えあい」を取り入れることにしました。ここでは、英語の本文と日本語訳をバラバラにした文の集まりを印刷し、ワークシートを作っていました。学級で習熟度が発達している学習者は、容易に英文に日本語訳を合わせていくことができ、時間を持て余していることに気づきました。そこで、そのすでに作業が終わった学習者に「〇〇君/さんに教えに行ってあげて」と促すようにしました。すると、そのすでに作業が終わった学習者も時間を持て余すことがなくなり、私は本当に作業が困難な学習者(特別支援的な援助が必要な学習者)にサポートする時間が増えました。他の作業が終わった学習者にも、その他の困っている学習者に教えに行くように促し、アクティブラーニングの基礎が出来上がりました。
参考:
英語授業での教え合い、学び合い
英語の授業にもっと協同学習を
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3.結論

残念ながら、私の指導力では、世の中でいわれるような名人芸のようなアクティブラーニングを実践することはできませんでした。しかし、アクティブラーニングの根幹部分である協同学習の基礎の要素を取り入れた授業は、少しだけ成功に持って行けたと思っています。一気にアクティブラーニング一色の授業をしようとしても、失敗に終わることはよく報告されていることです。ですので、アクティブラーニングを授業に取り入れたいのであれば、少しずつペアーで協力し合うなどの地道な取り組みから始めることが重要だと思われます。それに学習者が慣れていけば、アクティブラーニングの授業を進化(深化)させていくことは大いに可能性があることではないでしょうか?

学習者に気づかせるアクティブラーニング

従来の教育観では、学習者に「解説」を多く行い、学習者に「教え込む」ことが是とされていました。しかし、アクティブラーニングでは、「学習者に気づかせる」ことが求められています。アクティブラーニングの掲げる「主体的に思考・判断・行動できる学習者」の育成のために、「気づかせる教育」は重要なことです。今回の記事では、哲学者ソクラテスの問答法を応用しながら、この「気づかせるアクティブラーニング」について考えていきたいと思います。
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1.ソクラテスの問答法

古代の時代、哲学者ソクラテスは、自分が最も賢明であるという悟りを聞きました。そこで、当時賢明だと自己主張を行っていたソフィストたちを試すことにしたのです。その過程で泡られたのが「問答法」でした。これは、他者に質問を投げかけ、他者自身から答えを見つけさせるという弁論法です。ソクラテスは自ら答えを提示するのではなく、ソフィストたちに質問を投げかけていき、答えを見つけさせるという挑戦に出ました。この問答法は、教育、特にアクティブラーニングでも応用することができます。
参考:
wikipedia「ソクラテス」
wikipedia「ソクラテス式問答法」
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2.気づかせる教育

学習者はこれまでの人生経験であらゆる知識を蓄積しています。その組み合わせ方を知らないだけなのです。そこで、問答法により、学習者にこの知識を整理させる必要があります。ある知識Aと知識Bが単に独立してあるだけでは、現実世界での活用は困難です。そこへ、新しい知識Cを提示することによって、AとBを組み合わせ、さらなる新しい知識Cを「発見」させます。この「さらなる新しい知識を発見させること」が「学習者に気づかせる」ことに他なりません。だから、アクティブラーニングの文脈でも、教師はすぐに学習者に答えを言うのではあなく、ヒントを与え、答えを自分の力で発見させることが重要になってきます。この「気づかせる教育」によって、「主体的に思考・判断・行動」するという、アクティブラーニングの掲げる理想の学習者へと導くことが容易になります。学習者は「与えられる」だけの存在ではなく、「自分自身の力で作り出す芸術家」として捉えられなければなりません。
参考:
いかに気づかせるか、いかに「教えない」か
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3.結論

今回は、アクティブラーニングの目標とする学習者に育成するために、「気づかせる教育」という方法論を提示しました。それは、古代の時代から賢者であるソクラテスが実践していた問答法と合致する指導法であり、理論的な裏付けも可能になります。「解説ばかりして教え込む教育」から「気づかせる教育」への転換が、アクティブラーニングでは求められているのです。